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日本心臓病学会(JCC 2016)2016年9月23~25日,東京
リバーロキサバンを投与した超高齢者の患者背景と安全性の検討:SRRTより
2016.10.18
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JCC 2016取材班
西角 彰良氏
西角 彰良氏

リバーロキサバンが投与された80歳以上の心房細動患者では,80歳未満とくらべCHADS2スコアが高かったが,脳梗塞や頭蓋内出血の発症率は同程度であった。今後,更なる高齢化が進むにあたり,リバーロキサバンは心房細動患者に対する有効な治療選択肢の一つと考えられる-9月24日,第64回日本心臓病学会学術集会(JCC 2016)にて,西角彰良氏(香川県立白鳥病院循環器内科部長)が発表した。

●目的・方法

四国リバーロキサバン登録試験(SRRT)は,四国の8施設における医師主導型の後ろ向き登録研究である。2012年4月1日~2015年6月15日,虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制を目的としてリバーロキサバンが投与された非弁膜症性心房細動患者を全例登録した。

本発表では,SRRTのデータから,リバーロキサバンが投与された80歳以上の超高齢者の患者背景と安全性を明らかにすることを目的に検討を行った。

●患者背景

1. 80歳以上と80歳未満での患者背景比較

SRRT登録患者1,339例(平均年齢73.7歳)のうち,80歳以上は453例(33.8%)であった。平均年齢は80歳以上群が84.8歳,80歳未満群が68.0歳であった。80歳以上群は80歳未満群にくらべ男性が少なく(それぞれ48.6%,71.7%),低体重であり(51.6kg,63.8kg),平均クレアチニンクリアランス(CLcr,45.4mL/min,75.1mL/min)は低かった(ここまですべてp<0.001)。また,80歳以上群の発作性心房細動の割合は49.0%と,80歳未満群55.1%にくらべ少なかった(p<0.05)。平均CHADS2スコアはそれぞれ2.7,1.7,平均CHA2DS2-VAScスコアは4.4,2.9と,80歳以上群で高かった(いずれもp<0.001)。

なお,現在進行中のリバーロキサバン特定使用成績調査の最新の中間集計(9,762例)では,平均年齢73.1歳,男性62.0%,平均体重61.4kg,平均CHADS2スコア2.2,平均CHA2DS2-VAScスコア3.4であった。

2. リバーロキサバンの投与量

リバーロキサバンの投与量は,80歳以上群では10mgが81.2%,15mgが18.1%であり,0.7%の患者に承認用量外の7.5mgまたは5mgが投与されていた。80歳未満群では10mgが34.8%,15mgが65.2%であった。80歳以上群の平均投与量は10.9mgで,80歳未満群の13.3mgにくらべ低かった(p<0.001)。

リバーロキサバン特定使用成績調査中間集計(9,762例)では,10mgは49.7%,15mgは50.3%であった。

3. 腎機能別投与量

80歳以上群の15mg投与例(82例)のうち,CLcr 15~49mL/minは19.5%,CLcr≧50mL/minは78.1%,10mg投与例(368例)ではそれぞれ73.1%,24.5%であり,15mg投与例の19.5%で過量投与,10mg投与例の24.5%で減量基準にもとづかない減量が行われていた。

●結果

1. 出血性合併症

出血性合併症は80歳以上群32例(7.1%),80歳未満群37例(4.2%)に認め,80歳以上群で発現率は高かった(p<0.05)。このうち,頭蓋内出血の発現は両群で同程度であったが(それぞれ4例:0.9%,3例:0.3%),消化管出血の発現に有意差を認めた(それぞれ4例:0.9%,4例:0.5%,p<0.05)。

なお,リバーロキサバン特定使用成績調査中間集計(9,762例)では,出血性合併症は647例(6.6%)に発現し,このうち頭蓋内出血は60例(0.6%)であった。

2. 虚血性合併症

虚血性合併症(脳梗塞,心筋梗塞,全身性塞栓症)の発症は80歳以上群で6例(1.3%),80歳未満群で6例(0.7%)と同程度であった。このうち,脳梗塞の発症には有意差を認めなかったが(それぞれ4例:0.9%,5例:0.6%),心筋梗塞の発現に有意差を認めた(2例:0.4%,0例:0%,p<0.05)。全身性塞栓症は両群とも認めず,死亡は80歳以上群で2例(0.4%)認めた。

リバーロキサバン特定使用成績調査中間集計(9,762例)では,虚血性合併症は186例(1.9%)に発症し,このうち脳梗塞は166例(1.7%)であった。

3. 脳梗塞発症例の患者背景

脳梗塞発症例では,80歳以上群では4例全例が10mg,80歳未満群では3/5例が10mgを選択されていた。80歳以上群では全例でCLcrが50mL/min以上であり,減量基準にもとづかずに減量されていた。80歳未満群では,減量基準にもとづかない減量投与は2/5例であった。

平均CHADS2スコアは80歳以上群3.8,80歳未満群3.0で,高血圧の合併はそれぞれ4/4例,4/5例,脳卒中/一過性脳虚血発作既往は3/4例,4/5例と多かった。退院時の平均mRSはそれぞれ4.8,1.0であった。

4. 頭蓋内出血発現例の患者背景

頭蓋内出血発現例では,80歳以上群では1/4例,80歳未満群では2/3例が15mgを選択されていた。平均HAS-BLEDスコアはそれぞれ2.8,3.0であり,高血圧合併率は両群とも100%であった。退院時の平均mRSは 3.8,3.7で,両群とも高かった。

●まとめ

80歳以上の患者では80歳未満とくらべCHADS2スコアが高かったが,脳梗塞や頭蓋内出血の発症率は同程度であった。ただし,脳梗塞発症例の80歳以上群では全例,80歳未満群では40%が減量基準にもとづかない減量投与であった。80歳以上群における退院時のmRSは4.8と,80歳未満群の1.0にくらべ重症となる傾向を認めた。また,頭蓋内出血発現例では全例が高血圧を合併しており,退院時のmRSは両群で同程度であったが,いずれも重症度は高かった。このことは,適切な用量設定と十分な血圧管理が重要であることを示唆するものである。

今後,社会の更なる高齢化が進むにあたり,リバーロキサバンは80歳以上の高齢者に対しても有効な治療選択肢の一つと考えられた。


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