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第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)2016年3月18〜20日,仙台
日本人心房細動患者におけるリバーロキサバンの安全性および有効性-特定使用成績調査XAPASSより
2016.3.31
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池田隆徳氏
池田隆徳氏

日本のリアルワールドにおいて,約9,000例のリバーロキサバン投与患者(平均観察期間392日)の安全性および有効性は,海外と比べても良好-3月18日,第80回日本循環器学会学術集会(JCS 2016)にて,池田隆徳氏(東邦大学内科学講座循環器内科学分野主任教授)が発表した。

●背景・目的

Xarelto post-authorization safety & effectiveness study in Japanese patients with atrial fibrillation(XAPASS)は,虚血性脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制のためにリバーロキサバンが投与された日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象に,市販後の調査として行われている特定使用成績調査(以下,PMS)である。日本のリアルワールドにおけるリバーロキサバンの安全性および有効性に関する情報を迅速に収集し,継続的にフィードバックすることで,適正な使用法の確立を目的としている。

標準観察期間は2年,その後2019年3月まで,最長5年間の観察が行われる予定である。評価は6ヵ月,1年,2年の時点で行うが,今回は第3回中間解析の結果として,2015年9月15日時点で,調査票収集・データ固定された症例での結果が報告された。

なお,リバーロキサバンの承認用量は海外と日本で異なるが*,海外でも同様の前向き研究としてXANTUS 1)が行われており(表1),海外と日本のリアルワールドにおける本剤の使用実態の比較も行った。

表1 XAPASSおよびXANTUSの概要
  XAPASS(NCT01582737) XANTUS(NCT01606995)
安全性解析対象患者数 9,011例(第3回中間集計時点) 6,784例
参加国 日本のみ 20ヵ国(欧州,カナダ)
登録期間 2012年4月~2015年3月 2012年6月~2013年12月
平均観察期間 392±258日(第3回中間集計時点) 329±115日
評価項目 出血性副作用,心血管関連の有害事象(虚血性脳卒中(脳梗塞),出血性脳卒中,全身性塞栓症および心筋梗塞) 重大な出血事象(ISTH出血基準),全死亡,その他の有害イベント

●患者背景

XAPASSの登録症例は11,309例,このうち今回の安全性解析対象症例は9,011例,心血管関連の有害事象解析対象症例は8,980例であった。

安全性解析対象症例の平均年齢は73.1歳,女性37.9%,平均体重61.5kg。一方,XANTUSではそれぞれ71.5歳,40.8%,83.0kgであった。クレアチニンクリアランス(CLcr)30~<50mL/minの腎機能低下例の割合も20.8%と,XANTUS の9.4%に対し高かった。

また,XAPASSでは平均CHADS2スコアは2.2,脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)既往は23.4%であったのに対し,XANTUSではそれぞれ2.0,19.0%と,日本のリアルワールドでは海外と比べ,出血ならびに脳梗塞リスクの高い患者に投与されている傾向がみられた。

●結果

1. XANTUSとの比較

重大な出血事象の発現状況は,XANTUSの1.9%/年(128例)に対し,XAPASSでは1.3%/年(134例)であった。

重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の発現状況は,XANTUSの12.9%/年(878例)に対し,XAPASSでは4.6%/年(443例)であった。

心血管関連の有害事象の発現状況は,XANTUSの1.6%/年(108例)に対し,XAPASSでは1.4%/年(140例)であった。脳梗塞は,0.5%/年(32例)に対し1.0%/年(99例),出血性脳卒中は0.2%/年(11例)に対し0.3%/年(28例)であった。

2. 高リスク患者における検討

XAPASSにおける高リスク患者での重大な出血事象は,高齢者(75歳以上,4,374例)では1.8%/年,腎機能障害例(CLcr50mL/min未満,2,119例)では2.5%/年,脳卒中/TIA既往例(2,107例)では2.4%/年と,それぞれ全体(1.3%/年)に比べ高くなっていた。頭蓋内出血は,それぞれ0.6%/年, 0.8%/年, 1.0%/年であった。

心血管関連の有害事象は,高齢者(4,356例)では1.9%/年,腎機能障害例(2,112例)では2.6%/年,脳卒中/TIA既往例(2,098例)では2.8%/年と,それぞれ全体(1.4%/年)に比べ高くなっていた。脳梗塞は,それぞれ1.4%/年, 1.7%/年, 2.0%/年であった。

3. CHADS2スコア別の比較

CHADS2スコア0~1点の患者は3,028例,2点は2,702例,3~6点は3,281例であった。重大な出血事象はそれぞれ0.8%/年,0.8%/年,2.3%/年,心血管関連の有害事象は0.4%/年,1.5%/年,2.3%/年,脳梗塞は0.3%/年,1.1%/年,1.6%/年と,CHADS2スコアの高い患者で上昇する傾向が認められた。また,HAS-BLEDスコア別でも同様の傾向がみられた。

4. 用量別の比較

4,494例に10mg,4,517例に15mgが投与された。10mg群の平均年齢は77.7歳で,15mg群の68.6歳に比べ高齢であり,女性が多く(10mg群47.3%,15mg群28.6%),塞栓症および出血性合併症リスクの高い患者が多かった。

日本ではCLcrが50mL/min未満の患者に10㎎への減量基準が設定されているが,10mg投与例での腎機能別内訳をみると,CLcr50mL/min未満が42.0%,50mL/min以上の患者は49.4%と,基準どおりに使用されていない現状も伺えた。

なお,用量別のイベント発現状況は,重大な出血事象は10mg群1.6%/年,15mg群1.1%/年に発現した。心血管関連の有害事象は10mg群1.9%/年,15mg 1.0%/年,脳梗塞はそれぞれ1.3%/年,0.7%/年であった。

5. 投与状況

1年後の薬剤継続率は,XANTUSの79.9%に対しXAPASSでは75.5%であった。中断の理由は,追跡不能12.8%,有害事象6.7%,患者の判断2.3%,死亡1.5%,服薬コンプライアンス遵守困難0.4%などであった。

飲み忘れがあると回答した症例は6.4%であった。飲み忘れがあると回答した症例は,ないと回答した症例に比べ,脳梗塞発現率が高くなる傾向がみられた(0.9%/年に対し,2.0%/年)。

●まとめ

約9,000例のリバーロキサバン投与患者(平均観察期間392日)において,重大な出血事象はXANTUSの1.9%/年に対しXAPASSでは1.3%/年,心血管関連の有害事象は1.6%/年に対し1.4%/年であった。今後も継続したデータ収集・分析が求められるが,現時点では,日本のリアルワールドにおける幅広い患者層において,重大な出血事象,心血管関連の有害事象ともに発現率は海外と比べても低く,日本の医療現場で良好に使用されている現状が伺えた。

*:NVAF患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制としてのリバーロキサバンの用量は,日本では15mg 1日1回(CLcr 15~49mL/分では10mg 1日1回),海外では20mg 1日1回(同15mg 1日1回)

文献

  • Camm AJ, XANTUS Investigators. XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation. Eur Heart J 2015 Sep 1. pii: ehv466.

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