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第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)2016年3月18〜20日,仙台
心房細動患者における年齢別の脳卒中リスク因子-Fushimi AF Registryより
2016.3.30
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赤尾昌治氏
赤尾昌治氏

心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症発症のリスク因子は年齢によって異なり,75歳以上では脳卒中/全身性塞栓症/TIA既往,75歳未満では慢性腎臓病-3月19日,第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)にて,赤尾昌治氏(国立病院機構京都医療センター循環器内科部長)が発表した。

●背景・目的

心房細動患者における脳卒中または全身性塞栓症発症リスクの評価には,現在CHADS2スコアまたはCHA2DS2-VAScスコアが,年齢にかかわらず広く用いられている。しかし,これらのスコアの妥当性はおもに高齢患者で評価されており,スコアを構成する各リスク因子が高齢患者と若齢患者で同様の影響力をもつかどうか検討した研究はほとんどない。デンマークの大規模コホート研究1)では,すべての年齢層においてCHA2DS2-VAScスコアの上昇と脳卒中の発症が相関することが示されたが,個々のリスク因子が脳卒中の発症におよぼす影響については,年齢層により異なるようであった。 そこで本発表では,伏見心房細動患者登録研究(Fushimi AF Registry)に登録された心房細動患者を対象に,脳卒中/全身性塞栓症発症のリスク因子を年齢層別に検討した。

●方法

Fushimi AF Registryは,京都市伏見区の心房細動患者全例の登録を目指す地域ベースの前向き研究である。本発表では,2015年7月までの追跡データが得られた3,713例(追跡率90.2%)を年齢により75歳以上(1,901例,51.2%)と75歳未満(1,812例,48.8%)に分け,Cox比例ハザードモデルを用いた単変量解析および多変量解析により,それぞれにおける脳卒中/全身性塞栓症発症のリスク因子を検討した。

●患者背景

対象患者全体の平均年齢は73.6歳,男性は59.2%であった。心房細動の病型は発作性48.9%,持続性8.5%,永続性42.5%。平均CHADS2スコアは2.03で,20.5%が脳卒中/全身性塞栓症既往を有していた。75歳以上群は75歳未満群にくらべ,有意に女性が多く(それぞれ50%,31%,p<0.01),BMIが低く(22.4,23.8,p<0.01),CHADS2スコア(2.68,1.33,p<0.01)およびCHA2DS2-VAScスコア(4.32,2.37,p<0.01)が高かった。また,経口抗凝固薬の処方率も高かった(55%,52%,p=0.02)。

●結果

1. イベント発生率

追跡期間中央値874日における脳卒中/全身性塞栓症の発症率は,75歳以上群では137例(3.2%/年)で,75歳未満群(67例,1.4%/年)にくらべ有意に高かった(p<0.01)。また,全死亡は75歳以上群409例(9.3%/年),75歳未満群148例(3.1%/年)であった。

2. 脳卒中/全身性塞栓症発症のリスク因子

脳卒中/全身性塞栓症発症リスクに関し,CHADS2スコアおよびCHA2DS2-VAScスコアの構成項目に加え,心房細動の病型,慢性腎臓病,経口抗凝固薬の処方について検討した。単変量解析では,75歳以上群では脳卒中/全身性塞栓症/一過性脳虚血発作(TIA)既往(ハザード比[HR]1.89,95%信頼区間[CI]1.33-2.67)および慢性心房細動(持続性心房細動+永続性心房細動,HR 1.52,95%CI 1.07-2.17)がリスク因子であったが,75歳未満群ではそれらは有意差を認めず,慢性腎臓病(HR 2.18,95%CI 1.32-3.54)のみがリスク因子であった。

多変量解析では,75歳以上群では脳卒中/全身性塞栓症/TIA既往(HR 1.84,95%CI 1.29-2.61)のみ,75歳未満群では慢性腎臓病(HR 2.07,95%CI 1.21-3.49)のみがリスク因子であった。

3. 脳梗塞/全身性塞栓症発症のリスク因子

脳梗塞/全身性塞栓症については,75歳以上群では脳卒中/全身性塞栓症/TIA既往(HR 1.88,95%CI 1.26-2.79),慢性心房細動(HR 1.77,95%CI 1.15-2.79)が,75歳未満群では脳卒中/全身性塞栓症/TIA既往(HR 2.51,95%CI 1.26-4.79),慢性腎臓病(HR 2.19,95%CI 1.13-4.13)が発症のリスク因子であった。

●結論

心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症発症のリスク因子は年齢層によって異なり,75歳以上では脳卒中/全身性塞栓症/TIA既往,75歳未満では慢性腎臓病がリスク因子であった。

文献

  • Melgaard L, et al. Age dependence of risk factors for stroke and death in young patients with atrial fibrillation: a nationwide study. Stroke 2014; 45: 1331-7.

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