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ESTAT European Stroke Treatment with Ancrod Trial
結論 発症後3時間超の急性虚血性脳卒中患者に対してancrodの投与は推奨すべきでない。

目的 マムシ毒から精製されたフィブリノーゲン低下薬ancrodを,急性虚血性脳卒中発症から6時間以内に投与した効果を検討。一次エンドポイント:発症3ヵ月後のBarthel Indexが95-100または発症前の値と同等以上の機能回復。二次エンドポイント:3ヵ月後および6ヵ月後のmodified Scandinavian Stroke Scale(SSS),modified Rankin Score[mRS],および死亡率,7日後(範囲5-10日)のCT画像から算出した梗塞体積。
デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設。欧州,オーストラリア,イスラエル。
期間 追跡期間は12ヵ月。
対象患者 1222例。急性虚血性脳卒中の兆候および症状を示し,SSS(歩行を除く)がベースラインで<40で,発症後6時間以内に治療を開始した18歳以上の患者。
【除外基準】臨床的診断または CTによる脳出血/出血性梗塞形成の所見,CTによる潜在的に進行した脳障害(腫瘍など)の所見,梗塞の進行を示す主な兆候,動脈乖離またはその疑いによる脳卒中,昏睡,発症前6週間以内の脳卒中の既往,発症後6時間以内の神経障害の改善,評価の障害となる脳卒中の既往による同側の神経障害,片頭痛/低血糖/最近の発作の続発症による神経障害,最近のまたは予定された手術,高血圧(収縮期血圧>220mmHgまたは拡張期血圧>120mmHg),重度/管理不良の低血圧(一過性の収縮期血圧<90mmHg),治療開始前15分未満の降圧薬の服用,発症前1週間以内または予定された抗血栓治療,凝固障害(前治療におけるプロトロンビン時間≦14秒または活性化部分トロンボプラスチン時間≦45秒で抗凝固薬を服用している場合は可),ベースラインの血漿フィブリノーゲン値≦2.9μmol/L,ancrodによる治療歴。
【患者背景】平均年齢はancrod群69.3±11.9歳,プラセボ群67.7±12.5歳。
治療法 ancrod投与群*(604例)とプラゼボ群(618例)にランダム化。
*:前治療のフィブリノーゲン濃度(>13.2μmol/L,10.3-13.2μmol/L,<10.3μmol/L)に応じて,それぞれ6時間あたり1.00IU/kg,0.75 IU/kg,0.50 IU/kgを静注投与。
72時間の連続的な静注投与の後,1時間/日の静注投与を2日間実施し,フィブリノーゲン濃度目標値1.2-2.1μmol/Lを達成/維持。
試験薬の投与期間中は抗血小板薬,経口抗凝固薬,血栓溶解薬,ヘパリン,その他線溶系に影響を及ぼしうる薬剤の投与を禁止(ただしプラセボ群にてダブルダミーによる未分画ヘパリンの投与例あり),深部静脈血栓症の予防として抗塞栓症ストッキングの使用または断続的な空気圧迫法は許可。試験薬の投与後は医師の指示にもとづき予防薬(aspirin,warfarinなど)により治療。
追跡完了率 試験薬投与完了はancrod群497例vsプラセボ群553例。3ヵ月追跡完了は471例 vs 519例。12ヵ月追跡完了は421例 vs 454例。
【脱落理由】有害事象(59例 vs 29例),死亡(126例 vs 117例),追跡不能(20例 vs 18例)など。
結果

●評価項目
一次エンドポイントはancrod群253例(42%)vsプラセボ群258例(42%)で,群間差はみられなかった(p=0.94,オッズ比0.99,95%CI 0.76-1.29)。
平均modified SSSにおけるベースライン時からの改善は+3.6 vs+5.2 とプラセボ群にて有意に改善された(p=0.042)。7-10日後のCT画像から算出した梗塞体積は54.1±82.4mL vs 48.1±75.5mLで群間差はみられなかった(p=0.26)。3ヵ月後の死亡率はancrod群にて有意に高値であったが(20% vs 14%,p=0.026),12ヵ月後の死亡率に群間差はみられず(25% vs 21%,p=0.25),その他の二次エンドポイントについても群間差は認められなかった。

●有害事象
有害事象は3ヵ月後にancrod群35% vsプラセボ群29%,12ヵ月後に45% vs 40%でみられた。初期の脳卒中の再発/進行は17例(3%)vs 14例(2%)と両群ともほぼ等しかったが,全身性合併症はancrod群で増加した(肺炎:25例 vs 13例,敗血症: 8例 vs 2例,30日以内の全感染症:33例 vs 15例)。28日以内の症候性頭蓋内出血(ICH)は主に7日以内に発症し7.3% vs 1.5%とancrod群で有意に多く(p=0.007),無症候性ICHも5% vs 2%(p=0.011)とancrod群で有意に多かった。なお症候性頭蓋内出血による死亡はごくわずかで,4例 vs 2例に認められた。

文献: Hennerici MG, et al., ESTAT investigators Intravenous ancrod for acute ischaemic stroke in the European Stroke Treatment with Ancrod Trial: a randomised controlled trial. Lancet 2006; 368: 1871-8. pubmed
関連トライアル AMADEUS, ASP, ATLAS ACS-TIMI 46 , ECASS III additional outcomes, EPITHET, ESPRIT , FISS-tris, PREVAIL, PROTECT AF, SITS-ISTR, SITS-MOST, TRITON-TIMI 38 PCI
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