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第39回日本脳卒中学会総会(STROKE 2014)2014年3月13〜15日,大阪
経管栄養患者に対するリバーロキサバン経管投与実績
2014.4.9
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萩原隆朗氏
萩原隆朗氏

 リバーロキサバンの粉砕経管投与時の抗凝固能検査指標の変化は錠剤経口投与時と同様の傾向であり,これまで新規経口抗凝固薬による抗凝固療法が見送られてきた経管栄養症例にも,新規経口抗凝固薬による適切な抗凝固療法が可能であることが示唆-3月15日,第39回日本脳卒中学会総会にて,萩原隆朗氏(今村病院分院脳卒中センター神経内科)が発表した。

●背景・目的

 心原性脳塞栓症患者では再発予防のための抗凝固療法が必要とされる。その治療法として,これまでは主にワルファリンが用いられてきたが,最近では新規経口抗凝固薬が多く使われるようになりつつある。しかし脳卒中後遺症による嚥下障害など,症例の中には薬剤の経口投与が困難な場合も多い。これら経口投与困難な症例に対して,新規経口抗凝固薬を粉砕経管投与した報告は少なく,現在は主に錠剤経口投与可能な症例にのみ新規経口抗凝固薬が使用されている。

 そこで今回,非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する症例を対象に,リバーロキサバンを粉砕し,経管投与を行った症例について,経口投与例との比較を行った。

●対象・方法

 対象は,2012年4月17日~2014年1月31日に入院したNVAFを有する症例のうち,リバーロキサバンを投与した45例である。これらの患者において,経管投与群と経口投与群の患者背景,プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)のトラフ値とピーク値の比較を行った。トラフ値は投与直前,ピーク値は投与から2~3時間後の採血により測定した。

●患者背景

 対象患者の平均年齢は79.7歳,男性57.8%,CHADS2スコア中央値4点で,症例の内訳は虚血性脳卒中が78%,出血性脳卒中が7%,その他の疾患が15%であった。投与量は15mg/日が16例,10mg/日が29例であった。

 このうち経管投与群は15例,経口投与群は30例で,両群を比較すると経管投与群のほうが高齢であったが(平均85歳 vs. 77歳,p=0.03),その他の患者背景には差異はなかった。なお,有害事象は経口投与群に憩室出血1例を認めたのみであった。

●結果

 経管投与群と経口投与群のAPTTおよびPT-INRのピーク値およびトラフ値を比較したところ,いずれにおいても有意な群間差は認められなかった。

 各群の内服前後のAPTTおよびPT-INRの比較では,APTTは,経管投与群で入院時31.9秒からピーク時41.0秒,経口投与群では31.3秒から36.7秒と,いずれも有意に延長していた(p=0.002)。PT-INRも同様に,経管投与群では1.08から1.70,経口投与群では1.1から1.8と,いずれも有意に延長していた(両群p<0.001)。

 トラフ値とピーク値の比較では,経管投与群では36.3秒から41.0秒と有意に延長していたが(p=0.01),経口投与群では33.1秒から36.6秒と延長していたものの,有意ではなかった(p=0.008)。PT-INRは,経管投与群では1.11から1.70,経口投与群では1.12から1.8と,いずれも有意に延長していた(両群ともp<0.001)。

●まとめ

 健康成人を対象にリバーロキサバンの薬物動態を検討した米国の研究1)では,経口投与,懸濁後経口投与,懸濁後経管投与の血中濃度はほぼ同様に推移したと報告され,この結果をうけて,米国のリバーロキサバン添付文書では経管投与に関する記載が追加されている。

 日本人のNVAFを有する脳卒中患者を対象とした本検討により,リバーロキサバンの経管投与によるPT-INRおよびAPTTの変化は,経口投与と同様の傾向であることが示され,また,明らかな副作用も認められなかった。この結果から,これまで通院困難または定期的な採血困難といった理由で,ワルファリンによる抗凝固療法が見送られてきた経管栄養症例にも,リバーロキサバンでの適切な抗凝固療法が可能であることが示唆された。

文献

  • Moore KT, et al. The relative bioavailability of single-dose rivaroxaban, a novel oral anticoagulant and a selective direct factor Xa inhibitor, administered orally (as a whole or crushed tablet) and via nasogastric tube (as a crushed tablet suspension). (2012年米国胸部疾患学会にて発表).

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