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米国心臓協会学術集会(AHA 2014)2014年11月15~19日,米国・シカゴ
1年後のアドヒアランス-NOACとVKAの比較
2015.2.23
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Ben Freedman氏
Ben Freedman氏

NOACのアドヒアランスはVKAにくらべ一貫して良好-11月17日,第87回米国心臓協会学術集会(AHA 2014)にて,Carlos Martinez氏(Institute for Epidemiology, Statistics and Informatics GmbH,ドイツ/写真は共同演者のBen Freedman氏[Sydney Medical School, The University of Sydney,オーストラリア])が発表した。

●背景・目的

心房細動はよくみられる不整脈で,脳卒中や死亡,心不全リスクを増加させる。脳卒中の予防には抗凝固療法が重要となるが,現在十分に行われているとはいえない。また,たとえ抗凝固薬が処方されても,ビタミンK拮抗薬(VKA)は開始早期に服用をやめてしまうことが多いことが報告されている。一方,新規経口抗凝固薬(NOAC)はVKAより服用が簡便であり,良好なアドヒアランスが期待される。

本研究では,初めて心房細動の診断をうけた患者において,初年度のNOACおよびVKAのアドヒアランスの調査を行った。

●対象

英国Clinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用い,2011年1月~2014年5月,プライマリーケアにて非弁膜症性心房細動の診断を初めてうけた,経口抗凝固薬未経験の患者27,253例を対象とした。このうち,診断から90日後までに抗凝固薬を処方されなかった14,412例を除外し,処方された抗凝固薬によりNOAC群(1,005例),VKA群(11,711例),詳細不明群(270例)とし,2014年5月もしくはモルヒネ使用まで追跡を行った。

●結果

1. 患者背景
対象患者の平均年齢はNOAC群74.4歳,VKA群74.2歳で,同程度であった。女性の割合はNOAC群(40.4%)のほうがVKA群(44.0%)より少なかった。平均CHADS2スコア(それぞれ1.9,1.8),CHA2DS2-VAScスコア(3.4,3.4)は同程度であったが,脳卒中/一過性脳虚血発作/血栓塞栓症既往(22.7%,17.5%)はNOAC群のほうが多く,血管疾患既往(22.4%,25.3%)は少なかった。

2. アドヒアランス
NOACの処方率は,2011年の0%から2014年には20.6%に上昇した。また,高リスク患者(CHA2DS2-VAScスコア≧2)への経口抗凝固薬処方について,医師のガイドライン遵守率は2011年の41%から2014年は58.1%に上昇した。 NOAC群におけるアドヒアランスは,VKA群にくらべ,365日後まで一貫して有意に高かった(90日後:NOAC群95.3%,VKA群87.9%,180日後:86.8%,76.5%,270日後:84.2%,69.1%,365日後:80.4%,63.2%,すべてp<0.0001)。

CHA2DS2-VAScスコア別に検討したところ,低リスク患者(<2)ではNOAC群のほうがVKA群よりも数値的には高いものの,有意差が認められなかった時点もあった(90日後:NOAC群92.0%,VKA群84.5%,p<0.05,180日後:73.9%,67.9%,p>0.05,270日後:61.9%,57.2%,p>0.05,365日後:54.4%,50.5%,p>0.05)。しかし,高リスク患者(≧2)ではNOAC群のほうがVKA群にくらべ一貫して有意に高かった(90日後:NOAC群95.8%,VKA群88.5%,180日後:88.8%,77.9%,270日後:87.5%,71.0%,365日後:84.2%,65.2%,すべてp<0.0001)。

●結論

VKAを処方されている心房細動患者において,アドヒアランスは経時的に低下し,1年後は63%,高リスク患者に限ると65%であった。このことが抗凝固療法の実施率の低さにつながり,さらには脳卒中リスク上昇がもたらされると考えられる。一方,NOAC群のアドヒアランスは良好で,高リスク患者における1年後のそれは84%であった。NOACはアドヒアランスを上昇させることにより,脳卒中リスクを低下させうる。

Martinez C, et al. Higher Treatment Persistence of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants than Vitamin K Antagonists at 1 Year in Non-Valvular Atrial Fibrillation in Real-World Practice.


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