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SPAF III 1998 Stroke Prevention in Atrial Fibrillation III
結論 血栓塞栓症高リスクの心房細動(AF)患者において,血栓塞栓症の発症率と明瞭なエコー像,左心耳での血栓形成,大動脈プラークと強く相関し,用量調整warfarinは明瞭なエコー像および複合プラークを有するAF患者での脳卒中発症を抑制することが示された。AF患者における脳卒中の発症過程には多くの因子が影響しており,warfarinは多様な発生メカニズムに有効であることが示唆された。

目的 血栓塞栓症高リスクの心房細動(AF)患者に対する経食道心エコー検査(transesophageal echocardiography:TEE)所見上の脳卒中予測因子を特定し,抗血栓療法への反応を検討。
一次イベント:脳梗塞+全身性塞栓症。
デザイン ランダム化,オープン,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(2ヵ国,18施設)。アメリカ,カナダ。
期間 追跡期間は平均1.1年。
対象患者 382例。平均年齢71歳。女性30%。SPAF III Trialの登録患者1,044例中のTEE施行例(37%)。非弁膜症性AF患者。年齢>75歳の女性および年齢・性別にかかわらず以下のリスク因子のうち1つ以上を有する症例:収縮期高血圧症(SBP>160mmHg),血栓塞栓症の既往,左室機能不全(EF≦25%,または最近のうっ血性心不全)。
治療法 warfarin+aspirin併用投与群(192例:warfarin 0.5~3.0mg/日をINR 1.2-1.5を維持するよう用量固定,aspirinは腸溶錠325mg/日)とwarfarin用量調整投与群(190例:warfarinをINR 2.0-3.0になるように用量調整)。抗血栓療法はTEE施行前(登録から3ヵ月以内)に実施,TEEはランダム化から平均23日後に行った。
追跡完了率 表記なし。
結果

●評価項目
脳梗塞の発症は23例。TEE所見で左心房または左心耳に特発性エコー像が描出されたのは63%,うち明瞭な描出は20%で認められ,これらの割合は2群間に差はなかった。エコー像が明瞭であった症例におけるイベント発生率は,併用群18.2%/年(95%CI 7.6-44),warfarin用量調整群4.5%/年(1.1-18)と用量調整群で相対リスクが75%減少し(p=0.09),また併用群において明瞭であった症例では不明瞭な症例に比し高かった(相対リスク2.7,p=0.06)。ランダム化後2週間目の左心耳血栓は,warfarin用量調整群に比し併用群で多く認められ(4% vs 15%,p=0.004),一次イベント発生リスクを増加させた(相対リスク2.7,p=0.04)。
併用群において,複合大動脈プラークを有する症例(35%)では有さない症例に比較して,血栓塞栓症のリスクが増大し(相対リスク4.0,p=0.005),さらにイベント発生率も用量調整群に比し有意に増加した(15.8%/年 vs 4.0%/年,リスク減少率75%,p=0.02)。
多変量モデル解析により,血栓塞栓症の独立した予測因子は,明瞭なエコー像(p=0.06),胸部大動脈における複合アテローム性プラークの存在(p=0.01)であることが示された。

●有害事象
表記なし。

文献: [substudy] The Stroke Prevention in Atrial Fibrillation Investigators Committee on Echocardiography. Transesophageal echocardiographic correlates of thromboembolism in high-risk patients with nonvalvular atrial fibrillation. Ann Intern Med 1998; 128: 639-47. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, ARISTOTLE, BAATAF, Hylek EM et al, JNAF-ESP, Pearce LA et al, Pengo V et al, SPAF, SPAF I-III 1999, SPAF I-III 2000, SPAF II 1994, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPAF III 1998
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