抗血栓トライアルデータベース
抗血栓トライアルデータベース
home
主要学会情報
テキストサイズ 
米国血液学会学術集会(ASH 2015)2015年12月5~8日,米国・オーランド
DVT治療におけるリバーロキサバンと標準療法を比較したはじめての前向き観察研究が発表:XALIA
2015.12.9
印刷用PDF
Alexander G. G. Turpie氏
Alexander G. G. Turpie氏

実臨床下でのリバーロキサバンの有効性・安全性は臨床試験の結果と同様であり,幅広い患者における安全かつ有効な標準療法の代替薬となる-12月7日,米国血液学会学術集会(ASH 2015)にて,Alexander G. G. Turpie氏(Hamilton Health Sciences,カナダ)が発表した。

●背景・目的

リバーロキサバンは急性深部静脈血栓症(DVT)を対象としたEINSTEIN DVT試験にて,低分子量ヘパリン(LMWH)およびビタミンK拮抗薬(VKA)による標準療法と同様の有効性および安全性を示し1),現在,DVTおよび肺塞栓症(PE)の治療ならびに再発抑制の適応においても,世界各国で認可されている。しかし,臨床試験は厳格な選択基準,管理の下で行われた結果であることから,実臨床でのエビデンスが求められていた。

そこで,日常臨床におけるさまざまなDVT患者における,リバーロキサバンの安全性および有効性に関する情報を得ることを目的として,Xa inhibition with rivaroxaban for long-term and initial anticoagulation in venous thromboembolism(XALIA)2)が行われた。

●方法

XALIAは国際多施設共同の前向き観察研究である。急性DVTと診断され,3ヵ月以上の抗凝固療法の適応を有する18歳以上の患者を対象とした。リバーロキサバンのPEに対する適応が認可された後はプロトコールを変更し,PEを合併しているDVT患者も対象としたが,PE単独患者は対象としなかった。

薬物療法の種類,用量,期間は医師の裁量とし,リバーロキサバン投与(最初の21日間は15mg 1日2回投与,その後は20mg 1日1回)または標準療法(未分画ヘパリン,LMWHまたはフォンダパリヌクスとVKAの併用による初期治療の後,VKA単独投与)をそれぞれ3ヵ月以上行った。患者データは初回診察時,1ヵ月後,その後は3ヵ月ごとに収集。観察期間は,最終患者登録の12ヵ月後とした。主要評価項目は重大な出血事象,症候性VTE再発,全死亡である。

少なくとも1回以上の試験薬を投与された患者を安全性解析対象集団とし,評価項目に関しての解析を行い,さらに各サブグループにおいて感度分析を実施した。また,治療群間の変数の不均衡および治療効果の評価におけるバイアスを最小限とするため,プロペンシティスコアを用いた補正解析を行った。

●結果

1. 対象患者

2012年6月26日~2014年3月31日,欧州,イスラエル,カナダなどより,5,142例が登録された。6例は抗凝固薬を服用しなかった。また368例では,2~14日間のヘパリン/フォンダパリヌクスまたは1~14日間のビタミンK拮抗薬が投与された後にリバーロキサバンに変更された。そのため,これらの症例は早期変更群として別解析とし3),本解析では試験薬を1回以上投与された4,768例(リバーロキサバン群2,619例+標準療法群2,149例)を対象とした。

対象患者の平均年齢はリバーロキサバン群57.3歳,標準療法群63.0歳,男性はそれぞれ54.5%,51.9%であった。当該疾患はDVT単独91.6%,88.1%,DVT+PE合併8.4%,11.9%,また,ベースライン時に活動性がんを5.6%,19.1%に認めた。クレアチニンクリアランス≧30~<50mL/分は3.4%,7.3%,VTE既往は24.1%,22.4%,重大な出血事象既往は1.4%,3.0%,血栓性素因は6.0%,5.2%であった。

2. 重大な出血事象

重大な出血事象の発現は,リバーロキサバン群では19例(0.7%)で,標準療法群48例(2.3%)に比べ抑制された(HR 0.41,95%CI 0.24-0.70)。致死性出血はそれぞれ0例,2例(0.1%)。臨床的に問題となる非致死的出血は8例(0.3%),12例(0.6%)で,このうち頭蓋内出血は6例,5例であった。その他の部位における非致死的出血は11例(0.4%),34例(1.6%),このうち消化管出血は3例,18例であった。

3. VTE再発

VTE再発はリバーロキサバン群37例(1.4%)および標準療法群55例(2.6%)で,同程度であった(HR 0.67,95%CI 0.44-1.03)。致死性PEはそれぞれ1例(<0.1%),1例(<0.1%),死因からPEを除外できない死亡は4例(0.2%),4例(0.2%),非致死的PEは17例(0.6%),17例(0.8%),DVT+PE再発は1例(<0.1%),4例(0.2%),DVT再発は13例(0.5%),30例(1.4%)。

4. プロペンシティスコア解析

年齢,性別のほか,腎機能やPEの有無など125項目を補正し,リバーロキサバン群2,505例,標準療法群2,010例について解析を行った。その結果,重大な出血事象(リバーロキサバン群0.8%,標準療法群2.1%,HR 0.77,95%CI 0.40-1.50,p=0.44),VTE再発(それぞれ1.4%,2.3%,HR 0.91,95%CI 0.54-1.54,p=0.72)は同程度となった。全死亡(0.4%,3.4%,HR 0.51,95%CI 0.24-1.07,p=0.07)はリバーロキサバン群で抑制傾向を認めた。

また,リバーロキサバン群727例(28%),標準療法群1,011例(47%)がVTEのため入院したが,プロペンシティスコアで補正した入院期間はそれぞれ5.0日,7.7日であり,リバーロキサバン群で短縮された(幾何平均比0.66,95%CI 0.61-0.72,p<0.001)。

5. EINSTEIN DVTとXALIAとの比較

両試験の患者背景はほぼ同様であったが,重大な出血事象発現率はEINSTEIN DVT試験では0.8%,本試験では0.7%,VTE再発はそれぞれ2.1%,1.4%であり,数値的には本試験のほうが低かった。

●結論

XALIAは,DVT患者を対象に実臨床下でのNOACの有用性を検討した,はじめての大規模前向き観察研究である。実臨床下でリバーロキサバンは標準療法に比べ若齢で,リスクの低い症例に処方されていた。重大な出血や症候性VTE再発率は臨床試験の結果と同程度であり,リバーロキサバンは,幅広い患者に対し安全かつ有効な標準療法の代替薬であることが示された。一方,標準療法群に比べリバーロキサバン群で入院期間の短縮がみられたことから,患者管理の簡便さに加え,経済的ベネフィットももたらされると考えられた。

文献

  • EINSTEIN Investigators. Oral rivaroxaban for symptomatic venous thromboembolism. N Engl J Med 2010; 363: 2499-510.
  • Ageno W, et al. Safety and effectiveness of oral rivaroxaban versus standard anticoagulation for the treatment of symptomatic deep-vein thrombosis (XALIA): an international, prospective, non-interventional study. Lancet Haematol 2015 Dec 8. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2352-3026(15)00257-4
  • Ageno W, et al. XALIA: rationale and design of a non-interventional study of rivaroxaban compared with standard therapy for initial and long-term anticoagulation in deep vein thrombosis. Thromb J 2014; 12:16.

Turpie AGG, et al. Xalia, a Non-Interventional Study Comparing Rivaroxaban with Standard Anticoagulation for Initial and Long-Term Therapy in Deep Vein Thrombosis.


▲TOP
抗血栓療法トライアルデータベース