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第40回日本脳卒中学会総会(STROKE 2015)2015年3月26〜29日,広島
NVAF患者の急性脳梗塞/TIA におけるリバーロキサバン投与開始時期:RELAXED研究第一報
2015.4.7
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矢坂正弘氏
矢坂正弘氏

RELAXED研究登録患者の背景因子の分析では,登録患者は高齢者,男性が多く,約半数でインデックスイベント発症前にNVAFを指摘されていたが,抗凝固療法をうけていた症例は約2割であった-3月27日,第40回日本脳卒中学会総会(STROKE 2015)にて,矢坂正弘氏(九州医療センター脳血管・神経内科科長)が発表した。

●背景・目的

非弁膜症性心房細動(NVAF)にともなう脳梗塞は重篤で再発率も高く,急性期の抗凝固療法により再発率低下が期待される。しかし,頭蓋内出血のリスクも高いことから,急性期の抗凝固療法の開始時期に対する明確なエビデンスはない。そのため,日本の脳卒中治療ガイドライン20091)では,脳梗塞発症後2週間以内がワルファリン治療開始の目安とされているものの,推奨レベルはグレードC1となっている。海外でも,米国脳卒中学会(ASA)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインでは14日以内2),欧州不整脈学会(EHRA)のプラクティカルガイド3)では「1-3-6-12ルール(一過性脳虚血発作[TIA]は1日後,小規模梗塞では3日後,中規模梗塞では6日後,大規模梗塞では2週間を目処に抗凝固療法を再開する)」が提唱されているが,エビデンスレベルはいずれも低い。

非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は頭蓋内出血リスクが低く,急性期抗凝固療法の選択肢として期待されている。ただし,第III相試験では急性期患者は対象から除外されており4~7),急性期の有効性や安全性,開始時期は不明である。そこで,NVAF患者の脳梗塞急性期/ TIAに対するリバーロキサバンの至適投与開始時期を明らかにすることを目的に,RELAXED研究(recurrent embolism lessened by rivaroxaban, an anti-Xa agent of early dosing for acute ischemic stroke and transient ischemic attack with atrial fibrillation study)が行われることになった。

●方法

本研究は,医師主導多施設共同前向き観察研究である(ClinicalTrials.gov:NCT02129920,UMIN-clinical trials registry:UMIN000013932)。対象は,中大脳動脈領域に梗塞(TIAの場合は本領域に由来する思われる症候)を認めたNVAF患者で,48時間以内に病院を受診し,30日以内にリバーロキサバン投与が開始された症例である。なお,リバーロキサバン投与前のヘパリン投与の有無は不問とした。

本研究では,発症から48時間以内に撮像された拡散強調(DWI)画像を定量評価し,リバーロキサバン投与開始時期と,発症90日までの脳梗塞再発,重大な出血性合併症の発現などの転帰から,リバーロキサバン至適投与開始時期を検討する。

登録期間は2014年2月1日~2016年1月31日,研究期間は2014年2月1日~2016年4月30日で,観察期間は3ヵ月間,目標症例数は2,000例である。今回は,2015年3月17日までに登録された373例の背景因子が発表された。

●結果

登録症例の平均年齢は76.9歳,男性は61.1%であった。インデックスイベント(脳梗塞/TIA)発症前のmodified Rankin scale(mRS)は0:72.1%,1:9.9%,2:7.0%,3以上10.2%で,平均は1.9であった。心房細動の診断は持続性/永続性が54.4%と過半数を占め,発作性は38.8%,未評価/不明は4.9%であった。脳梗塞の病型は心原性脳塞栓症が93.8%,TIAが 2.7%。脳梗塞の病巣数は単発が59.0%,多発が36.6%で,4.4%には病巣を認めなかった。なお,梗塞巣サイズ,ASPECTS-DWI,急性期抗凝固療法の方法と開始日については,現段階では開示しない。

CHADS2スコアの分布をみると0~1点が41.0%,2点以上が59.0%であり,Fushimi AF Registry(0~1点36.9%,2点以上63.1%)とほぼ同様の患者集団であると考えられた。CHADS2スコア中央値は2,CHA2DS2-VAScスコア中央値は3,HAS-BLEDスコア中央値は2で,急性期の抗凝固療法の選択内容と転帰を検討するSAMURAI-NVAF研究とも類似していた(それぞれ,中央値は2,4および2)。

発症前に心房細動の診断をうけていたのは51.8%であったが,経口抗凝固療法が行われていたのは18.1%で,その大部分(72.5%)がワルファリンであった。

急性期治療としては,rt-PA静注療法は23.3%に,血管内治療は11.3%に行われた(Solitaire 30.6%,Penumbra 30.6%,Trevo 14.3%など)。外科的治療は7.3%に,アルガトロバン投与は7.7%に行われた。リバーロキサバン投与前にヘパリンが投与されていたのは49.9%であった。

●結語

本研究登録患者の平均年齢は76.9歳,男性は61.1%で,高齢者,男性が多かった。インデックスイベント(脳梗塞/TIA)発症前のリスクスコア(中央値)は,CHADS2スコア2,CHA2DS2-VAScスコア3,HAS-BLEDスコア2であった。約半数で発症前にNVAFを指摘されていたが,抗凝固療法をうけていた症例は約2割にとどまった。現在,3月20日現在の登録症例数は486例と予定通りに進捗しているが,研究目的達成のため,2016年1月末までに2,000例を登録し,分析する予定である。

文献

  • 篠原幸人ほか.脳卒中治療ガイドライン2009.協和企画,東京,2009.
  • Kernan WN, et al. Guidelines for the prevention of stroke in patients with stroke and transient ischemic attack: a guideline for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke 2014; 45: 2160-236.
  • Heidbuchel H, et al. European Heart Rhythm Association Practical Guide on the use of new oral anticoagulants in patients with non-valvular atrial fibrillation. Europace 2013; 15: 625-51.
  • Ezekowitz MD, et al. Rationale and design of RE-LY: randomized evaluation of long-term anticoagulant therapy, warfarin, compared with dabigatran. Am Heart J 2009; 157: 805-10, 810. e1-2.
  • ROCKET AF Study Investigators. Rivaroxaban-once daily, oral, direct factor Xa inhibition compared with vitamin K antagonism for prevention of stroke and embolism trial in atrial fibrillation: rationale and design of the ROCKET AF study. Am Heart J 2010; 159: 340-7. e1.
  • Lopes RD, et al. Apixaban for reduction in stroke and other thromboembolic events in atrial fibrillation (ARISTOTLE) trial: design and rationale. Am Heart J 2010; 159: 331-9.
  • Ruff CT, et al. Evaluation of the novel factor Xa inhibitor edoxaban compared with warfarin in patients with atrial fibrillation: design and rationale for the effective anticoagulation with factor Xa next generation in atrial fibrillation-thrombolysis in myocardial infarction study 48 (ENGAGE AF-TIMI 48). Am Heart J 2010; 160: 635-41.


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