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NINDS rt-PA Stroke Study 1995 National Institute of Neurological Disorders and Stroke rt-PA Stroke Trial
結論 脳梗塞発症後3時間以内のrt-PA静注により,症候性頭蓋内出血は増加したものの,3ヵ月後の臨床転帰に改善が認められた。

目的 脳梗塞発症後3時間以内の血栓溶解薬rt-PA(alteplase)静注による,24時間後の神経障害の改善および3ヵ月後における臨床転帰を検討。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設。アメリカ。
期間 追跡期間は3ヵ月。登録期間は1991年1月~1994年10月。
対象患者 624例(Part 1:291例,Part 2:333例)。発症後3時間以内の脳梗塞患者。発症時間の明らかな脳梗塞,NIHSS(National Institutes of Health stroke scale)で評価可能な障害,脳CTスキャンで頭蓋内出血が認められない症例。
【除外基準】過去3ヵ月以内の脳卒中または重篤な頭部外傷歴,過去14日以内の大手術,頭蓋内出血の既往,SBP値>185mmHgまたはDBP値>110mmHg,急速な改善または軽度の症状,くも膜下出血が示唆される症状,過去21日以内の消化管出血または尿路出血,過去7日以内の圧迫不可能な部位での動脈穿刺,脳卒中発症時の痙攣,抗凝固薬の投与または脳卒中発症前48時間以内のheparin投与かつ部分トロンボプラスチン時間の上昇,プロトロンビン時間>15秒,血小板数<10万/mm3など。
治療法 rt-PA投与群(Part 1:144例,Part 2:168例)とプラセボ群(Part 1:147例,Part 2:165例)にランダム化(施設および治療開始までの時間で層別化し,ブロック割付け)。
rt-PA群:alteplase 0.9mg/kg(最大90mg)を静注(10%をボーラス投与後,90%を60分で静注)。
治療開始後24時間は抗凝固薬または抗血小板薬の投与は実施せず,血圧をある特定値以下に維持。
神経障害はNIHSSを用いて評価(NIHSSの4ポイント以上の改善または神経障害の完全消失を「改善」と定義)。主要転帰評価は,Barthel index,modified Rankin scale,Glasgow outcome scale,NIHSSを用いて評価(Barthel index 95または100,modified Rankin scaleおよびNIHSS≦1,Glasgow outcome scale 1を「好ましい転帰(最小限の障害または障害なし)」と定義)。
追跡完了率 Part 1:290例(99.7%),Part 2:329例(98.8%)からデータ入手可能。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
Part 1の対象患者(データの得られた290例)における24時間後の神経障害改善の検討では,rt-PA群とプラセボ群間に有意差は認められなかった(改善例:47% vs 39%,p=0.21)。これは治療開始までの時間別の解析でも同様であったが(0~90分:51% vs 46%,p=0.56,91~180分:42% vs 33%,p=0.23),NIHSS score(中央値)にはrt-PA投与により改善が認められた(0~180分:8 vs 12,0~90分:9 vs 11,91~180分:8 vs 12)。一方,3ヵ月後の4指標ではいずれにおいてもrt-PA群で有意な改善が認められた(「好ましい転帰」が認められた症例:Barthel index 54% vs 39%,p=0.012,modified Rankin scale 47% vs 27%,p<0.001,Glasgow outcome scale 47% vs 31%,p=0.005,NIHSS 38% vs 21%,p=0.002)。
Part 2の対象患者(データの得られた329例)における3ヵ月の臨床転帰の検討では,「好ましい転帰」が得られた症例は,4指標のいずれにおいてもrt-PA群でプラセボ群に比し30%以上増加した:Barthel indexでは32%増加(50% vs 38%,p=0.026),NIHSSでは55%増加(31% vs 20%,p=0.033),modified Rankin scale(39% vs 26%,p=0.019)およびGlasgow outcome scale(44% vs 32%,p=0.025)でも30%以上増加。これらを統合した解析では,「好ましい転帰」のオッズ比は1.7(95%CI 1.2-2.6,p=0.008)であった。24時間後の神経障害の改善に群間差はみられなかったが(改善例:48% vs 39%,p=0.19),NIHSS score(中央値)はrt-PA群で改善された(9 vs 14)。

●有害事象
両Partを統合した検討では,36時間後の症候性頭蓋内出血の発生率は,rt-PA群6.4%(20例),プラセボ群0.6%(2例)とプラセボ群で有意に抑制された(p<0.001)。10日後の重篤な全身性の出血は,rt-PA群5例,プラセボ群では認められなかった。また,軽度の外部出血はrt-PA群で多かった(23% vs 3%)。
3ヵ月後の死亡はrt-PA群17%(54例),プラセボ群21%(64例)と両群間に有意差なし(p=0.30)。新規の脳梗塞発症は,Part 1ではrt-PA群8%,プラセボ群7%,Part 2では両群ともに4%であった。

文献: The National Institute of Neurological Disorders and Stroke rt-PA Stroke Study Group. Tissue plasminogen activator for acute ischemic stroke. N Engl J Med 1995; 333: 1581-7. pubmed
関連トライアル AbESTT, AbESTT-II, Austrian Stroke Unit Registry, CLOTBUST , ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, GUSTO-I 1993, IMS III, IST-3, J-ACT, NINDS two-hour improvement, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI DWI-ASPECTS, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Saqqur M et al, Seet RC et al, SITS-ISTR elderly, SITS-MOST multivariable analysis, SYNTHESIS Expansion, TIMI II Pilot and Clinical Trial, Toni D et al, TPA Bridging Study, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 虚血性脳卒中患者に対する動注血栓溶解療法の有用性
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