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第78回日本循環器学会学術集会(JCS 2014)2014年3月21〜23日,東京
心房細動患者における左心耳血栓形成:新規経口抗凝固薬とワルファリンの比較
2014.4.24
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清水宏紀氏
清水宏紀氏

 日本人の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,新規経口抗凝固薬はワルファリンにくらべ左心耳における血栓形成を抑制する可能性がある-3月22日,第78回日本循環器学会学術集会にて,清水宏紀氏(加古川東市民病院内科)が発表した。

●背景

 NVAF患者の脳卒中予防について,新規経口抗凝固薬の有効性および安全性は,ワルファリンと同等またはそれ以上であることが認められている1, 2) 。しかし,脳梗塞や全身性血栓塞栓症の原因となる左心耳血栓形成に対する影響は,これまであまり検討されてこなかった。しかし最近,ダビガトランおよびリバーロキサバンでは,左心耳血栓を退縮・消失させる可能性が報告されている3, 4)

 そこで今回,抗凝固薬を服用中のNVAF患者を対象に,左心耳血栓形成に対する影響を検討する後ろ向き研究を実施した。

●対象

 対象は,2011年6月~2013年12月,肺静脈隔離術もしくは直流除細動を実施する前の24時間以内に,経食道心エコーにより左心耳血栓の有無を確認した,新規経口抗凝固薬もしくはワルファリンを服用中のNVAF患者で,186例である。このうち,ワルファリン服用例は88例(プロトロンビン時間国際標準比[PT-INR]治療域2.0~3.0[>70歳以上では1.6~2.6]),新規経口抗凝固薬服用例は98例(ダビガトラン220mg/日15例,同300mg/日60例,リバーロキサバン15mg/日23例)であった。

●患者背景

 対象患者の平均年齢はワルファリン群63.5歳で,新規経口抗凝固薬群60.7歳にくらべ高齢であった。性別(男/女67/21例,82/16例),心房細動の病型(発作性/持続性75/13例,68/30例)のほか,左房径や左室駆出率,体格,糖尿病,心不全,脳卒中既往などに有意差は認めなかった。平均CHADS2スコア(0.43 vs. 0.57)および平均CHA2DS2-VAScスコア(0.93 vs. 0.94)には有意差を認めなかったが,クレアチニンクリアランスはワルファリン群のほうが有意に低かった(78.5mL/分 vs. 89.7mL/分)。なお,ワルファリン群のPT-INR至適範囲内時間(TTR)は62%であった。

●結果

 経食道心エコーにて左心耳血栓を認めた患者はワルファリン群6例(6.8%)で,新規経口抗凝固薬群1例(1.0%)にくらべ有意に多かった(p=0.0475)。

以下にワルファリン投与下で左心耳血栓を認め,新規経口抗凝固薬によって消失を認めた症例を示す。

症例1(62歳,男性,CHA2DS2-VAScスコア2)

 頻脈誘発性心筋症をともなう持続性心房細動で,ワルファリン4mg/日(PT-INR 1.81)を4週間投与されていた。経食道心エコーにて左心耳血栓を認め,その後ワルファリンからリバーロキサバン10mg/日に変更し,8週間投与したところ,左心耳血栓の消失が確認された。

●まとめ

 本研究から,NVAF患者の左心耳血栓形成の抑制において,ワルファリンよりも新規経口抗凝固薬のほうが有用である可能性が示唆された。本結果は,脳卒中や死亡リスク低減に対する新規経口抗凝固薬の有用性を示した大規模臨床試験1, 2)の結果を支持するものである。

 ワルファリンは心房細動患者における脳卒中や全身性血栓塞栓症の予防に有用であるが,コントロールが困難になることがしばしばある。70歳未満の患者ではPT-INR 2.0~3.0にコントロールすることが推奨されているが,達成が困難である場合が多い。本研究においてTTRは62%で,比較的低値であった。このことが左心耳血栓の検出頻度が多かった可能性がある。一方,新規経口抗凝固薬はモニタリングを不要とし,固定用量で安定した効果が期待できる。このことが,新規経口抗凝固薬服用中の患者において左心耳血栓の形成が少なかった理由の一つと考えられた。

文献

  • Connolly SJ, et al. Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 361: 1139-51.
  • Patel MR, et al. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.
  • Vidal A, et al. Dabigatran and left atrial appendage thrombus. J Thromb Thrombolysis 2012; 34: 545-7.
  • Hammerstingl C, et al. Resolution of giant left atrial appendage thrombus with rivaroxaban. Thromb Haemost 2013; 109: 583-4.

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