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米国心臓協会学術集会(AHA 2016)2016年11月12~16日,米国・ニューオーリンズ
アブレーション周術期のリバーロキサバンとワルファリン継続投与による無症候性脳梗塞の比較-ASCERTAIN Studyより
2016.12.6
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Sue Cottrell
高月誠司氏
高月誠司氏

アブレーション周術期にリバーロキサバンまたはワルファリンの継続投与をうけたNVAF患者において,アブレーション誘発性無症候性脳梗塞の発症率は両群で同程度-11月13日,米国心臓協会学術集会(AHA 2016)にて,高月誠司氏(慶應義塾大学医学部附属病院循環器内科准教授)が発表した。

●背景・目的

心房細動患者において,高周波カテーテルアブレーション(以下,アブレーションと略す)にともなう無症候性脳梗塞発症率は10~30%と報告され,周術期の抗凝固療法に影響されうる。そこで,リバーロキサバンおよびワルファリンの周術期継続投与下での無症候性脳梗塞の発症と,そのリスク因子を特定するASCERTAIN Studyを行った。

●方法

本試験はアブレーションが予定されており,左心房径≦55mm,20~80歳の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象とした前向き,無作為化,オープン試験として行われた。脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)発症から6ヵ月以内,重大な出血発現から12ヵ月以内,冠動脈バイパス術(CABG)などの大手術施行から6ヵ月以内,心筋梗塞発症から2ヵ月以内,クレアチニンクリアランス(CLcr)<30mL/分,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を必要とする症例,リバーロキサバンまたはワルファリンに対する禁忌を有する症例は除外した。

主要評価項目はアブレーションにより誘発された無症候性脳梗塞,副次評価項目は手技後(30±10日)の重大な出血イベントおよび血栓塞栓イベントである。

アブレーション施行予定NVAF患者132例が無作為に割付けられ,最終的にリバーロキサバン群64例(15mgまたは10mg 1日1回を夕食後投与),ワルファリン群63例(用量調整投与)が解析対象となった。両群とも,試験薬を1ヵ月以上継続投与した後にアブレーションを行った。アブレーション施行中は活性化凝固時間(ACT)>300秒を維持した。無症候性脳梗塞を検出するため,頭部MRIをアブレーション施行前の2週以内および施行翌日に実施した。

●結果

1. 試験薬別患者背景

平均年齢(リバーロキサバン群58.6歳,ワルファリン群59.3歳),男性の割合(それぞれ82.8%,84.1%),BMI(24.1kg/m2,24.1 kg/m2),心房細動の病型(発作性62.5%,66.7%,持続性23.4%,20.6%,長期持続性14.1%,12.7%)について,両群間に有意差を認めなかった。また,腎機能(CLcr 84.7mL/分,83.8mL/分),血圧(128.1/78.9mmHg,124.6/77.8mmHg)も同程度であった。アブレーション施行前のMRIにて,重度の脳室周囲病変を3.1%,4.8%,深部皮質下白質病変を15.6%,22.2%,ラクナ梗塞を14.1%,12.7%に認めた。

2. アブレーション誘発性無症候性脳梗塞の有無別

無症候性脳梗塞発症群は非発症群にくらべ高齢で(平均年齢63.3歳,58.1歳,p=0.006),血圧が高かった(136.6/84.4mmHg,124.7/77.4mmHg,SBP:p=0.034,DBP:p=0.019)。アブレーション施行前のMRIにて,重度の脳室周囲病変(15.0%,1.9%,p=0.028),深部皮質下白質病変(45.0%,14.0%,p=0.003),ラクナ梗塞(35.0%,9.3%,p=0.006)を多く認めた。

男性の割合(それぞれ85.0%,83.2%),BMI(24.2kg/m2,24.1 kg/m2),心房細動の病型(発作性55.0%,66.4%,持続性35.0%,19.6%,長期持続性10.0%,14.0%),腎機能(CLcr 78.9mL/分,85.2mL/分)は同程度であった。

3. イベント発症率

アブレーション誘発性無症候性脳梗塞はリバーロキサバン群10例(15.6%),ワルファリン群10例(15.9%)で,同程度であった。血栓塞栓イベントは両群とも認めなかった。重大な出血はリバーロキサバン群2例(3.1%,心タンポナーデおよび穿刺部血腫),ワルファリン群1例(1.6%,穿刺部血腫),重大でない出血はそれぞれ12例(18.8%),12例(19.0%)で,群間差は認められなかった。

一方,術中穿刺部血腫は,リバーロキサバン群1例(1.6%)で,ワルファリン群7例(12.1%)にくらべ有意に少なかった(p=0.033)。

4. 無症候性脳梗塞のリスク因子

多重ロジスティック回帰分析より,無症候性脳梗塞のリスク因子として,年齢(1歳上昇ごと,OR 1.108,95%CI 1.008-1.219,p=0.034),SBP(1mmHg上昇ごと,OR 1.043,95%CI 1.010-1.077,p=0.011),深部皮質下白質病変(重度対非重度,OR 5.975,95%CI 1.579-22.614,p=0.008)が同定された。

●結論

アブレーション周術期にリバーロキサバンまたはワルファリンの継続投与をうけたNVAF患者において,アブレーション誘発性無症候性脳梗塞の発症率は両群で同程度であった。アブレーション誘発性無症候性脳梗塞のリスク因子として,年齢,収縮期血圧高値,アブレーション施行前にMRIで検出された深部皮質下白質病変が同定された。


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