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第3回日本心血管脳卒中学会学術集会(CVSS 2016)2016年6月17~18日,東京
NVAF患者におけるDOAC 4剤の使用実態
2016.7.8(8.18修正)
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宮村昌利氏
宮村昌利氏

DOACの有効性は高く,重大出血発現率も低かった-6月18日,第3回日本心血管脳卒中学会学術集会(CVSS 2016)にて,宮村昌利氏(大阪医科大学内科学III教室循環器内科助教)が発表した。

●背景・目的

日本において,現在,非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における心原性脳塞栓症発症抑制として,4種類のDOACが使用可能である。そこで,NVAF患者におけるDOACの当科での使用実態を把握することを目的として,本研究を行った。

●方法

2011年11月1日~2015年10月31日にDOACが投与された患者のべ1,042例(ダビガトラン251例,リバーロキサバン518例,アピキサバン197例,エドキサバン76例)について,患者背景ならびに安全性・有効性イベントを後ろ向きに検討した。

●結果

1. 全体の患者背景

全例におけるCHADS2スコアは,0点17.8%,1点34.8%,2点28.9%,3点12.7%,4点3.6%,5点2.1%,6点0.2%であった。内訳は,心不全30.0%,高血圧57.7%,75歳以上36.7%,糖尿病15.5%,脳卒中/TIA既往8.3%であった。

2. 薬剤別の患者背景

男性の割合は,4群間で同様であった(ダビガトラン群69.7%,リバーロキサバン群67.1%,アピキサバン群63.5%,エドキサバン群68.4%)。平均年齢は,ダビガトラン群がもっとも低く,アピキサバン群で高かった(それぞれ67.6歳,70.1歳,72.1歳,69.9歳,p<0.0001)。平均体重(それぞれ63.5kg,62.2kg,59.9kg,62.9kg,p=0.0203),平均クレアチニンクリアランス(75.0mL/分,69.6mL/分,62.1mL/分,67.8mL/分,p<0.0001),心不全合併(24.7%,28.5%,37.0%,37.6%,p=0.0087)にも差異を認めた。

3. 薬剤別のイベント発現率

脳梗塞の発症はダビガトラン群3/251例(1.2%),リバーロキサバン群1/518例(0.2%),アピキサバン群2/197例(1.0%),エドキサバン群0/76例(0%)で,群間で有意差は認めなかった(図1)。 輸血を要した重大出血についても,ダビガトラン群0/251例(0%),リバーロキサバン15mg/日群1/257例(0.4%),同10 mg/日群2/261例(0.8%),アピキサバン10mg/日群1/90例(1.1%),エドキサバン群0/76例(0%)で,群間差は認めなかった(図2)。

図1 図1 有効性イベント発症率

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図1 図2 安全性イベント発現率

全出血イベントは,ダビガトラン300mg/日群2/94例(2.1%),同220mg/日群1/157例(0.6%),リバーロキサバン15mg/日群8/257例(3.1%),同10mg/日群12/261例(4.6%),アピキサバン10mg/日群9/90例(10.0%),同5mg/日群11/107例(10.3%),エドキサバン60mg/日群0/6例(0%),同30mg/日群3/70例(4.3%)に発現し,アピキサバン5mg/日群はダビガトラン220mg/日群に比べ有意に多かった(p=0.0049,図2)。

4. 減量基準および抗血小板薬併用の有無別の解析

DOACのうち,ダビガトランを除く3剤では減量基準が設けられている。しかし,減量投与が行われていた症例のうち,減量基準に合致した投与が行われていたのは,リバーロキサバンで43.3%(10mg/日群の113/261例),アピキサバンで33.6%(5mg/日群の36/107例),エドキサバンで57.1%(30mg/日群の40/70例)であった。

直近の1年間の症例について,各第Xa因子阻害薬の投与量と抗血小板薬併用の有無別に解析を行った。リバーロキサバン群において,通常量が投与された84例における有効性イベントは1.2%,出血イベントは7.1%,適応減量投与33例ではそれぞれ0%,12.1%,非適応減量投与57例では0%,10.5%に発症した。抗血小板薬単剤併用(SAPT)例における出血イベントは通常量投与例0/4例,適応減量投与例0/8例,非適応減量投与例1/9例であった。抗血小板薬2剤併用(DAPT)例における出血イベントは通常量投与例0/2例,適応減量投与例2/5例,非適応減量投与例0/2例であった。抗血小板薬併用での出血イベントはいずれも軽微であり,重大出血は認めなかった。

アピキサバン群において,通常量が投与された74例における有効性イベントは1.4%,出血イベントは9.5%,適応減量投与27例ではそれぞれ0%,7.4%,非適応減量投与48例では2.1%,12.5%に発症した。SAPT例における出血イベント発現は,通常量投与例2/9例,適応減量投与例1/9例,非適応減量投与例1/17例であった。DAPT例は症例数が少なく,出血イベントは通常量投与例1/1例(輸血を要した重大出血),適応減量投与例0/2例,非適応減量投与例1/4例に認めた。

エドキサバン群において,通常量が投与された6例では有効性イベント,出血イベントとも0%,適応減量投与45例ではそれぞれ0%,2.2%,非適応減量投与25例では0%,12.0%に発症したが,いずれも軽微な出血であり,重大出血は認めなかった。SAPT例における出血イベント発生は通常量投与例0/2例,適応減量投与例0/8例,非適応減量投与例1/3例であった。DAPT例は適応減量の3例のみであったが,出血イベントはなかった。

●まとめ

当科におけるDOACの有効性は高く,重大出血発現率は低かった。ただし,第Xa因子阻害薬の低用量群において,減量基準に合致している症例は33~57%と低率であった。


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