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第62回日本心臓病学会学術集会(JCC 2014)2014年9月26〜28日,仙台
心房細動患者における抗凝固療法関連出血イベントの予測因子
-J-ROCKET AFサブグループ解析より
2014.10.16
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堀正二氏
堀 正二氏

J-ROCKET AFにおける出血イベントに関するサブグループ解析では,小出血は重大な出血の予兆とはならず,また重大な出血の予測因子はリバーロキサバンとワルファリンで異なる-第62回日本心臓病学会学術集会のシンポジウム「新規経口抗凝固薬(NOAC)をどう使いこなすか」にて,堀正二氏(大阪府立成人病センター)が9月27日に発表した。

●背景・目的

実地臨床において,経口抗凝固薬投与下の出血事象はときに重篤な転帰をとることがある。そのため,適切な管理が必要となるが,出血の潜在リスクを同定することができれば,重篤化を未然に防ぐことが可能となるかもしれない。大出血の予測因子は,これまでワルファリンでは検討されてきたが,NOACについては十分な情報はない。

NOACの臨床試験のなかで,主要評価項目として「重大な出血事象(以降,大出血と略す)」および「重大ではないが臨床的に問題となる出血事象(以降,小出血と略す)」が唯一明確に判定されているのはJ-ROCKET AF1) およびROCKET AF2)のみである。

そこで本研究では,J-ROCKET AF(対象患者:1,280例,平均追跡期間:リバーロキサバン群499日,ワルファリン群481日)における出血事象の発症頻度・時期に注目し,(1)小出血は大出血の予兆となるか,(2) リバーロキサバン群とワルファリン群における大出血の予測因子は何かについて,検討を行った。

●結果

1. 小出血は大出血の予兆となるか

小出血または大出血は263例(リバーロキサバン群139例,ワルファリン群124例)に認められた。そのうち大出血はリバーロキサバン群26例(3.00%/年),ワルファリン群30例(3.59%/年),小出血は119例(15.42%/年),99例(12.99%/年)で,両群間に差異を認めなかった。

これらの患者を小出血例,小出血が先行した大出血(小出血→大出血)例,大出血例(小出血の先行なし)の3つのグループにわけ,小出血が大出血の予兆となるかについて検討を行った。

大出血発現例のうち,小出血が先行したのはリバーロキサバン群で4/26例,ワルファリン群4/30例と,両群ともに少なく,同程度であった。小出血から大出血に至るまでの期間分析からも関連性は認められず,両群ともに小出血は大出血の予兆とはならないことが示唆された。

次に,小出血および大出血のそれぞれについて発現までの期間をみたところ,両群ともに小出血は比較的投与初期に発現が多いのに対し,大出血には一定の傾向はなく,投与初期から後期にわたってみられ,小出血と大出血の発現における時間的分布は異なることが示唆された。

なお,3グループ間の患者背景について,年齢,性別,体重,既往歴,腎機能などには差異を認めなかったが,リバーロキサバン群の大出血例では,小出血例,小出血→大出血例に比べ抗血小板薬併用が多かった(小出血例27.4%,小出血→大出血例25.0%,大出血例63.6%)。一方,ワルファリン群では3グループ間で大きな差は認めなかった(それぞれ39.4%,50.0%,42.3%)。

2. リバーロキサバン群とワルファリン群で出血の予測因子は異なるか

Cox比例ハザードモデルを用い,大出血に関する独立予測因子を検討した。リバーロキサバン群における大出血の予測因子として,単変量解析から血小板数減少,登録時の抗血小板薬併用,冠動脈バイパス術既往,血清トランスアミナーゼ(AST)上昇,心不全既往が候補となり,多変量解析の結果,登録時の抗血小板薬併用(併用なしに対して,ハザード比[HR]2.40,95%CI 1.05-5.48,p=0.038)が独立した予測因子であることが示された。

一方,ワルファリン群における大出血の予測因子として,単変量解析から登録時の貧血,血清アルブミン値低下,血清直接ビリルビン値低下,血清総ビリルビン値低下,収縮期血圧上昇,拡張期血圧上昇が候補となり,多変量解析の結果,登録時の貧血(HR 2.53,95%CI 1.13-5.66,p=0.023)が独立した予測因子であることが示された。

●結論

小出血が大出血に先行する頻度は低く,またこれらの時間的分布が異なることから,小出血は大出血の予測因子とはならないことが示唆された。一方で,大出血の予測因子は,リバーロキサバンでは抗血小板薬併用,ワルファリンでは貧血となり,薬剤間で異なることが示された。

文献

  • Hori M, et al.; on behalf of the J-ROCKET AF study investigators. Rivaroxaban vs. Warfarin in Japanese Patients With Atrial Fibrillation. Circ J 2012; 76: 2104-11.
  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.


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