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TIMI II Pilot and Clinical Trial Thrombolysis in Myocardial Infarction, Phase II, Pilot and Clinical Trial
結論 脳内出血はrt-PAによる血栓溶解療法後の重篤な合併症であるが,発生率は低かった。本試験における,rt-PA投与後の脳内出血+硬膜下出血+脳梗塞の複合イベント発生率は,AMI患者へ血栓溶解療法を施行した他のトライアル(ASSET,GISSI-1,ISIS-2,AIMS,GISSI-2など)と同等であることが示された。

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解療法(rt-PA)後の脳内出血,脳梗塞,硬膜下血腫の発生率を検討。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(50病院:大学病院,地域医療センター)。アメリカ。
期間 -
対象患者 3,924例(pilot study:390例,clinical trial:3,534例)。
注)登録基準はTIMI II,IIA Trial(各1989年,1988年,メインスタディ)参照。
【除外基準】プロトコール変更前:AMI発症6ヵ月以前の脳血管疾患(脳卒中含む)既往,複数回の測定によるDBP>120mmHg→プロトコール変更後:脳卒中,間欠性脳虚血発作既往,いずれかの測定値がSBP>180mmHgまたはDBP>110mmHg。
治療法 TIMI II Pilot,TIMI IIおよびIIA Trial早期のデータを解析。最初の908例[pilot study:326例(35.9%), clinical trial:582例(64.0%)]では,rt-PA 150mgを6時間で静注投与[90mgを1時間(10%をボーラス投与),20mgを1時間,40mgを4時間で静注],残りの3,016例[pilot study:64例(2.1%), clinical trial:2,952例(97.9%)]では100mgを6時間で静注へ減量 [60mgを1時間(10%をボーラス投与),20mgを1時間,20mgを4時間で静注]。
注)TIMI II PilotとTIMI II Trial早期の結果から,rt-PA 150mg投与群における頭蓋内出血の発生率が高かったため,rt-PA 100mgに減量した。
rt-PA静注開始と同時に,heparin 5,000IUボーラス静注後,1,000IU/時で1時間静注。その後は活性化部分トロンボプラスチン時間をコントロールの1.5~2.0倍に維持するよう用量補正。試験開始当初はaspirin 80mgを血栓溶解療法と同日に投与開始したが(627例),プロトコールの変更後では翌日より投与開始し(3,297例),heparinを静注から皮下投与に切り替える6日目に325mg/日に増量。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
脳血管イベント発生率は,rt-PA 150mg投与群2.5%[23例:脳梗塞9例(1.0%),脳内出血12例(1.3%),硬膜下血腫2例(0.2%)],100mg投与群1.1%[33例:脳梗塞20例(0.7%),脳内出血11例(0.4%),硬膜下血腫2例(0.1%)]と150mg投与群で有意に多く認められたが(p<0.001),これは主に150mg群における脳内出血の発生が高率であったことによった[1.3% vs 0.4%,p<0.01,多変量ロジスティック回帰分析(MLR):p=0.006]。
プロトコール変更前のデータによる解析では,脳卒中・間欠性脳虚血発作・その他の神経疾患の既往症例において非既往例に比し,頭蓋内出血の発生が有意に多く[10%(3/30例)vs 1.2(8/639例),p<0.001],さらに登録時にSBP>180mmHgまたはDBP>110mmHgであった症例においても,そうでなかった症例に比較して有意に多く認められた[9.1%(2/22例) vs 1.4%(9/647例),p<0.01]。
全症例の解析では,神経疾患・間欠性脳虚血発作・脳卒中既往例89例と非既往例3,835例における脳内出血の発生率は,各3.4%(3例),0.5%(20例)と既往例において有意に多くみられた(MLR:p=0.032)。また,登録時のCa拮抗薬投与例では,非投与例に比し脳内出血の発生率が高く(1.5% vs 0.4%,MLR: p=0.012),年齢を連続因子とした場合には高齢者において脳内出血の増加がみられた(MLR :p<0.001)。高血圧症既往例で脳内出血発生率が高かったが(0.9% vs 0.4%),有意差はなかった。
出血の多くは治療開始後24時間以内に発生し(19/23例),脳梗塞は半数以上(16/29例)が48時間以降に発生。脳内出血または脳梗塞発症までの時間に両群間で差はみられなかった。脳内出血症例において死亡原因が心原性であったのは1例のみ。一方,脳梗塞発症例の死亡原因は多くが心原性であった。脳内出血発生後における予後は,rt-PA 100mg群で150mg群に比し有意差はないものの良好であったが,脳梗塞発症後の予後は同等であった。6週間後の死亡率は,脳内出血発生例(23例)47.8%,脳梗塞発生例(29例)24.1%,硬膜下出血発生例(4例)75.0%,1年後では各60.9%,37.9%,75.0%。
rt-PA投与開始から18~48時間以内のPTCA施行例では,rt-PA 100mg,150mg群のいずれにおいても脳内出血および脳梗塞のリスク増加は認められず,rt-PA投与開始後2時間以内の冠動脈造影施行例においても同様であった。
TIMI IIB Trialの早期β遮断薬投与群(720例)と遅延(6日後)β遮断薬投与群(714例)において,早期群で遅延群に比し脳内出血は抑制傾向にあったが(0.3% vs 1.0%),脳梗塞は同等であった。
止血パラメータの解析では,脳梗塞患者と脳内出血患者,または同サブグループと全コホート(血清データ入手例)の比較において差は認められなかった。全コホートの解析では,rt-PA 150mg群で100mg群に比し治療後のフィブリノゲン値,プラスミノゲン値が低く,フィブリン/フィブリノゲン分解産物とrt-PA抗原が出血にかかわらず高かった。

●有害事象
「評価項目」にあり。

文献: Gore JM, and the TIMI Investigators. Intracerebral hemorrhage, cerebral infarction, and subdural hematoma after acute myocardial infarction and thrombolytic therapy in the Thrombolysis in Myocardial Infarction Study: Thrombolysis in Myocardial Infarction, Phase II, pilot and clinical trial. Circulation 1991; 83: 448-59. pubmed
関連トライアル ASSET, Bleich SD et al, Cronin CA et al, ECASS, EPITHET predictors of HT, HIT-III, Kellert L et al, LATE 1995, LATE 1996, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, NRMI-2, Robinson MT et al, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-MOST multivariable analysis, TAMI 2, 3, 5 and Urokinase Trial 1994, TAMI 5 1991, TIMI 4, TIMI I 1988, TIMI II Pilot and Randomized Clinical Trial
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