抗血栓療法トライアルデータベース|ESC 2015レポート
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欧州心臓病学会(ESC 2015)2015年8月29~9月2日,英国・ロンドン
リアルワールドにおけるリバーロキサバンの安全性および有効性において,第Ⅲ相試験と一貫した結果が示される-大規模前向き観察研究XANTUSの結果より―
2015.9.7
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John Camm氏
A. John Camm氏

脳卒中予防のためリバーロキサバンを投与されているリアルワールドの心房細動患者を対象とした大規模前向き観察研究XANTUSにおいて,リバーロキサバンによる出血事象および脳卒中の発現率は低く,第III相試験とも一貫した結果である-9月1日,欧州心臓病学会(ESC 2015)にて,A. John Camm氏(University of London,英国)が発表した。

●背景・目的

ESCのガイドライン1)では,非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中リスク抑制に,非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)投与を推奨している。リバーロキサバンは,第III相試験ROCKET AFの結果から,脳卒中または全身性塞栓症予防において,ワルファリンに対し非劣性を示した2)。また安全性については,とくに死因となる出血や頭蓋内出血の発現に関し,有意な低減を示した。

しかし,ROCKET AFは比較的高リスクの患者を対象としており,リアルワールドではさまざまな患者に投与されることから,幅広い患者層でのエビデンスの構築が求められていた。そこで,リアルワールドでの幅広いリバーロキサバン投与患者における有害事象のデータを収集することを目的として,はじめての大規模前向き観察研究XANTUSが実施された3)

主要評価項目は,ISTH出血基準大出血事象,全死亡,他の有害事象である。

●方法

対象は,脳卒中または全身性塞栓症予防のためリバーロキサバンを投与されている18歳以上のNVAF患者である。リバーロキサバンによる治療とその用量および投与期間は担当医の裁量とした。なお,推奨されているリバーロキサバンの用量は,通常20mg 1日1回,ただし中等度~重度の腎機能低下例(クレアチニンクリアランス15~49mL/分)では15mg 1日1回投与である。患者は3ヵ月ごと,1年間の観察,早期終了例ではその30日後まで追跡した。

なお,XANTUSプログラムは本研究のほか,東欧,中東,アフリカ,ラテンアメリカで行われるXANTUS EL,アジアで行われるXANAPから成り,総計1万6千例以上を登録する第IV相の観察研究である。

●対象

2012年6月~2013年12月の期間中,欧州およびカナダの20ヵ国,311施設より登録され,安全性解析対象集団としては6,784例(20mg/日5,336例,15mg/日1,410例)が対象となった。 対象患者の平均年齢は71.5±10.0歳,>75歳の割合は37.2%で,男性の割合は59.2%であった。クレアチニンクリアランス<50mL/分の中等度~重度の腎機能障害例は9.4%であった(<15mL/分0.3%,≧15~<30mL/分1.1%,≧30~<50mL/分8.0%,≧50~≦80mL/分34.7%,>80mL/分21.5%,不明は34.4%)。

平均CHADS2スコアは2.0±1.3,平均CHA2DS2-VAScスコア3.4±1.7で,合併症は高血圧74.7%,糖尿病19.6%,脳卒中/全身性塞栓症/TIA 19.0%,うっ血性心不全18.6%,心筋梗塞10.1%であった。

抗血栓薬の前使用歴については,ビタミンK拮抗薬40.8%,直接トロンビン阻害薬3.1%,アスピリン18.0%で,ビタミンK拮抗薬の使用経験のない症例は54.5%であった。

●結果

観察期間終了までに,治療中の大出血,全死亡,脳卒中/全身性塞栓症を認めないイベントフリー率は96.1%(6,522例)であった。

治療中の重大な出血の発現率は2.1%/年(128例)で,その内訳は,致死性出血0.2%/年(12例),重要な臓器の出血0.7%/年(43例)で,このうち頭蓋内出血は0.4%/年(26例),粘膜出血1.0%/年(60例)で,このうち消化管出血は0.9%/年(52例)。また,重大ではない出血事象は15.4%/年(878例)に発現した。

治療中の全死亡は1.9%/年(118例)に認めた。死因は心血管系41.5%(心不全20.3%,突然死11.9%,心筋梗塞5.1%,非出血性脳卒中3.4%),がん19.5%,その他13.6%,致死性出血10.2%(頭蓋外出血4.2%,頭蓋内出血5.9%),感染症8.5%,説明できない死亡7.6%であった。 脳卒中または全身性塞栓症の発現は0.8%/年(51例)で,うち脳卒中は0.7%/年(43例)であった。

次に,用量別の有害事象発現状況をみると,血栓塞栓症事象(脳卒中,全身性塞栓症,一過性脳虚血発作[TIA],心筋梗塞)は20mg例1.6%/年,15mg例2.3%/年,重大な出血事象はそれぞれ1.8%/年,3.1%/年,全死亡は1.4%/年,3.7%/年であった。

ROCKET AFは平均CHADS2スコア3.5,脳卒中既往率55%と比較的高リスクの患者を対象としていたが,本研究のイベント発現率はそれにくらべ同程度,もしくは全体的に低かった。

●結論

XANTUSはNVAFの幅広い患者層におけるリバーロキサバン投与を調査したはじめての大規模な前向き研究である。リアルワールドにおいて,リバーロキサバンを投与中の重大な出血事象および脳卒中発現率は低く,第Ⅲ相試験のROCKET AFとも一貫した結果であった。

文献

  • Camm AJ, et al. 2012 focused update of the ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation: an update of the 2010 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation. Developed with the special contribution of the European Heart Rhythm Association. Eur Heart J 2012; 33: 2719-47.
  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.
  • Camm AJ, et al.; on behalf of the XANTUS Investigators . XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation. Eur Heart J 1 September 2015, DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv466

Camm AJ, et al. XANTUS: Low rates of bleeding and stroke in a real-world prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation. Eur Heart J 2015. 5072.

発表スライドはこちらでご覧いただけます(ESCへのログインが必要です)。
http://congress365.escardio.org/Related-Session?session=C365SESSION16047&ordering=slides,yeardesc,title#.VffN19LtlHw


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