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第79回日本循環器学会学術集会(JCS 2015)2015年4月24〜26日,大阪
80歳以上のNVAF患者におけるNOACの安全性および有効性
2015.5.29
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原 聡史氏
原 聡史氏

非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)投与下の80歳以上の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者は,80歳未満患者と比較して,血栓塞栓症および大出血の発現率に差は認められず,NOACは高齢者に対しても安全かつ有効である可能性が示唆-4月25日,第79回日本循環器学会学術集会(JCS 2015)にて,原聡史氏(東京医科歯科大学医学部附属病院循環器内科)が発表した。

●背景・目的

NVAF患者において,NOACは血栓塞栓症の予防に用いられているが,NOACが投与されている高齢者に対する転帰は明確でない。本研究では,高齢者におけるNOACの安全性と有効性を検討した。

●対象・方法

対象は,NOAC(リバーロキサバン≧80歳48例/<80歳274例,ダビガトラン37例/321例,アピキサバン48例/120例)を1ヵ月以上服用しているNVAF患者848例である。高齢者群(≧80歳:133例[16%])および若年者群(<80歳:715例[84%])に分け,イベント発現率を比較した。

●結果

1.患者背景

平均年齢は高齢者群83歳,若年者群65歳(p<0.001)で,高齢者群では男性が少なかった(67%vs. 75%,p<0.001)。高齢者群は若年者群よりも平均CHADS2スコア(2.4 vs. 1.1),平均CHA2DS2-VAScスコア(3.7点 vs. 2.0点)が有意に高く(ともにp<0.001),平均クレアチニンクリアランス(ClCr)が低値であり(47 mL/分vs. 81mL/分,p<0.001),低体重(58kg vs. 66kg,p<0.001)であった。低用量NOACが選択された割合は,高齢者群では約9割,若年者群では約4割であった。

2.血栓塞栓症,大出血

平均7.9ヵ月の追跡期間において,血栓塞栓症は高齢者群で1例(0.8%),若年者群で4例(0.5%)に認め,両群間に有意差は認められなかった。高齢者群の1例(脳梗塞)は89歳の女性で,CHADS2スコア1点,CHA2DS2-VAScスコア2点,ClCr 52 mL/分,体重62kgであった。

大出血は高齢者群で2例(1.5%例),若年者群2例(0.3%)に発現したが,有意差は認められなかった。高齢者群の2例は,ともにリスクスコアが高かった[82歳男性(CHADS2スコア4点,CHA2DS2-VAScスコア5点,HAS-BLEDスコア3点),90歳男性(同4点,6点,4点)]。

3.薬剤別のイベント発現数

薬剤別にイベント発現数は,ダビガトランでは血栓塞栓症が高齢者群0例,若年者群3例,大出血は両群ともに0例,小出血は1例,4例,リバーロキサバンでは血栓塞栓症1例,1例,大出血1例,2例,小出血4例,10例,アピキサバンでは血栓塞栓症は両群ともに0例,大出血1例,0例,小出血0例,1例であった。

●結論

NOAC投与下の80歳以上のNVAF患者では,80歳未満と比較して,血栓塞栓症および大出血の発症率に有意差は認めなかった。このことから,高齢者のNVAF患者におけるNOACによる抗凝固療法は,若年者と同様に安全かつ有効である可能性が示唆された。


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