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第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)2016年3月18〜20日,仙台
アブレーション周術期の抗凝固療法におけるリバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンの有効性と安全性の評価
2016.4.4
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アブレーション周術期における無症候性微小脳梗塞および心タンポナーデの発症は,リバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンで同程度-3月19日,第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)にて,吉村あきの氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心臓血管・高血圧内科学,現・鹿児島市立病院循環器内科)が発表した。

●背景・目的

心房細動カテーテルアブレーション(以下,アブレーションと略す)周術期における塞栓症リスクは,ワルファリンの継続投与で低下することが示されている1)。一方われわれは,アブレーション周術期におけるダビガトランの使用が,ワルファリンに比べて無症候性塞栓症ならびに心タンポナーデのリスクを増大させることを報告している2)。今回,アブレーション周術期にリバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンを使用した場合の無症候性微小脳梗塞および心タンポナーデの合併を比較した。

●方法

対象は,アブレーション施行予定の薬物治療抵抗性心房細動患者174例である。来院時に非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬を服用していた患者はリバーロキサバン群(55例),アピキサバン群(50例)に無作為に割り付け,ワルファリンを服用していた患者はそのままワルファリン群(69例)として投与を継続した。アブレーション施行翌日に脳MRIを撮影し,無症候性微小脳梗塞を評価した。

周術期の抗凝固療法は,リバーロキサバン群では(施行前日の)夕方に服用し継続投与,アピキサバン群では施行当日朝のみ中止,ワルファリン群ではPT-INRが治療域となるよう継続投与とした。アブレーション施行前,経食道心エコーで左房および左心耳に血栓のないことを確認した。アブレーションはCFAEアブレーション単独(CFAE)もしくは肺静脈隔離術を併用(PVI+CFAE)した。ヘパリンは活性化全血凝固時間(ACT)が>300秒となるように投与した。心臓CTで冠動脈狭窄が疑われる場合は,アブレーション時に冠動脈造影(CAG)も行った。肺静脈隔離の確認にはリング状カテーテルを用いた。

●結果

1. 全体の患者背景

年齢(リバーロキサバン群59.1歳,アピキサバン群58.7歳,ワルファリン群60.7歳),男性の割合(それぞれ82%,82%,75%)および CHADS2スコア(1.1,1.1,1.0)は,3群で同程度であった。

(アブレーション手技には差が認められ),リバーロキサバン群およびアピキサバン群はワルファリン群よりもCFAE+PVI併用が少なかった(36%,48%,73%,いずれもp<0.01)。また,両群はワルファリン群よりもリング状カテーテルの左房内留置時間が短かった(29分[p<0.001],32分[p=0.04],45分)。(p値はすべてワルファリン群に対する値である)

2. 無症候性微小脳梗塞

無症候性微小脳梗塞は全体で32例に認めた。内訳はリバーロキサバン群9例(16.4%),アピキサバン群10例(20%),ワルファリン群13例(18.8%)で,群間差は認めなかった。

微小脳梗塞あり群は,なし群よりも高齢で(それぞれ62.7歳,59.0歳,p=0.04), CHADS2スコア(1.6,1.1,p<0.01)およびHAS-BLEDスコア(1.8,1.3点,p<0.01)が高く,高血圧(88%,71%,p=0.04),糖尿病(21.9%,8%,p=0.026),冠動脈疾患(21.9%,7%,p=0.019)が多かった。また,上腕-足首間脈波伝播速度(1,618 cm/s,1,494 cm/s,p=0.015),左室容積係数(115.5g/m2,99.7 g/m2,p<0.01),冠動脈造影実施(18.8%,3.5%,p<0.01),リング状カテーテルの左房内留置時間(51分,33分,p=0.023)に有意差を認めた。

3. その他の合併症

症候性塞栓症は認めなかった。心タンポナーデはリバーロキサバン群2例(3.6%),アピキサバン群1例(2%),ワルファリン群2例(2.9%)に発症したが,群間差は認められなかった。

4. 無症候性微小脳梗塞の予測因子

多変量解析を行ったところ,CAG(オッズ比5.25,95%信頼区間1.23-22.39,p=0.02)が独立予測因子であった。

●結論

アブレーションにおける無症候性微小脳梗塞および心タンポナーデの発症は,リバーロキサバン,アピキサバン,ワルファリンで同程度であった。

文献

  • Di Biase L, et al. Periprocedural stroke and bleeding complications in patients undergoing catheter ablation of atrial fibrillation with different anticoagulation management: results from the Role of Coumadin in Preventing Thromboembolism in Atrial Fibrillation (AF) Patients Undergoing Catheter Ablation (COMPARE) randomized trial. Circulation 2014; 129: 2638-44.
  • Ichiki H, et al. The incidence of asymptomatic cerebral microthromboembolism after atrial fibrillation ablation: comparison of warfarin and dabigatran. Pacing Clin Electrophysiol 2013; 36: 1328-35.

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