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欧州心臓病学会学術集会(ESC 2017)2017年8月26〜30日,バルセロナ
リバーロキサバンの安全性に関する解析―XANTUSプログラムより
2017.9.7
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ESC 2017取材班
Paulus Kirchhof氏
Paulus Kirchhof氏

非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,脳卒中予防のためのリバーロキサバン投与中の有害事象発生率は全体的に低く,結果は地域間で一貫していた-8月28日,欧州心臓病学会(ESC)にて,Paulus Kirchhof氏(University of Birmingham, Institute of Cardiovascular Sciences - Birmingham,英国)が発表した。

●背景・目的

NVAF患者における脳卒中予防のための抗凝固療法において,各国のガイドライン1, 2)は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)がビタミンK拮抗経口抗凝固薬(VKA)の代替薬,もしくはより望ましい治療薬として推奨されており,近年DOACの使用が増加している。実際,第III相臨床試験ROCKET AFでは,リバーロキサバンがワルファリンよりも望ましいベネフィット/リスクプロファイルを有することが示されている3)。しかしながら,リアルワールドにおけるDOACの安全性は,まだ十分には検討されていない。

XANTUSプログラムは,日常診療下におけるユニークな前向き観察研究である。本プログラムは異なる地域で実施された3つの試験から成り,XANTUSには西欧/東欧/カナダ/イスラエル4, 5),XANAPにはアジア太平洋地域,XANTUS-ELには東欧/中東/アフリカ/ラテンアメリカの患者が登録されている。

本解析ではプログラム全体の結果を統合し,世界47ヵ国のNVAF患者に対するリバーロキサバンの安全性プロファイルを評価した。

●方法・対象

XANTUSプログラムは,脳卒中または全身性塞栓症予防のため,新規にリバーロキサバンの服用を開始した18歳以上の患者を対象とした。追跡は3ヵ月間隔で1年間行ったが,追跡期間が1年未満の場合は,服用中止から30日以上経過後に追跡を行った。

患者には各国の添付文書にしたがい,リバーロキサバンが処方された。多くの国では,クレアチニンクリアランス(CrCl)≧50mL/分では20mg 1日1回,CrCl 15~49mL/分では15mg 1日1回が投与されたが,台湾ではCrCl>50 mL/分では15mgまたは20mg,CrCl 15~50 mL/分では10mgまたは15mgが用いられた。

主要評価項目は,ISTH出血基準大出血,全死亡,その他の有害事象。副次評価項目は症候性血栓塞栓性イベント(脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],全身性塞栓症,心筋梗塞),非大出血,治療の継続性である。なお,出血性脳卒中は脳卒中と大出血イベントの両方の評価に組み入れた。イベントの判定は,独立した中央イベント評価委員会にて行った。

●結果

2012年6月~2014年12月に3試験合計16,187例が登録された。本解析では,47ヵ国の11,121例を対象とした。

1. 患者背景

対象患者の平均年齢は70.5歳,男性57.1%,平均BMI 28.0 kg/m2であり,地域の内訳は西欧/カナダ/イスラエル47.5%,東欧23.2%,東アジア20.1%,中東/アフリカ6.2%,ラテンアメリカ3.0%であった。初回測定時のCrClは≦80 mL/分42.7%,>80mL/分20.9%,不明36.4%であった。心房細動の病型は,新規診断18.4%,発作性37.3%,持続性16.2%,永続性27.7%。CHADS2スコア2.0,CHA2DS2-VAScスコア3.5,HAS- BLEDスコア2.0であった(すべて平均値)。

合併症は,高血圧76.2%,糖尿病22.3%,脳卒中/TIA/全身性塞栓症既往21.3%,うっ血性心不全21.2%,心筋梗塞既往8.9%に認めた。また,72.4%は以前に抗血栓療法をうけていた。その内訳はVKA 38.3%,直接トロンビン阻害薬3.9%,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)1.2%,アスピリン(DAPTは含まず)18.6%,リバーロキサバン以外の第Xa因子阻害薬0.2%,他の抗凝固薬7.3%,抗血栓薬多剤併用3.0%であった。

 対象患者には地域差が認められ,脳卒中リスクは西欧/カナダ/イスラエルならびに中東/アフリカ,出血リスクは中東/アフリカならびにラテンアメリカの患者が他地域にくらべ低かった。

2. 治療状況

リバーロキサバンの用量は,20 mg 1日1回が73.1%を占め,15mg 1日1回25.1%,10mg 1日1回1.6%,その他0.2%であった。平均治療期間は324.5日で,全体の76.8%が全12ヵ月の追跡を完遂した。脱落は23.1%で,6.5%はAEによるものであった。

3. AEの発生状況

治療下での大出血1.5%(1.7%/年),脳卒中/全身性塞栓症 0.9%(1.0%/年),全死亡1.7%(1.9%/年)と全体的に低く,96%の患者にはこれらのAEを認めなかった。

大出血の内訳は,致死性出血0.2%/年,重要な臓器からの出血0.6%/年で,そのうち頭蓋内出血0.4%/年であった。部位別では,消化管出血がもっとも多かったが,0.8%/年であった。症候性血栓塞栓性イベントは1.8%/年で,脳卒中0.9%/年(脳梗塞0.6%/年,出血性脳卒中0.2%/年),全身性塞栓症0.1%/年,TIA 0.4%/年,心筋梗塞0.4%/年にみられた。また,おもな死因は心血管疾患(43.9%),がん(13.9%),感染症(12.8%),出血(9.1%)であった。

大出血,脳卒中/全身性塞栓症,死亡を認めなかった症例の割合は地域間で一貫していたが(95.7~97.4%),大出血の発生率は西欧/カナダ/イスラエルで2.3%/年と他地域(0.7~1.6%/年)にくらべ多かった。一方,脳卒中/全身性塞栓症は東アジアで1.8%/年と他地域(0~1.0%/年)にくらべ多く,死亡は中東/アフリカおよびラテンアメリカで2.7%/年で,他地域(1.5~2.0%/年)にくらべ多かった。

そのほか,CHADS2スコアまたはCHA2DS2-VAScスコアの高い患者では大出血,脳卒中/全身性塞栓症,死亡の発生率が高かった。 1年後の時点で治療を継続していたのは77.4%,地域別では東アジア66.4%,中東/アフリカ,ラテンアメリカ,西欧/カナダ/イスラエル76.2~78.8%,東欧84.4%であった。

●まとめ

日常臨床診療下におけるリバーロキサバンで治療中の大出血や脳卒中/全身性塞栓症,死亡の発生率は低く,47ヵ国のNVAF患者11,121例を対象とした本解析では,96%にこれらのAEを認めなかった。結果は地域間で一貫しており,ROCKET AFの結果を支持するものである。NVAF患者の脳卒中予防において,XANTUSの結果はリバーロキサバンの安全性に関するエビデンスに寄与すると考えられる。

文献

  • Kirchhof P, et al. 2016 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with EACTS. Eur Heart J 2016; 37: 2893-962.
  • January CT, et al. 2014 AHA/ACC/HRS guideline for the management of patients with atrial fibrillation: executive summary: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on practice guidelines and the Heart Rhythm Society. Circulation 2014; 130: 2071-104.
  • Patel MR, et al. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.
  • Camm AJ, et al. XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation. Eur Heart J 2016; 37: 1145-53.
  • Camm AJ, et al. XANTUS: rationale and design of a noninterventional study of rivaroxaban for the prevention of stroke in patients with atrial fibrillation. Vasc Health Risk Manag 2014; 10: 425-34.


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