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DANAMI DANish Trial in Acute Myocardial Infarction
結論 誘発性心筋虚血が認められる急性心筋梗塞(AMI)患者において,侵襲的治療は再梗塞,不安定狭心症による入院,安定狭心症を抑制した。本結果から,初発AMIに対する血栓溶解療法を施行した患者のうち,退院前に誘発性心筋虚血が認められる症例に対しては,冠動脈造影を実施し,必要に応じて血行再建術を施行すべきである。

目的 初発の急性心筋梗塞(AMI)に対する血栓溶解療法を実施した患者のうち,誘発性心筋虚血が認められる症例において,侵襲的治療(PTCAまたはCABG)と保存的治療の有効性を比較検討。
一次エンドポイント:死亡,再梗塞,不安定狭心症による入院。二次エンドポイント:狭心症,狭心症の重症度(CCS分類),抗狭心症薬(Ca拮抗薬,β遮断薬,長時間作用型硝酸薬)投与。
デザイン ランダム化,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(43施設)。デンマーク。
期間 追跡期間は1~4.5年(中央値2.4年)。登録期間は1990年10月~1994年3月。
対象患者 1,008例。年齢≦69歳。平均年齢:保存的治療群56.4歳,侵襲的治療群56.2歳。
クレアチンキナーゼ(CK)-MBの顕著な上昇(正常上限値の2倍以上),ST偏位またはT波変化および/またはQ波出現を伴うAMI患者で,症状発現後12時間以内に血栓溶解療法を開始し,発症後1週間以内に誘発性の心筋虚血が認められる症例(心筋虚血:入院後36時間以降または退院前の運動負荷試験中に症候性狭心症が自然発症,あるいは運動負荷試験中に虚血性のST変化が発現)。
【除外基準】AMIの既往,PTCAまたはバイパス術施行歴,血栓溶解薬の投与量が予定用量の半分未満,緊急インターベンションの必要性(治療抵抗性不安定狭心症を含む),運動負荷試験中のSBP値低下,重篤な冠動脈以外の疾患(重度の腎不全または凝固障害を含む)など。
治療法 侵襲的治療群(503例)と保存的治療群(505例)にランダム化(年齢,性別,虚血タイプにより層別化後,割付け)。
侵襲的治療群:退院前の運動負荷試験後2週間以内に冠動脈造影を実施し,重度の冠動脈狭窄(内径2mm以上の動脈での狭窄率≧50%)が認められない,またはCABG不成功が予測される患者(予後不良のびまん性疾患患者)を除き,PTCA(2週間以内:1枝または2枝病変を有し,重度の狭窄が3ヵ所以下または梗塞関連動脈の閉塞が認められる患者)またはCABG(5週間以内:左主幹動脈狭窄,重度の狭窄が4ヵ所以上の2枝病変,3枝病変,非梗塞関連動脈の閉塞が認められる患者)を施行。PTCA不成功例にはCABGを施行。薬物療法は参加施設の判断で実施。
保存的治療群:参加施設の判断で薬物治療を実施。重度(CCS class IIIまたはIV)の狭心症が発生した患者には担当医の判断で冠動脈造影を実施。
禁忌でない限り,全例にaspirin 150mg/日投与(対象の98%に処方)。
追跡完了率 全生存者で追跡完了(100%)。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
侵襲的治療群でのPTCA施行は266例(52.9%,8~41日後:中央値18日),CABG施行は147例(29.2%,21~64日後:中央値38日後)と,計413例(82.1%)で血行再建術を施行。一方,保存的治療群における2ヵ月後の血行再建術施行例は8例(1.6%:PTCA 5例,CABG 3例)のみ。
死亡は,侵襲的治療群3.6%(18例),保存的治療群4.4%(22例)と有意差は認められなかった(p=0.45)。しかし,侵襲的治療群では再梗塞[5.6%(28例)vs 10.5%(53例),p=0.0038]および不安定狭心症による入院[17.9%(90例)vs 29.5%(149例),p<0.00001]が有意に減少した。複合一次エンドポイント発生率は,1年後で侵襲的治療群15.4%,保存的治療群29.5%,2年後は各23.5%,36.6%,4年後は各31.7%,44.0%であった(p<0.00001)。
12ヵ月後の安定狭心症の発症率は,侵襲的治療群21%,保存的治療群43%と侵襲的治療群で減少し,重症度も侵襲的治療群で有意に改善された(侵襲的治療群では,追跡期間を通じてCCS class III症例≦2%,class II症例6~8%であったのに対し,保存的治療群では,class IIまたはIII症例は3ヵ月後23%,12ヵ月後15%。3ヵ月後のCCS class II:p<0.00001,class III:p<0.01,12ヵ月後のCCS class II:p<0.001,class III:p=NS)。抗狭心症薬の投与は,侵襲的治療群では12ヵ月後まで徐々に減少したのに対し,保存的治療群では3ヵ月後に増加した後,変化はみられず,両群間に有意差が認められた(12ヵ月後:β遮断薬20% vs 40%,Ca拮抗薬27% vs 41%,長時間作用型硝酸薬12% vs 25%,いずれもp<0.0001)。

●有害事象
表記なし。

文献: [main] Madsen JK, et al on behalf of the DANAMI Study Group. Danish multicenter randomized study of invasive versus conservative treatment in patients with inducible ischemia after thrombolysis in acute myocardial infarction (DANAMI). Circulation 1997; 96 :748-55. pubmed
関連トライアル Alabama Registry of Myocardial Ischemia, Barbash GI et al, ICTUS, RESTORE, SWIFT, TACTICS-TIMI 18 1998, TAUSA, TIMI II 1989, TIMI II 1992, TIMI II 1993, TIMI IIA 1990, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, VANQWISH, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
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