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ISIS-3 Third International Study of Infarct Survival
結論 SK,APSAC,t-PAいずれの群間においても死亡率に有意差はなく,APSACおよびt-PAの有用性は認められなかった。また,t-PAとAPSACではわずかではあるが脳卒中発症の増加がみられたことを治療法選択の際に考慮するべきである。また,ISIS-2およびGISSI-2 Trialの結果はheparin追加投与の有効性を示唆したが,死亡抑制効果は認められなかった。

目的 急性心筋梗塞(AMI)が疑われる患者において,3種類の血栓溶解薬[streptokinase(SK),t-PA,anistreplase(APSAC)]の効果を比較検討。さらに,heparinとaspirinの併用効果をaspirin単独投与と比較。
デザイン ランダム化,二重盲検,3×2 factorial,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(20ヵ国,914病院)。
オーストリア,ベルギー,カナダ,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,アイルランド,イタリア,ルクセンブルク,オランダ,ニュージーランド,ポーランド,(南アメリカ),スペイン,スウェーデン,スイス,イギリス,アメリカ。
期間 追跡期間は6ヵ月。ランダム化の期間は1989年9月~1991年1月。
対象患者 41,299例。AMI様症状発症後24時間以内(中央値4時間)。
治療法 SK投与群(13,780例:SK 150万Uを1時間静注),t-PA投与群(13,746例:duteplase 60万U/kgを4時間で静注),APSAC投与群(13,773例:APSAC 30Uを3分間静注)にランダム化。さらに,aspirin単独投与群(20,643例)とaspirin+heparin併用投与群(20,656例)にランダム化。aspirinは腸溶錠162mg/日を1ヵ月間投与(初回投与は砕くか,かみ砕いて服用)。heparinはランダム化後4時間から25,000IU/日(分2)を7日間皮下投与。
その他の抗凝固薬および7日間を超えるheparin投与は避けた。
追跡完了率 死亡率に関する追跡完了率は,退院時で99%,5週間後で92%,6ヵ月後では68%。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
aspirin+heparin併用群 vs aspirin単独群:再梗塞の発症は併用群でやや少なかった(3.16% vs 3.47%,2p=0.09)。また,35日後 [2,132例(10.3%)vs 2,189例(10.6%)]および6ヵ月後の死亡率に有意差なし。heparin投与期間における院内死亡は併用群で顕著に抑制されたが(0~7日:7.4% vs 7.9%,2p=0.06),35日後までの追加死亡数は併用群で多かった(598例 vs 556例)。この傾向はGISSI-2 Trialでも認められ,2試験の結果の統合では,治療期間において併用群で死亡率が有意に抑制されたが(0~7日:6.8% vs 7.3%,2p<0.01),heparin投与終了後は両群で同等であった(0~35日後:10.0 vs 10.2)。
SK群 vs APSAC群:再梗塞の発症に有意差なし(3.47 vs 3.55)。また,35日後 [1,455例(10.6%)vs 1,448例(10.5%)]および6ヵ月後の死亡率(14.0 vs 13.7)にも有意差なし。
SK群 vs t-PA群:再梗塞の発症はt-PA群で抑制された(3.47 vs 2.93,2p<0.02)。また,35日後 [1,455例(10.6%)vs 1,418例(10.3%)]および6ヵ月後の死亡率(14.0 vs 14.1)に有意差は認められなかった。

●有害事象
aspirin+heparin併用群 vs aspirin単独群:併用群で輸血または脳以外での大出血(NCB)が多く(1.0% vs 0.8%,2p<0.01),脳内出血も多かったが(0.56 vs 0.40,2p<0.05),全脳卒中の発症は有意差なし(1.28 vs 1.18)。
SK群 vs APSAC群:APSAC群でアレルギー(3.6% vs 5.1%,2p<0.00001),NCB(4.5 vs 5.4,2p<0.001)が有意に多かったが,輸血または再梗塞は少なかった。全脳卒中の発症率はAPSAC群で高く(1.04 vs 1.26,2p=0.08),治療開始後すぐの発症が多かった(0~1日:0.50 vs 0.73,2p<0.02)。脳内出血もAPSAC群で多くみられた(0.24 vs 0.55,2p<0.0001)。
SK群 vs t-PA群:t-PA群ではアレルギー(3.6% vs 0.8%,2p<0.00001),薬物療法の必要な低血圧症(11.8 vs 7.1,2p<0.00001)の発症率が有意に低かったが,NCBは有意に高かった(4.5 vs 5.2,2p<0.01)。全脳卒中の発症率はt-PA群で有意に高く(1.04 vs 1.39,2p<0.01),多くが治療開始後すぐに発症した(0~1日:0.50 vs 0.92,2p<0.0001)。脳内出血もt-PA群で有意に多かった(0.24 vs 0.66,2p<0.00001)。

文献: [main] ISIS-3 (Third International Study of Infarct Survival) Collaborative Group. ISIS-3: a randomised comparison of streptokinase vs tissue plasminogen activator vs anistreplase and of aspirin plus heparin vs aspirin alone among 41,299 cases of suspected acute myocardial infarction. Lancet 1992; 339: 753-70. pubmed
関連トライアル AIMS 1988, AIMS 1990, ASSET, CAST, COMMIT, DUCCS 1, DUCCS-II, ECSG-RTPA, Elwood PC et al 1979, EMERAS, GISSI-1 1986, GISSI-2 1990, GISSI-2 and the International Study, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1993, GUSTO-I 1995, ISIS-2, ISIS-2 10 year survival, ISIS-pilot, IST 1997, LATE 1993, MAST-I, Neri Serneri GG et al, SCATI, TIMI 4
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