抗血栓トライアルデータベース
抗血栓トライアルデータベース
home
主要学会情報
テキストサイズ 
第78回日本循環器学会学術集会(JCS 2014)2014年3月21〜23日,東京
電気的除細動予定患者におけるリバーロキサバンの有効性と可能性
2014.4.11
印刷用PDF
榎本善成氏
榎本善成氏

 電気的除細動を予定している非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,リバーロキサバンの有効性と安全性は高いと考えられる−3月23日,第78回日本循環器学会学術集会にて,榎本善成氏(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科)が発表した。

●背景・目的

 心房細動患者における電気的除細動施行後の血栓塞栓イベントは,洞調律に回復したことで左心耳の血流速度が低下することに起因するとされており1),電気的除細動施行後に抗凝固療法を行わない患者では,30日以内の脳卒中発症率は7%と報告されている2)。日本循環器学会の心房細動治療ガイドライン3)では,電気的除細動施行前3週間および施行後4週間のワルファリン投与を推奨しているが,ワルファリンは投与開始からプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)が至適範囲に達するまでに時間がかかる。一方,リバーロキサバンはワルファリンにくらべ効果発現が早く,服用後2時間で最高血中濃度に達する。また,ROCKET AFでは,有効性においてワルファリンに対する非劣性が認められているが4),電気的除細動施行患者に対する有効性および安全性についてはデータが限られている。

 そこで,電気的除細動施行予定のNVAF患者に対するリバーロキサバンの有効性および安全性,電気的除細動施行までの期間に与える影響について,検討を行った。

●対象・方法

 対象は,心房細動の発作が48時間以上持続しているか,持続時間が不明のNVAF患者91例である。経食道心エコーを行い,左房内血栓が検出されなかった患者には,リバーロキサバン投与から2時間以上後に電気的除細動を行った(グループ1,51例)。経食道心エコーを行わなかった患者に対しては,リバーロキサバンを3週間以上投与した後に電気的除細動を実施した(グループ2,40例)。なお,今回は経食道心エコーにて左房内血栓が検出された患者はみられなかった。

 電気的除細動施行後は同用量のリバーロキサバンを継続し,30日以内の出血および血栓塞栓イベントを評価した。重大な出血,小出血,血栓塞栓イベントの判定はROCKET AF4)の基準を用いた。

●患者背景

 対象患者の平均年齢は63歳,男性は83%であった。左室駆出率は59%,左房径は40mm,クレアチニンクリアランスは82mL/分,またCHADS2スコアは1.0,CHA2DS2-VAScスコアは1.7,HAS-BLEDスコアは1.3であった(数値は平均値)。抗血小板薬の使用は4.3%のみであったが,抗不整脈薬の使用は49%であった。リバーロキサバンの平均投与量は13mg/日で,74.7%が15mg/日を投与されていた。

●結果

 電気的除細動施行後,84例(92.3%)が洞調律に回復し,施行から30日後の時点でも77例(84.6%)が洞調律に保たれていた。電気的除細動施行から30日以内の重大な出血および血栓塞栓イベントは認められなかったが,小出血(歯肉出血)が1例にみられた。この患者は66歳の男性で,CHADS2スコアは1点,HAS-BLEDスコアは3点であった。

 電気的除細動施行までの全例での平均期間は11.9±11.1日で,ワルファリンで推奨されている3週間よりも短縮されており(グループ1:3.6±7.1日,グループ2:22.4±4.2日),リバーロキサバンの効果の発現がすみやかであることが影響していると考えられた。

●結論

 電気的除細動を予定されたNVAF患者において,リバーロキサバンは有効かつ安全に投与可能であった。また,電気的除細動施行前の抗凝固療法の期間を短縮できる可能性が示唆された。

文献

  • Grimm RA, et al. Impact of electrical cardioversion for atrial fibrillation on left atrial appendage function and spontaneous echo contrast: characterization by simultaneous transesophageal echocardiography. J Am Coll Cardiol 1993; 22: 1359-66.
  • Arnold AZ, et al. Role of prophylactic anticoagulation for direct current cardioversion in patients with atrial fibrillation or atrial flutter. J Am Coll Cardiol 1992; 19: 851-5.
  • 日本循環器学会. 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版). http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_inoue_h.pdf
  • Patel MR, et al. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

JCS 2018

AHA 2017

ESC 2017

JCS 2017

STROKE 2017

AHA 2016

JCC 2016

ESC 2016


▲TOP
抗血栓療法トライアルデータベース