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第62回日本心臓病学会学術集会(JCC 2014)2014年9月26〜28日,仙台
リバーロキサバンにより左房内血栓の消失を確認できた1例
2014.10.16
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加藤徹氏
加藤 徹氏

リバーロキサバンにより左房内血栓の退縮あるいは消失が期待できる可能性がある-9月26日,第62回日本心臓病学会学術集会にて,加藤徹氏(国立病院機構栃木医療センター臨床研究部)が発表した。

●背景

新規経口抗凝固薬(NOAC)が開発され,非弁膜症性心房細動(NVAF)に対する心原性脳塞栓症の発症予防目的で投与される機会が増えているが,左房内血栓に対するNOACの効果はまだ明らかになっていない。今回,栃木医療センターにおいて,NVAF患者にリバーロキサバンを投与したところ,14日間という短期間で血栓が消失した症例を経験した。

●症例

89歳,男性。動悸を主訴に外来を受診。高血圧(血圧156/88mmHg),糖尿病(HbA1c 7.9%)を合併,クレアチニンクリアランス47.5mL/分,脳性Na利尿ペプチド(BNP)175.6pg/mL,CHADS2スコア3点。経胸壁心エコーによりNVAFと診断,左房拡大,左房内血栓(径28.6mm×20.8mm)を認めた。

●経過

外来でヘパリン4,000単位静注と同時にリバーロキサバン10mg 1日1回を経口投与し,加療目的で入院。入院後もリバーロキサバン10mg 1日1回を継続投与した。入院5日目の経胸壁心エコーで左房内血栓の退縮傾向(径20.3mm×15.6mm)が認められ,リバーロキサバン投与開始14日目の経胸壁心エコーでは消失していた。経食道心エコーも行ったが,左心房~左心耳のいずれにも血栓を認めず,血栓塞栓症の発症もなかった。

●考察

リバーロキサバン1日1回14日間の投与で,左房内血栓が消失する症例を経験した。ダビガトランについては,300mg/日を投与した結果,血栓が消失したという報告がある一方で1,2),220mg/日投与により血栓が増大したという相反するデータが得られており3),NOACによる左房内血栓への作用は用量あるいは薬剤間で異なる可能性もある4)

リバーロキサバンによる左房内血栓退縮作用を説明する一つの仮説として,リバーロキサバン1日1回投与により,作用ピーク時には薬理的抗凝固作用によって爆発的なトロンビン産生を十分抑制するため,生理的凝固阻止因子(プロテインC,プロテインS,tissue factor pathway inhibitor[TFPI])が消費されず温存される。一方,トラフ時には,この温存された生理的凝固阻止因子が発動することで,血栓増大が抑制され,血栓退縮に寄与したと推察される4)

●結論

リバーロキサバンにより左房内血栓の退縮あるいは消失が期待できる可能性がある。今後,さらに多くの症例で前向きに検討されることを期待したい。

文献

  • Morita S, et al. Dabigatran for left atrial thrombus. Eur Heart J 2013; 34: 2745.
  • Vidal A and Vanerio G. Dabigatran and left atrial appendage thrombus. J Thromb Thrombolysis 2012; 34: 545-7.
  • Tabata E, et al. Increase in the Size of an Intracardiac Thrombus during Dabigatran Therapy (110 mg b.i.d.) in an Acute Cardioembolic Stroke Patient. Cerebrovasc Dis Extra. 2013;3:78-80.
  • Kato T, et al. Two-week administration of rivaroxaban resolved left atrial thrombus. J Cardiol Cases 2014 (in press).


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