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第40回日本脳卒中学会総会(STROKE 2015)2015年3月26〜29日,広島
リバーロキサバン内服下における安全性と有効性および副次的効果
2015.4.20
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宮腰明典氏
宮腰明典氏

NVAF患者における前向き研究において,第Xa因子阻害薬リバーロキサバンはXa因子阻害以外の機序でも凝固活性阻害に関与している可能性が示唆-3月27日,第40回日本脳卒中学会総会(STROKE 2015)にて,宮腰明典氏(福井赤十字病院脳神経外科)が発表した。

●目的

本研究は,非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制に関するリバーロキサバンの有効性,安全性,副次的効果について,実地診療下で確認することを目的に,前向き観察研究として実施した。

●方法

対象は,福井赤十字病院において新規にリバーロキサバンが処方されたNVAF患者である。目標症例数を100例とし,1年間で44例が登録された。脱落2例をのぞく42例を今回の解析対象とした。追跡期間は6ヵ月で,心血管イベント,重篤な出血事象の有無を評価し,さらに血液検査で各種マーカーの変化を調査した。

●患者背景

対象患者42例の年齢中央値は76歳,男性は62.7%であった。クレアチニンクリアランス中央値は74.8mL/分,CHADS2スコア中央値は2,CHA2DS2-VAScスコア中央値は4,HAS-BLEDスコア中央値は1であった。合併症は高血圧26例(60.4%),糖尿病12例(28.5%),脂質異常症16例(38.0%),慢性腎臓病5例(11.9%)。スタチン併用は13例(30.9%)であった。

一次予防は33例,二次予防は9例であった。リバーロキサバンの用量は10mg/日が14例(33.3%),15mg/日が24例(57.1%)で,4例(9.5%)では15mg/日で開始後10mg/日に減量した。抗凝固薬の新規処方は28例(66.6%),ワルファリンからの切替えが13例(30.9%),ダビガトランからの切替えが1例であった。

●結果

追跡期間中に心血管イベント,重篤な出血性事象の発生は認めなかった。 各種凝固マーカーの推移について,まずプロテインC(+15.8%)およびプロテインS活性(+14.3%)は,有意な上昇を認め,高値が維持されていた。この二つの活性はワルファリン服用中に低下することが知られており,ワルファリンからの切り替え例では,リバーロキサバン投与により顕著に上昇したが,リバーロキサバン新規処方例に限っても有意な上昇を認めた(プロテインC +9%,プロテインS +3.2%,p<0.05)。

線溶系マーカーであるプラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1)複合体に有意な変化はみられなかったが,プラスミン-α2 プラスミンインヒビター複合体(PIC)については有意に低下し(PIC -0.21μg/ml,p<0.01),低値が維持されていた。

血栓形成を示唆するマーカーであるD-ダイマー,フィブリン/フィブリン分解産物(FDP)は有意に低下し(D-dimer -0.6μg/ml,FDP -1.1μg/ml, p<0.01),低値が維持されていた。

凝固系活性マーカーであるトロンビン・アンチトロビンIII複合体(TAT),可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)は二次予防例でベースライン値が高く,リバーロキサバン服用により有意に低下し(TAT -1.5ng/ml,SFMC -5.1μg/ml),低値が維持されることが確認された。

高感度CRPは服用から3ヵ月後の時点で有意に低下し,低値が維持される傾向を認め(-0.08μg/ml),とくに二次予防例で顕著な低下が確認された。空腹時血管拡張反応(FMD)については,有意な経時的変化は認めなかった。

●考察

リバーロキサバン内服開始後にプロテインCおよびプロテインS活性の上昇およびその維持が確認され,リバーロキサバンはXa因子阻害以外の機序でも凝固活性の阻害に寄与している可能性が示唆された。

D-ダイマーおよびFDP,TATおよびSFMCについては,コントロールが良好なワルファリン内服例と同様にその低下と低値の維持が確認され,リバーロキサバンにより凝固活性が強固に阻害されていることが確認された。

PICは各種凝固マーカーと同様に低下および低値の維持が確認され,凝固活性阻害による血栓抑制により,線溶系も同様に活性化されていないことを示しているものと考えられた。 高感度CRP低下の機序は不明であるが,スタチンやアスピリンで低下することが報告されている。リバーロキサバンはこれらと同様に動脈硬化抑制に寄与する可能性があると考えられた。

●結論

実地診療下におけるリバーロキサバンの有効性と安全性が示された。各種マーカーにより強力な凝固活性阻害と線溶系の非活性化も確認されたが,VIIIa因子,Va因子を失活させるプロテインC,プロテインSの活性が上昇し,それが維持されていたことから,リバーロキサバンがXa因子阻害以外の機序でも凝固活性阻害に関与している可能性が示唆された。


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