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TPA Bridging Study
結論 本パイロット試験から,脳梗塞発症から90分以内のrt-PA投与は早期の神経症候の改善に有効である可能性が示唆された。本治療における重大な短期的リスクと長期にわたるベネフィットとの関連性を評価する大規模臨床試験実施の必要性が示された。

目的 脳梗塞発症後3時間以内の血栓溶解薬rt-PA(alteplase)投与の有効性を検討。
一次エンドポイント:発症から24時間後におけるNational Institutes of Health(NIH)Stroke Scaleの4ポイント以上の改善,またはスコア0への改善。その他のエンドポイント:2時間後,7~10日後,3ヵ月後の神経症候,および7~10日後の脳梗塞サイズ。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,パイロット試験。
セッティング 多施設(13病院)。アメリカ。
期間 追跡期間は3ヵ月。ランダム化の期間は1990年3月~1991年2月。
対象患者 27例。18~80歳。脳梗塞発症後3時間以内。NIH Stroke Scaleで測定可能な神経障害を有する症例。
【除外基準】知覚消失または運動失調のみの脳卒中の徴候,CT所見上の頭蓋内出血,くも膜下出血様の臨床症状,症状の急速な改善,授乳または妊娠中あるいはその可能性,血小板数<10万/mm3,プロトロンビン時間>15秒またはheparin投与による部分トロンボプラスチン時間の延長,過去14日以内の大手術施行歴または重篤な外傷,過去21日以内の胃腸管または尿路出血,過去7日以内の圧迫不可能な部位での動脈穿刺,治療開始時の平均血圧値≧135mmHg,過去3ヵ月以内の頭蓋内出血または脳梗塞の既往など。
治療法 発症から治療開始までの時間(≦90分:20例,91~180分:7例)で層別化し,rt-PA(alteplase)0.85mg/kg投与群(14例:10%をボーラス投与後,60分以上継続静注)とプラセボ群(13例)にランダム化(ブロック割付け)。alteplase群(≦90分:10例,91~180分:4例),プラセボ群(≦90分:10例,91~180分:3例)。
投与終了後のCT所見で出血が認められない場合のみ,終了時から30分以降のheparin投与を許可。NIH Stroke Scaleはベースライン時,30分,1,2および24時間後,2,7~10日後,3ヵ月後に評価。
追跡完了率 3ヵ月後の追跡不完了は3例(11.1%:rt-PA群2例,プラセボ群1例)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
ベースライン時のNIH Stroke Scale Score(中央値)は,≦90分の層ではrt-PA群16(5~26),プラセボ群11(3~21)と有意差はみられなかったが,91~180分の層では各群6(2~8),14(13~17)と明らかな差が認められた。
≦90分の層:NIH Stroke Scale≧4ポイントの改善は,2時間後でrt-PA群2例,プラセボ群 1例,24時間後では各群6例,1例(p=0.03)。追跡期間中のスコア改善はrt-PA群で良好であったが,有意差が認められたのは24時間後のみであった。7~10日後の死亡はrt-PA群1例,プラセボ群2例(脳卒中合併症)。生存者における3ヵ月後のNIH Stroke Scale Scoreはさらに改善し,身体機能の制限レベルは各群5例で制限なし~軽度であった。また,7~10日後の梗塞サイズは各群28.3cm3(0~317cm3),59.9cm3(0~301cm3)と有意差は認められなかった(p=0.60)。
91~180分の層:NIH Stroke Scale≧4ポイントの改善は,2時間後でプラセボ群のみ2例,24時間後ではrt-PA群2例,プラセボ群1例(2時間後に改善した1例は死亡)。24時間後に改善を示した症例では,7~10日後および3ヵ月後も改善が維持されていた。ベースライン時のNIH Stroke Scale Scoreの不均衡と症例数の少なさから梗塞サイズの比較は実施せず。
heparin継続静注は,≦90分の層ではrt-PA群のみ5例(心原性塞栓症の可能性:3例,不安定狭心症および動揺性神経障害:各1例)で0~3日目に開始。91~180分の層では全例でheparin投与は実施せず。

●有害事象
≦90分の層において,症候性または無症候性の脳内出血は両群で認められず,軽度の出血はalteplase群3例,プラセボ群1例であった。

文献: Haley EC Jr, et al for the TPA Bridging Study Group. Pilot randomized trial of tissue plasminogen activator in acute ischemic stroke. Stroke 1993; 24: 1000-4. pubmed
関連トライアル ECASS, ECASS-II blood pressure, GUSTO IIa, GWTG-Stroke “golden hour” patients, Martin-Schild S et al, MELT Japan, Mori E et al, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, RAPID II, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Saqqur M et al, Tsivgoulis G et al, TTT-AIS
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