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第39回日本脳卒中学会総会(STROKE 2014)2014年3月13〜15日,大阪
SAMURAI-NVAF研究:急性期病院退院時の抗凝固薬選択状況とその背景要因の検討
2014.3.20
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豊田一則氏
豊田一則氏

 新規経口抗凝固薬の承認後3年弱の期間における,非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)患者の急性期病院退院時の抗凝固薬選択状況として,新規経口抗凝固薬服用者が経時的に漸増-3月13日,第39回日本脳卒中学会総会にて,豊田一則氏(国立循環器病研究センター脳血管内科)が発表した。

●目的

 Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement (SAMURAI)-NVAF研究は,NVAFを有し,発症後7日以内に入院または外来での診療を開始した急性期脳梗塞/TIA患者において,抗凝固療法の選択内容が転帰に及ぼす影響を検討する多施設共同前向き観察研究である。日本国内の18施設において2011年9月に登録を開始し,2年間の追跡を予定している。

 今回は2013年12月末時点で退院時転帰までの入力が完了した954例のうち,データ不十分67例,急性期死亡24例を除いた862例(平均年齢77歳,女性44%)について,退院時の抗凝固薬の選択状況やその背景要因を検討した。

●結果

1. 退院時の抗凝固薬の内訳

 退院時の抗凝固薬の内訳は,ワルファリン515例(60%),直接トロンビン阻害薬(ダビガトラン)166例(19%),第Xa因子阻害薬141例(16%;リバーロキサバン137例+アピキサバン4例)であった。40例(5%)には抗凝固薬が投与されていなかった。

 期間ごとにみると,本研究開始直後の2011年9月~2012年4月における抗凝固薬の内訳はワルファリン70%,直接トロンビン阻害薬24%,第Xa因子阻害薬0%(承認前),抗凝固薬なし6%であった。しかし,2013年1月以降はそれぞれ47%,14%,33%,6%となり,ワルファリンの漸減傾向および新規経口抗凝固薬,特に第Xa因子阻害薬の漸増傾向がうかがわれた。

 2014年2月14日時点における米国での市場調査(IMS NPA)によれば,抗凝固薬の1週間での処方状況はワルファリン49.7%,直接トロンビン阻害薬4.5%,第Xa因子阻害薬45.8%(リバーロキサバン36.8%,アピキサバン9.0%)であり,本研究での最近の処方状況と類似していた。

2. 退院時の抗凝固薬選択の背景要因

 退院時に新規経口抗凝固薬を処方されていた患者は,ワルファリンを処方されていた患者にくらべ女性が少なく(直接トロンビン阻害薬群33%,第Xa因子阻害薬群39%,ワルファリン群48%,p=0.002),若齢で(平均年齢73歳,75歳,79歳,p<0.001),発症後CHADS2スコア(中央値3,3,4,p<0.001)が低く,その構成因子の中では,心不全,脳虚血,血管疾患を有する患者が,ワルファリンを処方されていた患者にくらべて少なかった。

 さらに,脳梗塞の病態や重症度についてみると,新規経口抗凝固薬を処方された患者は大梗塞巣(血管領域の33%超)が少なく(直接トロンビン阻害薬群9%,第Xa因子阻害薬群17%,ワルファリン群32%,p<0.001),発症時National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS;中央値3,6,10,p<0.001)および退院時modified Rankin Scale(mRS;中央値1,2,4,p<0.001)が低く,クレアチニンクリアランス(ClCr;平均値72,64,52mL/分,p<0.001)が高かった。

3. 発症前ワルファリン服用者における退院時薬剤選択

 対象者のうち発症前にワルファリンを服用していたのは257例であったが,このうち76%が退院時に再びワルファリンを選択しており,直接トロンビン阻害薬は13%,第Xa因子阻害薬は10%,抗血栓薬なしは1%であった。

 発症前にワルファリンを服用していた患者は,非服用患者にくらべ,発症時NIHSS(中央値6 vs. 8,p=0.031)およびClCr(平均値54 vs. 58mL/分,p=0.024)が低かった。退院時mRSには有意差を認めなかった(中央値2 vs. 3,p=0.501)。

●まとめ

 NVAFを有する脳梗塞/TIA患者の過半数が,急性期病院の退院時にワルファリンを服用していたが,経時的にみると新規経口抗凝固薬服用者が漸増してきている。

 新規経口抗凝固薬は,軽症で予測される脳梗塞リスクが低い患者で多く用いられている傾向がみられた。一方,ワルファリンは高齢の患者や重症患者に多用される傾向であった。この背景には,高齢患者や重症例患者では新規経口抗凝固薬の適応項目に合致しないケースが多いことや,嚥下障害患者が多いこと,また,高額であることや,回復期・維持期のリハビリテーション施設における新規経口抗凝固薬の使用制限などがあると考えられた。また,ワルファリン服用下で脳梗塞を発症したにもかかわらず,その3/4が,脳梗塞発症後も再度ワルファリンが選択されていた。これはワルファリン処方への慣れなどが影響しているのではないかと考えられた。

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