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SPIRIT Stroke Prevention In Reversible Ischemia Trial
結論 軽度の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)既往患者への二次予防において,INR 3.0-4.5の抗凝固療法の安全性は示されなかった。今後,よりINRの低い抗凝固療法の有効性に関する検討が必要とされる。

目的 動脈に起因する脳虚血イベント[一過性脳虚血発作(TIA)または介助を要する障害を残さない脳梗塞]の既往患者において,経口抗凝固療法(INR 3.0-4.5)と低用量aspirin(30mg/日)の有効性と安全性を比較検討。
一次アウトカム:全血管死+非致死性脳卒中+非致死性心筋梗塞(MI)+重度の非致死性出血性合併症の複合。二次アウトカム:全死亡,全血管死,全血管死または非致死性脳卒中。
デザイン ランダム化,オープン,intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(58施設)。オランダ(52施設),その他(6)。
期間 追跡期間は平均14ヵ月(0~37ヵ月)。
登録期間は1993年4月~1996年5月。
対象患者 1,316例。平均年齢63.3歳。2/3が男性。過去6ヵ月以内にTIAまたは軽度の脳梗塞(Rankinスコア3以下)が認められた症例。
【除外基準】重度の頸動脈狭窄に起因し手術を要する脳梗塞,心房細動による二次的な塞栓症に起因する脳梗塞,心臓弁疾患,最近のMI既往,血液凝固障害,経口抗凝固薬またはaspirinへの適応あるいは禁忌。
治療法 抗凝固療法群(651例)とaspirin 30mg/日投与群(665例)にランダム化。
抗凝固療法群:主にphenprocoumonが用いられたが,acenocoumarol,warfarinも使用された。INR目標値は3.5(3.0-4.5)。追跡調査ごとにプロトロンビン時間を測定。
aspirin群:100mg/日まで増量可(95%が30mg/日,3%が75mg/日,2%が100mg/日を投与)。
鎮痛薬としてはacetaminophenのみを服用するよう指示。
追跡完了率 投与中止例は187例(14.2%:抗凝固療法群143例,aspirin群44例)。
【脱落理由】軽度の出血性合併症(26例),非致死性脳卒中またはMI(24例),その他の抗血栓薬投与開始(23例),非致死性の大出血性合併症(22例)など。
結果

●評価項目
[1996年4月末時点での1,200人・年における中間解析から,抗凝固療法群で一次アウトカムの増加が認められたため(相対リスク2.1,95%CI 1.3-3.3),本試験は早期に中止された。]
一次アウトカムの発生はaspirin群36例に対し,抗凝固療法群では81例と多くみられた(ハザード比2.3,95%CI 1.6-3.5)。また,全死亡(35例 vs 15例,ハザード比2.4,95%CI 1.3-4.4),全血管死(24例 vs 11例, 2.3,1.1-4.6),全血管死または非致死性脳卒中(48例 vs 29例,1.7,1.1-2.7)はいずれも抗凝固療法群で多かったが,重度の虚血性イベントは,両群間に有意差は認められなかった(27例 vs 27例,1.03,0.6-1.75)。
抗凝固作用の強度(INR)の上昇に伴い,重度の出血性合併症の顕著な増加が認められ,Poisson回帰モデルを用いた解析では,INRが0.5上昇すると合併症発症率(発症数/症例数・年)は1.43(95%CI 0.96-2.13)上昇することが示された。

●有害事象
重度の出血性合併症が抗凝固療法群で多かった[53例(頭蓋内27例,致死性17例)vs 6例(頭蓋内3例,致死性1例),ハザード比9.3,95%CI 4.0-22]。

文献: [main] The Stroke Prevention in Reversible Ischemia Trial (SPIRIT) Study Group. A randomized trial of anticoagulants versus aspirin after cerebral ischemia of presumed arterial origin. Ann Neurol 1997; 42: 857-65. pubmed
関連トライアル ACCSG 1985, AFASAK 2 1999, AICLA, AITIA 1977, CAPRIE 2000, CASISP, CAST-IST, Dutch-TIA Trial, EAFT 1993, EAFT 1995, ECLAP, ESPRIT , ESPRIT 2006, FISS-tris, Georgiadis D et al, 2009, Hellemons BS et al, JAST, JETS-1, JNAF-ESP, JPPP, Martí-Fàbregas J et al, NASPEAF, Palnum KH et al, POISE-2, S-ACCESS, SIFA, TASS 1989, TASS 1993, TASS 1993, TISS, TPT, UK-TIA, WARCEF, WARFASA, WASID, WAVE
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