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ODIXa-OD-HIP Oral, Direct Factor Xa Inhibitor, BAY 59-7939, Given Once Daily in Patients Undergoing Total Hip Replacement
結論 rivaroxaban(リバーロキサバン)は1日1回のみの経口投与,血液凝固能のモニタリングが不要という簡便性とともに,人工股関節全置換術後の血栓予防に対してenoxaparin(エノキサパリン)と同程度の有効性および安全性をもつことが示された。有効性と安全性を考慮すると,第III相試験ではrivaroxaban 10mg/日投与を調査するべきである。

目的 初回の人工股関節全置換術待機例における静脈血栓塞栓(VTE)予防に対する有効性および安全性を,経口直接作用型血液凝固第Xa 因子阻害薬rivaroxaban(BAY 59-7939)の1日1回経口投与とenoxaparinの1日1回皮下投与で比較。有効性の一次エンドポイント:手術後10日以内の深部静脈血栓(DVT)+確定診断された非致死的症候性肺動脈塞栓症(PE)+全死亡。有効性の二次エンドポイント:近位VTE+確定診断された症候性PE+VTEに関連した死亡。安全性の一次エンドポイント:最終投与後2日以内までの重篤な術後出血。安全性の二次エンドポイント:関連はあるが重篤ではない出血,軽度の出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,ダブルダミー,実薬対照,投与量決定試験,per protocolおよびintention-to-treat(ITT)解析。
セッティング 多施設(48施設)。欧州,イスラエル(11ヵ国)。
期間 登録期間は2004年11月-2005年7月。追跡期間は30-60日。
対象患者 618例(ITT解析は845例)。初回の待機的人工股関節全置換術を予定した18歳以上男性および閉経後女性。
【除外基準】試験前6ヵ月以内のDVT/PE/心筋梗塞/一過性脳虚血発作/虚血性脳卒中/脳内出血/眼球内出血/胃腸管出血の既往,アウトカムに影響を及ぼしうる薬剤(他の抗凝固薬,血小板凝集阻害薬など,ただし半減期<17時間の非ステロイド抗炎症薬は可)の服用,重度の高血圧/肝機能障害/腎機能障害,体重<45kgなど。
治療法 rivaroxaban 5mg,10mg,20mg,30mg,40mg/日各経口投与群(94例[128例]:R5群,113例[142例]:R10群,106例[139例]:R20群,104例[142例]:R30群,94例[137例]:R40群,[]内はITT解析例数)とenoxaparin 40mg/日皮下投与群(107例[157例]:E40群)にランダム化。rivaroxabanは手術6-8時間後(平均7時間後)に初回投与,以後24±2時間おきに5-9日間(平均7日間)投与。enoxaparinは手術前夜に初回投与,手術後の創縫合6-8時間以上後から毎晩5-9日間(初回から数えて平均8日間)投与。
投与終了翌日に静脈造影を実施。治療期間中の間欠的空気圧迫法は禁止。
追跡完了率 割付け後の脱落率は29%(255/873例)。安全性の観点から中止を余儀なくされた例はなし。
【脱落理由】静脈造影の中止などにより有効性の評価が不十分(195例),プロトコールの不遵守など。
結果

●評価項目
有効性の一次エンドポイントはrivaroxaban投与各群でR5群14.9%,R10群10.6%,R20群8.5%,R30群13.5%,R40群6.4%と用量反応性の傾向はみられたものの有意ではなく(p=0.0852),E40群25.2%に比して低値であった。
有効性の二次エンドポイントはrivaroxaban投与各群でR5群8.5%,R10群2.7%,R20群0.9%,R30群1.9%,R40群1.1%と有意な用量反応性がみられた(p=0.0072)。E40群では2.8%であった。
なお治療期間,追跡期間を通して死亡例はなく,per protocol解析においてはPEも認められなかった。
安全性の一次エンドポイントはrivaroxaban投与各群でR5群2.3%,R10群0.7%,R20群4.3%,R30群4.9%,R40群5.1%と有意な用量反応性がみられ(p=0.0391),またE40群は1.9%であったが,いずれの群間においても有意差はみられなかった。これらの重篤な術後出血はいずれも手術部位で生じ,ヘモグロビンの低下(24時間以内に2g/dL以上)を伴う出血または輸血を要する出血が主であった。
安全性の二次エンドポイントは,関連はあるが重篤ではない出血がR5群1.6%,R10群2.1%,R20群0.7%,R30群2.1%,R40群2.9%,E40群3.2%,軽度の出血がR5群3.9%,R10群3.5%,R20群4.3%,R30群5.6%,R40群10.2%,E40群3.8%に認められた。輸血例,輸血量はいずれの群においてもほぼ同等であった。
最終投与から7日以内に検査値が正常上限の3倍超となった例は,rivaroxaban投与各群でアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が3.0-5.4%,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が3.4-6.2%であったのに対し,E40群ではALT7.1%,AST7.1%であった。なおR30群の1例で,初回投与3時間後にALT正常上限3倍超,ビリルビン同2倍超に達したが,ビリルビンは翌日正常範囲に復帰,ALTは試験薬投与続行にもかかわらず低下し,投与最終日には正常上限3倍未満となり,投与終了34日後には正常範囲に復した。またR10群の1例でALT,ASTがベースラインで正常→手術3日後ともに正常上限の約2倍(ビリルビンは正常範囲)→プロトコール通り試験薬を7日間投与→投与終了59日後および73日後,ともに正常上限の3倍超となったが,手術99日後に胆嚢結石が判明した。

●有害事象
[評価項目]に表記あり。

文献: Eriksson BI et al; ODIXa-HIP Study Investigators. A once-daily, oral, direct Factor Xa inhibitor, rivaroxaban (BAY 59-7939), for thromboprophylaxis after total hip replacement. Circulation 2006; 114: 2374-81. pubmed
関連トライアル ADVANCE, ADVANCE-2, ADVANCE-3 , APROPOS, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , BISTRO II , Botticelli, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, DRIVE, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, EXULT A, J-ROCKET AF renal impairment, MAGELLAN, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ORTHO-TEP Registry, PREVAIL, RE-MODEL, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF, ROCKET AF renal dysfunction
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