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米国心臓協会学術集会(AHA 2016)2016年11月12~16日,米国・ニューオーリンズ
ビタミンK拮抗薬からリバーロキサバンへの変更による治療満足度の向上:XANTUS-ACTS解析
2016.12.19
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Sue Cottrell
Craig I Coleman氏
Craig I Coleman氏

脳卒中発症抑制のための経口抗凝固薬をビタミンK拮抗薬からリバーロキサバンに変更することにより,治療に対する満足度は変更後3ヵ月で有意に向上-11月14日,米国心臓協会学術集会(AHA 2016)にて,Craig I. Coleman氏(University of Connecticut,米国)が発表した。

●背景・目的

XANTUS試験は,幅広いプロファイルを有する非弁膜症性心房細動(NVAF)患者におけるリバーロキサバンの使用状況を調査した,国際的な前向き観察研究であり,リアルワールドでのリバーロキサバンの良好な有効性および安全性が示されている1)。リバーロキサバンの有効性,安全性,使用の容易さは,ビタミンK拮抗薬にくらべ抗凝固療法における患者の負担を軽減し,治療の満足度を向上させると考えられる。そこでXANTUS試験では,事前に計画されたサブスタディとして,ビタミンK拮抗薬からリバーロキサバンに薬剤を変更した際の治療満足度の変化を評価するXANTUS-ACTS解析の結果2),ならびに追加解析結果について報告する。

●対象・方法

XANTUS試験の対象患者(≧18歳,NVAFと診断され,リバーロキサバンの服用を開始した患者)のうち,試験参加前の4週以内にビタミンK拮抗薬が投与され,かつ抗凝固療法満足度スケール(Anti-Clot Treatment Scale:ACTS)3)への回答が1回以上得られた1,291例を対象とした。

ACTSは,抗凝固療法の負担に関する13の質問(質問1~12は個別評価,質問13は総合評価)と,ベネフィットに関する4つの質問(質問14~16は個別評価,質問17は総合評価)に対し,患者が1点から5点のリッカートスケール(1=まったく,2=少し,3=やや,4=かなり,5=きわめて)で評価するものである。スコアが高いほど,治療に対する満足度が高いことを示す。

質問1~12に対する点数の合計を負担スコア,質問14~16に対する点数の合計を有効性スコアとし,XANTUS試験参加時のスコアと試験開始から3ヵ月後のスコアの変化を,最小二乗平均差より評価した。また,負担スコア,有効性スコアそれぞれの臨床的に意義のある最小変化量(MCIDs)を,分布にもとづく方法により評価した。

●結果

1.患者背景

対象患者の平均年齢は70.7歳,男性は63.7%で,77.2%が白人であった。心房細動の病型は初回診断7.7%,発作性44.8%,持続性13.9%,永続性33.2%。CHA2DS2-VAScスコア中央値は3で,脳卒中高リスク例(≧2)が85.5%を占めた。出血高リスク例(HAS-BLEDスコア≧3)は33.5%であった。クレアチニンクリアランス(CrCl)50mL/分未満の患者は10.1%,リバーロキサバン低用量(15mg 1日1回)投与*は16.1%であった。

2.負担スコアおよびベネフィットスコアの変化

試験参加時と3ヵ月後のスコアの比較が得られたのは,負担スコアが423例,ベネフィットスコアが405例であった。負担スコアは,試験参加時の平均値が50.5,3ヵ月後の平均値が54.5,最小二乗平均差は4.4(95%CI 2.5-6.2,p<0.0001)であった。ベネフィットスコアは,試験参加時の平均値が10.3,3ヵ月後の平均値が11.4,最小二乗平均差は1.0(95%CI 0.27-1.75,p=0.0075)であった。負担スコア解析例の54%,ベネフィットスコア解析例の48%で臨床的に意義のある最小変化量が認められた。

試験参加時と3ヵ月後のスコアの変化(最小二乗平均差)を脳卒中リスクおよび出血リスクごとにみると,負担スコアの変化は,脳卒中高リスク群(CHA2DS2-VAScスコア≧2,374例)で3.32,出血高リスク群(HAS-BLEDスコア≧3,164例)で3.17,出血中等度/低リスク群(HAS-BLEDスコア≦2,の259例)で3.46であり,いずれも3ヵ月後のほうが有意に大きかった(p<0.05)。脳卒中中等度リスク群(CHA2DS2-VAScスコア1,40例)では2.68であり,有意差は生じなかった。

対照的に,ベネフィットスコアの変化は,脳卒中高リスク群(360例)で0.58,脳卒中中等度リスク群(37例)で-0.26,出血高リスク群(169例)で0.50,出血中等度/低リスク群(246例)で0.48であり,いずれのサブグループにおいても有意差は生じなかった。

●結論

脳卒中発症抑制のための経口抗凝固薬をビタミンK拮抗薬からリバーロキサバンに変更することにより,治療に対する満足度は変更後3ヵ月で有意に向上した。この変化は,脳卒中リスクや出血リスクの高低とは独立していた。治療満足度の向上は,リバーロキサバンがビタミンK拮抗薬にくらべ服用や管理が容易であること,定期的な凝固モニタリングが不要であること,頭蓋内出血などの致死的出血リスクが低いことを反映していると考えられた。

*:海外では,NVAF患者における脳卒中発症抑制としてのリバーロキサバンの投与量は日本と異なり,20mg 1日1回(腎機能障害患者では15mg 1日1回)。

文献

  • Camm AJ; XANTUS Investigators. XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation. Eur Heart J 2016; 37: 1145-53.
  • Coleman CI; XANTUS Investigators. Impact of Switching From a Vitamin K Antagonist to Rivaroxaban on Satisfaction With Anticoagulation Therapy: The XANTUS-ACTS Substudy. Clin Cardiol 2016; 39: 565-569.
  • Cano SJ, et al. The Anti-Clot Treatment Scale (ACTS) in clinical trials: cross-cultural validation in venous thromboembolism patients. Health Qual Life Outcomes 2012; 10: 120.


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