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第82回日本循環器学会学術集会(JCS 2018)2018年3月23〜25日,大阪
リバーロキサバンはプロテアーゼ活性型受容体(PAR)活性化を阻害することで高血圧性腎障害を軽減する-レニン過剰発現マウスによる検討
2018.4.17
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JCS 2018取材班
市川博章氏
市川博章氏

高血圧モデルマウスを用いた検討において,リバーロキサバンはPAR活性化阻害を介した腎保護作用を有する可能性が示唆-3月25日,第82回日本循環器学会学術集会にて,市川博章氏(弘前大学大学院医学研究科循環器腎臓内科学講座)が発表した。

●背景・目的

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAS)の亢進は高血圧を引き起こすだけでなく,心肥大や腎障害などの原因となることが知られている。その過程において,第Xa因子を介したPARの活性化が重要な役割を果たしている可能性がある。すなわち,RASの亢進により,組織因子を介して産生された第Xa因子は,直接または間接的にPAR-1,PAR-2を活性化し,そのシグナルはNF-κBを介した臓器障害を引き起こすと考えられる1)

今回,レニン過剰発現マウス(高血圧モデル)を用いて,高血圧性腎障害におけるPAR伝達系の役割とリバーロキサバン(第Xa因子阻害薬)の腎障害に対する保護作用を明らかにするために検討を行った。

●方法・対象

1. in vivo

週齢12~16週の野生型マウスおよびレニン過剰発現マウスを用いた。長期投与での検討では,リバーロキサバン12mg/kgを4ヵ月間混餌投与し,4ヵ月後に抗Xa因子活性,リバーロキサバン血中濃度,プロトロンビン時間,尿中アルブミン,腎臓の組織学的所見を対照群と比較した。短期投与での検討では,リバーロキサバン12mg/kgを1ヵ月間混餌投与し,1ヵ月後にPAR-2,monocyte chemoattractant protein(MCP)-1,腫瘍壊死因子(TNF)-αのmRNAおよびタンパク発現を対照群と比較した。

2. in vitro

培養細胞(ヒトポドサイト)にアンジオテンシンIIを添加して障害を惹起し,ファロイジン染色およびqPCR法を用いて,リバーロキサバン(500μg/L)による影響を検討した。

●結果

1. in vivo

長期投与において,レニン過剰発現マウスでは,野生型マウスより尿中アルブミンが有意に増加したが(p<0.01),リバーロキサバン投与群で減少していた(p<0.01)。また,レニン過剰発現マウスの糸球体足細胞(ポドサイト)を電子顕微鏡で観察したところ,足突起が障害を受け,スリット孔が減少していたが(p<0.01),リバーロキサバン投与により軽減された(p<0.01)。

短期投与では,レニン過剰発現マウスでは,野生型マウスよりPAR-2 mRNA発現は約1.5倍,PAR-2タンパク発現は約4倍に増加していたが(ともにp<0.01),リバーロキサバン投与により野生型マウスと同程度まで抑制されていた(mRNA p<0.01,タンパクp<0.05)。TNF-α,MCP-1についても同様の結果が得られた。

2. in vitro

これらの結果を踏まえて,in vitroでの検討を実施した。ファロイジン染色にてヒトポドサイトのアクチンフィラメントを観察したところ,アンジオテンシンIIの添加により,アクチンフィラメントの障害・集積が観察されたが,リバーロキサバンの添加によりアクチンフィラメントの障害が抑制された。また,炎症反応を観察したところ,アンジオテンシンⅡの添加によりTNF-α,MCP-1のmRNA発現は有意に増加したが,リバーロキサバンを添加した群では抑制された。

最後に,PAR2ノックダウン下では,アンジオテンシンIIによるTNF-αおよびMCP-1 のmRNA発現増加は認められないことを確認した。

●結論

レニン過剰発現マウスを用いた検討において,リバーロキサバンは第Xa因子阻害によるPARシグナル系の活性化抑制を介した腎保護作用を有する可能性が示唆された。

文献

  • Sechi LA, et al. Am Relationship of plasma renin with a prothrombotic state in hypertension: relevance for organ damage. J Hypertens 2008; 21: 1347-53.


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