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ISAR Intracoronary Stenting and Antithrombotic Regimen
結論 冠動脈ステント植込み施行患者において,抗血小板療法ticlopidine+aspirin併用は抗凝固薬による従来治療に比し心イベント,出血性および血管性合併症を有意に抑制することが示された。

目的 冠動脈ステント植込み施行患者において,抗血小板療法ticlopidine+aspirin併用の有効性を従来の抗凝固療法heparin+phenprocoumon+aspirinと比較検討。
一次エンドポイント(心因性):心臓死+心筋梗塞(MI)+冠動脈大動脈バイパス術・再PTCA施行の複合。一次エンドポイント(非心因性):非心因性の死亡+脳血管イベント+重篤な出血+末梢血管イベントの複合。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 単施設。ドイツ。
期間 追跡期間はステント留置から30日(入院期間は最短10日)。
ステント植込み施行期間は1994年10月~1995年9月。
対象患者 517例。平均年齢61歳。予定した位置にステントを留置し,残存狭窄率<30%となったステント植込み成功例。
【除外基準】A-Cバイパスグラフトとしてのステント植込み施行予定者,心原性ショックの既往,PTCA施行前に機械呼吸を必要とした患者。
治療法 PTCA施行前に,全例にheparin 15,000U+aspirin 500mg静注。
抗血小板療法群(257例)と抗凝固療法群(260例)にランダム化。
PTCA施行直後より用量補正heparinを継続静注(部分トロンボプラスチン時間を80~100秒に維持),aspirin 200mg/日(分2)は試験期間中継続投与。抗血小板療法群:ステント留置12時間後にheparin投与を中止し,施行直後からticlopidine 500mg/日(分2)投与を開始し,4週間継続投与。抗凝固療法群:ステント留置直後にphenprocoumon投与を開始,heparinをINR値が3.5-4.5で安定するまで5~10日継続静注。部分トロンボプラスチン時間とINR値は1日2回測定。
追跡完了率 投与中止例は28例(5.4%:抗凝固療法群24例,抗血小板療法群4例)。
【脱落理由】出血,末梢血管合併症など。
結果

●評価項目
一次エンドポイント(心因性)発生率は,抗血小板療法群1.6%,抗凝固療法群6.2%と抗血小板療法群で有意に抑制され(相対リスク0.25,95%CI 0.06-0.07,p=0.01),MIおよび再インターベンション施行も抗血小板療法群で有意に減少した(MI:0.8% vs 4.2%,相対リスク0.18,p=0.02,再インターベンション:1.2% vs 5.4%,0.22,p=0.01)。ステント植込み施行部位における閉塞率は,抗血小板療法群0.8%,抗凝固療法群5.4%と抗血小板療法群で有意に抑制された(相対リスク0.14,95%CI 0.02-0.62,p=0.004)。一次エンドポイント(非心因性)発生率は,抗血小板療法群1.2%,抗凝固療法群12.3%と抗血小板療法群で有意に減少(相対リスク0.09,95%CI 0.02-0.31,p<0.001)。
抗凝固療法群では試験期間を通してイベント発生が認められたのに対し,抗血小板療法群では施行後7日間のみで発生した。

●有害事象
出血性合併症は抗凝固療法群のみに17例(6.5%)認められた(p<0.001)。また,抗血小板療法群において,末梢血管イベントリスクが87%減少した(p=0.001)。

文献: Schömig A, et al. A randomized comparison of antiplatelet and anticoagulant therapy after the placement of coronary-artery stents. N Engl J Med 1996; 334: 1084-9. pubmed
関連トライアル 3T/2R, CHARISMA, CLARITY-TIMI 28, CLASSICS, ISAR-REACT 3, MATTIS, Mishkel GJ et al, MSPIRG, Müller C et al, MUSICA , Pfisterer M et al, PRISM-PLUS 1998, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESTORE, STARS, WAVE, Yoon Y et al, テーラーメイド抗血小板療法と臨床転帰, 抗血小板療法中のACS後の患者に対する新規抗凝固薬の使用
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