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米国心臓協会学術集会(AHA 2017)2017年11月11〜15日,アナハイム
80歳以上の高齢NVAF患者におけるリバーロキサバンのワルファリンに対する有効性および安全性
2017.11.24
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AHA 2017取材班
Craig I. Coleman氏
Craig I. Coleman氏

米国の80歳以上の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象としたデータベース解析において,リバーロキサバンのワルファリンに対する有効性および安全性は,ROCKET AFの全患者ならびに高齢患者のサブグループ解析の結果と同様-11月12日,米国心臓協会学術集会(AHA)にて,Craig I. Coleman氏(University of Connecticut,米国)が発表した。

●背景・目的

NVAFは高齢者に多くみられる疾患で,患者の半数以上が80歳を超えているとの報告もある1)。また,80歳の高齢者が死亡までに心房細動を発症するリスクは,男性22.7%,女性21.6%とされている1)。一方,NVAF患者を対象とした直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の第III相臨床試験では,高齢者の割合は少なく,その有用性は十分に検討されていない2)

リバーロキサバンのNVAF患者を対象とした第III相臨床試験ROCKET AFの高齢患者(75歳以上)における有効性と安全性は,全体成績と同様であった3, 4)

本研究では保険請求データベースを用いて,リアルワールドの80歳以上のNVAF患者におけるリバーロキサバンの有効性および安全性をワルファリンと比較検討した。

●方法

米国の民間保険請求データベースMarketScanの2011年11月~2016年3月のデータより,新規にリバーロキサバンまたはワルファリンを処方され,処方開始前12ヵ月間に経口抗凝固薬(OAC)の処方歴がない80歳以上のNVAF患者を対象とした。一過性のNVAF,静脈血栓塞栓症,股関節または膝関節形成術,妊婦,追跡期間に2剤以上のOACを処方された患者は除外した。

患者特性,併存疾患,脳卒中および出血リスク因子,併用薬などの143の変数にもとづき,リバーロキサバン処方例とワルファリン処方例を1:1で傾向スコアマッチングした。 主要評価項目は脳卒中/全身性塞栓症および大出血である。

●対象

対象患者は各群4,398例で,平均年齢はリバーロキサバン群84歳,ワルファリン群84歳,男性はそれぞれ44.2%,45.0%であった。平均CHADS2スコアは2点,2点,平均CHA2DS2-VAScスコアは4点,4点,平均HAS-BLEDスコアは2点,2点であり,高血圧は80.6%,80.0%,糖尿病は23.6%,24.2%,心不全は26.3%,28.2%,脳卒中既往は9.5%,10.2%,慢性腎臓病は13.4%,13.6%に認められた。また,抗血小板薬は15.9%,14.6%に処方されていた。リバーロキサバン群のうち,1,909例(43.4%)で減量投与されていた。すべての共変量について,標準偏差は10%未満であった。

●結果

on-treatment解析(追跡期間中央値:0.4年)において,脳卒中/全身性塞栓症の発症率は,リバーロキサバン群1.06%/年,ワルファリン群1.86%/年(ハザード比[HR]0.62,95%CI 0.39-0.93),脳梗塞はそれぞれ0.86%/年,1.52%/年(HR 0.59,95%CI 0.37-0.95)と,いずれもリバーロキサバン群で有意に低かった。

大出血の発現率は,リバーロキサバン群3.74%/年,ワルファリン群4.24%/年(HR 0.96,95%CI 0.74-1.23)と同程度であった。出血性脳卒中(それぞれ0.17%/年,0.30%/年,HR 0.61,95%CI 0.21-1.77)および頭蓋内出血(0.23%/年,0.41%/年,HR 0.57,95%CI 0.23-1.43)の発現率は,リバーロキサバン群で有意ではないが低値であった。

intention-to-treat解析(追跡期間中央値:1.4年)では,効果量は小さくなったものの,脳卒中/全身性塞栓症(HR 0.83,95%CI 0.64-1.06)および大出血(HR 1.00,95%CI 0.83-1.20)ともon-treatment解析と同様の結果が得られた。

●研究の限界

本研究には,データの欠測や分類の誤りなど保険請求データベースにしばしばみられるいくつかの限界がある5)。また,米国の保険請求データベースを用いていることから,米国の患者以外にあてはまらないかもしれない。

傾向スコアマッチングは,データベースの中からデータを抽出し,比較可能な重要な影響因子で調整してコホートを作成できるが,本解析でマッチングできたのは,MarketScanデータベースで入手できた変数のみである6)。傾向スコアによる解析では,残差交絡を除外することは不可能である7)

なお,保険請求データベースは,検査データが十分でない場合が多い。本研究でもPT-INRの測定値が入手できなかったため,TTRは算出できなかった。

●結論

米国の80歳以上のNVAF患者を対象に保険請求データベースを解析した結果,リバーロキサバンのワルファリンに対する有効性および安全性は,ROCKET AFの全患者,ならびに高齢患者のサブグループ解析の結果と同様であった。本結果は,高齢NVAF患者に対するリバーロキサバンの使用について,有用な情報を提供するものである。

文献

  • Benjamin EJ, et al. Heart disease and stroke statistics-2017 update: a report from the American Heart Association. Circulation 2017; 135: e146-603.
  • Ruff CT, et al. Comparison of the efficacy and safety of new oral anticoagulants with warfarin in patients with atrial fibrillation: a meta-analysis of randomised trials. Lancet 2014; 383: 955-62.
  • Patel MR, et al. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.
  • Halperin JL, et al. Efficacy and safety of rivaroxaban compared with warfarin among elderly patients with nonvalvular atrial fibrillation in the Rivaroxaban Once Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF). Circulation 2014; 130: 138-46.
  • Gandhi S, et al. Administrative databases and outcomes assessment: an overview of issues and potential utility. J Manag Care Spec Pharm 1999; 5: 215-22.
  • Truven Health Analytics. MarketScan Research Databases. http://truvenhealth.com/Portals/0/assets/ACRS_11223_0912_MarketScanResearch_SS_Web.pdf. 2017年11月22日閲覧.
  • Austin PC. An Introduction to propensity score methods for reducing the effects of confounding in observational studies. Multivariate Behav Res 2011; 46: 399-424.


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