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IST 1997 International Stroke Trial
結論 heprinは6ヵ月後の有効性が確認できず,臨床上でheparinをルーチンで皮下注入する際は5,000IU×2回/日を超えない用量にすべきであることが示唆された。aspirinではわずかながらも改善が認められた。CAST(Chinese Acute Stroke Trial)と合わせた結果,aspirin投与は初期の数週間における死亡または脳卒中の再発を約10例/1,000人減少させ,脳梗塞発症後の早期のaspirin投与が推奨された。

目的 脳梗塞急性期の患者において,抗血小板薬aspirinおよび抗凝固薬heparin皮下投与の安全性と有効性を検討。
一次エンドポイント:14日以内の死亡,6ヵ月後の死亡または要介護。
デザイン ランダム化,オープン,factorial。
セッティング 多施設(36ヵ国・地域,467病院)。
アルゼンチン,オーストラリア,オーストリア,ベルギー,ブラジル,カナダ,チリ,チェコ,デンマーク,アイルランド,フィンランド,フランス,ギリシャ,香港,ハンガリー,インド,イスラエル,イタリア,日本,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ポーランド,ポルトガル,ルーマニア,シンガポール,スロバキア,スロベニア,南アフリカ,スペイン,スリランカ,スウェーデン,スイス,トルコ,イギリス,アメリカ。
期間 追跡期間は6ヵ月。
登録期間は1991年1月~1993年2月(パイロットphase),1993年3月~1996年5月。
対象患者 19,435例。発症から48時間以内で脳内出血がなく,heparinまたはaspirinへの適応が明らかでない,または禁忌のない患者。
【除外基準】症状が数時間以内に完全寛解すると推測される患者,脳梗塞発症前から重篤な機能障害を伴う患者,有害事象のリスクが高い患者など。
治療法 全例の半分に未分画heparinを皮下投与(1/4の患者は低用量群:5,000IU×2/日,1/4の患者は中用量群:12,500IU×2/日)。半数にaspirin 300mg/日を投与。aspirin 300mg+heparin 12,500IU群:2,430例,aspirin 300mg+heparin 5,000IU群:2,432例,aspirin 300mg群:4,858例,heparin 12,500IU群:2,426例,heparin 5,000IU群:2,429例,非投与群:4,860例の6群にランダム化。一次解析は,heparin群 vs heparin非投与群,aspirin群 vs aspirin非投与群。
追跡完了率 臨床アウトカムデータは14日以内で99.99%,6ヵ月以内では99.2%で入手可能。コンプライアンスは良好であった。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
14日以内の死亡は,heparin群876例(9.0%)でheparin非投与群905例(9.3%)より少なかったものの有意差はなかった(1,000人あたり3例の減少)。出血性脳卒中,頭蓋外出血による死亡はheparin群で有意に多かった(各2p=0.04,2p=0.02),6ヵ月後の死亡または要介護は,両群で62.9%と同等。14日以内の脳梗塞の再発はheparin非投与群の3.8%に対しheparin群で2.9%と有意に少なかったが(2p=0.005),出血性脳卒中は0.4% vs 1.2%と有意に多く(2p<0.00001),死亡または非致死性脳梗塞の再発は12.0% vs 11.7%と有意差はなかった。輸血または致死性頭蓋外出血は,heparin群で1,000人あたり9例と有意に多かった(1.3% vs 0.4%,2p<0.00001)。
heparin 5,000IU×2/日群と比較して,heparin 12,500IU×2/日群では輸血または致死性頭蓋外出血,出血性脳卒中,14日以内の死亡または非致死性脳梗塞が多かった(12.6% vs 10.8%,2p=0.007)。
aspirin群では,14日以内の死亡がaspirin非投与群909例(9.4%)に対し872例(9.0%)と少なかったものの有意差はなかった(1,000人あたり4例の減少)。6ヵ月後の死亡または要介護は,63.5% vs 62.2%とaspirin群で少なかった(2p=0.06,1,000人あたり13例の減少)。
14日以内の脳梗塞の再発は,aspirin非投与群の3.9%に対してaspirin群2.8%と有意に少なかったが(2p<0.001),出血性脳卒中は有意差はなく(0.9% vs 0.8%),死亡または非致死性脳梗塞の再発は12.4% vs 11.3%とaspirin群で有意に少なかった(2p=0.02,1,000人あたり11例の減少)。

●有害事象
輸血または致死性頭蓋外出血は,heparin投与群で非heparin投与群に比し1,000人あたり9例と有意に多く(heparin投与群1.3%,非投与群0.4%,2p=0.00001),またaspirin投与群においても非aspirin投与群に比し1,000人あたり5例と有意に多かった(aspirin投与群1.1%,非投与群0.6%,2p=0.0004)。aspirinとheparinの交互作用は認められなかった。

文献: [main] International Stroke Trial Collaborative Group. The International Stroke Trial (IST): a randomised trial of aspirin, subcutaneous heparin, both, or neither among 19435 patients with acute ischaemic stroke. Lancet 1997; 349: 1569-81. pubmed
関連トライアル ACE, aspirinの一次および二次予防効果(ATT), aspirin長期連用による癌死リスク抑制効果, aspirin連日投与による癌転移抑制効果, aspirin連日投与による短期の癌発生,癌死,非血管死抑制効果, ATOLL, BAFTA, CADISS, CAPRIE 1996, Caprio FZ et al, CASISP, CAST, CAST-IST, COMMIT, CSPS 2, EAFT 1993, EARLY, EMERAS, ESPRIT , ESPRIT 2006, ESTAT, FASTER, FISS-tris, FRISC, GISSI-2 and the International Study, ISIS-2, ISIS-2 10 year survival, ISIS-3, ISIS-pilot, IST 2001, IST-3, MAST-I, PERFORM, PREVAIL, PRoFESS disability and cognitive function, SALT, SCATI, SPAF III 1996, SPS3, TPT
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