抗血栓療法トライアルデータベース|ESC 2015レポート
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欧州心臓病学会(ESC 2015)2015年8月29~9月2日,英国・ロンドン
ベースライン時の腎機能にかかわらず,リバーロキサバンによる一貫した結果が示される-ROCKET AFより
2015.9.10
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Samuel Lindner氏
Samuel M. Lindner氏

リバーロキサバンのワルファリンに対する有効性および安全性主要評価項目の結果は,腎機能による影響を受けず一貫性を認める-9月1日,欧州心臓病学会(ESC 2015)にて,Samuel M. Lindner氏(Duke Clinical Research Institute, Duke University Medical Center,米国)が発表した。

●背景・目的

リバーロキサバンは,第III相試験ROCKET AFにて,非弁膜症性心房細動患者の脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制において,ワルファリンに対し非劣性を示した1)。本解析では,腎機能正常例を含む,幅広い腎機能の患者集団において,治療効果に一貫性がみられるかどうかを検討した。

●方法

ROCKET AFでは,非弁膜症性心房細動患者をリバーロキサバン群またはワルファリン群に割り付けた。有効性主要評価項目は脳卒中または全身性塞栓症の複合,安全性主要評価項目は重大な出血事象,または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の複合である。

本解析では,対象患者14,250例をベースライン時のクレアチニンクリアランス(CLcr)別に,以下のように層別化した*
中等度腎障害(3,217例):CLcr 30~50mL/分
軽度腎障害(6,317例):CLcr>50~<80mL/分
正常腎機能(4,716例):CLcr≧80mL/分
*:ROCKET AFでは,重度の腎障害(CLcr<30mL/分)の患者は除外された

●結果

1. 腎機能別解析

中等度腎障害例は,軽度腎障害例または正常腎機能例にくらべ高齢で(年齢中央値は中等度腎障害例79歳,軽度腎障害例74歳,正常腎機能例65歳,p<0.0001),女性が多かった(それぞれ55%,41%,27%,p<0.0001)。また,CHADS2スコアが高く(平均値はそれぞれ3.7,3.5,3.3,p<0.0001),心筋梗塞既往(それぞれ20%,17%,15%,p<0.0001)および末梢動脈疾患の有病率(それぞれ7%,6%,5%,p<0.0001)が高かった。

有効性主要評価項目の発現率は,中等度腎障害例でリバーロキサバン群2.86%/年,ワルファリン群3.50%/年(HR 0.81,95%CI 0.60-1.10),軽度腎障害例でそれぞれ2.21%/年,2.46%/年(HR 0.90,95%CI 0.71-1.15),正常腎機能例でそれぞれ1.52%/年,1.68%/年(HR 0.91,95%CI 0.65-1.26)であった。

正常腎機能例にくらべると,軽度および中等度腎機能低下例では有効性主要評価項目の発現率は高値であったものの,腎機能にかかわらずリバーロキサバン群で一貫して良好な結果であり,腎機能による有意な交互作用もみられなかった(交互作用のp=0.85)。 安全性主要評価項目についても結果は同様で,中等度腎障害例でリバーロキサバン群18.00%/年,ワルファリン群18.00%/年(HR 1.00,95%CI 0.87-1.16),軽度腎障害例でそれぞれ15.56%/年,15.43%/年(HR 1.01,95%CI 0.91-1.13),正常腎機能例でそれぞれ12.33%/年,11.41%/年(HR 1.08,95%CI 0.94-1.23)であり,腎機能による有意な交互作用はみられなかった(交互作用のp=0.74)。

安全性主要評価項目のうち,頭蓋内出血についてみると,中等度腎障害例でリバーロキサバン群0.70%/年,ワルファリン群0.84%/年(HR 0.83,95%CI 0.78-1.34),軽度腎障害例でそれぞれ0.52%/年,0.84%/年(HR 0.63,95%CI 0.38-1.02),腎機能正常例でそれぞれ0.33%/年, 0.56%/年で,リバーロキサバン群で一貫して低値であった(交互作用のp=0.17)。

2. CLcrとイベント発現との関連性

イベントの発現率(1年間)について,CLcr値と治療薬との関係についてみてみると,腎機能が低下するほど,有効性主要評価項目,および安全性主要評価項目の発現率が高くなる傾向が認められたが,ワルファリンに対するリバーロキサバンの効果には,腎機能による有意な交互作用は認められなかった(それぞれ交互作用のp=0.25,p=0.56)。ただし,重大な出血事象に関しては,腎機能による有意な交互作用を認めた(交互作用のp=0.044)。

●結論

腎機能低下例では,正常例にくらべ,脳卒中や出血イベントの発現リスクが高い。一方,腎機能正常例を含む,幅広い腎機能の患者集団における検討で,リバーロキサバンはベースライン時の腎機能にかかわらず,ワルファリンに対する有効性および安全性主要評価項目の結果は一貫していた。また頭蓋内出血の発現に関しては,腎機能にかかわらずリバーロキサバン群で低値であった。

文献

  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

Lindner SM, et al. Treatment consistency across levels of baseline renal function with rivaroxaban compared with warfarin: insights from ROCKET AF. Eur Heart J 2015; 36(abstract supplement): 1083.


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