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第79回日本循環器学会学術集会(JCS 2015)2015年4月24〜26日,大阪
クレアチニンクリアランスと臨床転帰の関連-Fushimi AF Registry
2015.5.13
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阿部 充氏
阿部 充氏

心房細動患者において,腎機能低下例(透析またはクレアチニンクリアランス[CrCl]<15mL/分)では死亡および大出血のリスクが高く,CrCl低下は臨床的予後不良と関連-4月26日,第79回日本循環器学会学術集会(JCS 2015)にて,阿部充氏(京都医療センター循環器内科)が発表した。

●背景・目的

非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)のなかには,腎機能の状態により減量投与を行うものがあるように,適切な抗凝固療法はCrClにより変わってくる。しかし,心房細動患者におけるCrClと臨床転帰の関連は不明である。 伏見心房細動患者登録研究(Fushimi AF Registry,UMIN 000005834)は,京都市伏見区における登録施設(79施設)を受診した心房細動患者を全例登録し,患者背景や治療の実態調査,予後追跡を行うことを目的として開始された。本解析では,CrClと臨床転帰の関連について検討を行った。

●対象・方法

Fushimi AF Registryの対象は,心電図またはホルター心電図にて心房細動が確認された患者で,除外基準は設けなかった。2011年3月の開始以降,2013年7月までに3,666例を登録し,2014年7月までに3,304例(90.1%)の追跡データが得られた。このうちCrCl のデータが得られた2,792例を本解析の対象とし,CrCl(mL/分)別に第1群(透析または<15,110例),第2群(15以上30未満,197例),第3群(30以上50未満,634例),第4群(≧50,1,851例)の4群に分けて解析を行った。

●結果

1. 患者背景

対象患者全体の平均年齢は73.7歳,男性は59.7%であった。心房細動の病型は発作性48.1%,持続性7.8%,永続性44.1%で,平均CHADS2スコアは2.03,脳卒中/全身性塞栓症既往20.8%,心不全26.7%,高血圧61.4%,糖尿病23.2%であった。 CrCl別の検討では,平均CHADS2スコア(第1群2.7,第2群2.9,第3群2.6,第4群1.8,p<0.0001),抗凝固薬投与率(それぞれ45%,43%,58%,54%,p=0.001),抗血小板薬併用数(それぞれ0.6剤,0.4剤,0.4剤,0.3剤,p<0.0001)など,調査項目の大多数において有意差を認めた。

2. イベント発症率

追跡期間(中央値:第1群637日,第2群722日,第3群737日,第4群753日)において,大出血はそれぞれ11例(10%),9例(4.6%),18例(2.8%),47例(2.5%),全死亡はそれぞれ52例(47%),65例(33%),129例(20%),160例(8.6%)に発生し,いずれも第1群がもっとも多かった(順にp=0.002,p<0.0001)。心不全による入院についても群間差を認めた(それぞれ17例[15.5%],39例[19.8%],79例[12.5%],99例[5.4%],p<0.0001)。

一方,脳卒中は腎機能低下例で多い傾向はみられたものの,有意差は認められなかった(それぞれ8例[7.3%],15例[7.6%],39例[6.2%],80例[4.3%],p=0.07)。 Kaplan-Meier曲線をみたところ,補正なしで生存率(p<0.0001),脳卒中累積発症率(p=0.003)ともに群間差を認めた。比例ハザードモデルによると,脳卒中のリスク因子として≧75歳(ハザード比[HR]2.09;95%信頼区間1.42-3.11,p=0.0001),脳卒中既往(HR 1.80;1.25-2.56,p=0.002)が同定された。

●まとめ

心房細動患者において,死亡および大出血は腎機能低下例(透析またはCrCl<15mL/分)でもっとも多く,CrCl低下は臨床的予後不良と関連していた。脳卒中については群間差を認めなかったが,今後症例数が増えると有意差が認められる可能性がある。


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