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米国心臓協会学術集会(AHA 2014)2014年11月15~19日,米国・シカゴ
ROCKET AFサブグループ解析:多剤併用の影響
2014.12.24
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Jonathan P Piccini氏
Jonathan P Piccini氏

併用薬剤数の増加は出血リスク上昇と関連していたが,脳卒中リスク上昇とは関連せず-11月18日,第87回米国心臓協会学術集会(AHA 2014)にて,Jonathan P. Piccini氏(Duke Clinical Research Institute,米国)が発表した。

●背景・目的

心房細動のような慢性疾患患者では併発疾患が多いため,多剤を併用している状態がよくみられる。本解析はROCKET AF1)のデータを用い,リバーロキサバンのワルファリンに比較しての有効性および安全性を,併用薬剤数別に検討した。

●対象

ROCKET AF登録患者のintention-to-treat集団14,171例を対象とした。併用薬剤数別に0~4剤5,058例(36%),5~9剤7,249例(51%),10剤以上1,864例(13%)に分け,解析を行った。

●結果

1. 患者背景
併用薬剤数が増加するにともない高齢となり(0~4剤例71歳,5~9剤例73歳,10剤以上例75歳),糖尿病合併率(それぞれ23%,45%,64%)が上昇した。性別,CHADS2スコア,持続性心房細動の割合は同程度であったが,脳卒中または一過性脳虚血発作既往は,併用薬剤数の増加にしたがい減少した(それぞれ68%,50%,38%)。ビタミンK拮抗薬服用経験はそれぞれ53%,64%,82%,P糖蛋白および軽度もしくは中等度のCYP3A4阻害剤の併用*の割合は14%,19%,26%であった。
*:アミオダロン,ジルチアゼム,ベラパミル,クロラムフェニコール,シメチジン,エリスロマイシン

2. 脳卒中または全身性塞栓症
ROCKET AFの有効性の主要評価項目である脳卒中または全身性塞栓症発症率は,0~4剤例2.28%/年,5~9剤例2.34%/年(0~4剤例に対し,ハザード比[HR]1.08;95%CI 0.90-1.30,p=0.41),10剤以上例2.01%(HR 1.04;0.77-1.40,p=0.81)で,併用薬剤数との関連は認めなかった。

試験薬(リバーロキサバンまたはワルファリン)と併用薬剤数について,交互作用はみられなかった(0~4剤例:リバーロキサバン群2.13%/年,ワルファリン群2.42%/年,5~9剤例:2.18%/年,2.49%/年,10剤以上例:1.86%/年,2.15%/年,交互作用p=0.97)。

3. 全死亡
全死亡は,0~4剤例3.52%/年,5~9剤例5.08%/年(0~4剤に対し,HR 1.25;1.09-1.44,p=0.0016),10剤以上例6.4%(HR 1.43;1.18-1.73,p=0.0003)で,併用薬剤数の増加にしたがい上昇した。

試験薬(リバーロキサバンまたはワルファリン)と併用薬剤数について,交互作用はみられなかった(0~4剤例:リバーロキサバン群3.41%/年,ワルファリン群3.62%/年,5~9剤例:4.89%/年,5.28%/年,10剤以上例:5.93%/年,6.88%/年,交互作用p=0.99)。

4. 出血事象
安全性の主要評価項目である重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象発症率は,0~4剤例11.64%/年,5~9剤例14.79%/年(HR 1.17;1.07-1.28,p=0.0004),10剤以上例23.4%/年(HR 1.46;1.29-1.64,p<0.0001)で,併用薬剤数の増加にしたがい上昇した。

試験薬と併用薬剤数との交互作用はみられなかった(0~4剤例:リバーロキサバン群11.85%/年,ワルファリン群11.43%/年,5~9剤例:14.95%/年,14.63%/年,10剤以上例:23.56%/年,23.23%/年,交互作用p=0.81)。

5. P糖蛋白およびCYP3A4阻害剤との併用
脳卒中または全身性塞栓症について,試験薬とP糖蛋白およびCYP3A4阻害剤併用の有無による交互作用はみられなかった(併用あり:リバーロキサバン群2.23%/年,ワルファリン群2.25%/年,併用なし: 2.1%/年,2.46%/年,交互作用p=0.42)。重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象についても,同様の結果であった(併用あり:リバーロキサバン群17.64%/年,ワルファリン群15.42%/年,併用なし: 14.31%/年,14.32%/年,交互作用p=0.18)。

●結論

中等度~高リスクの非弁膜症性心房細動患者において,多剤併用はまれではなかった。併用薬剤数の増加は脳卒中リスク上昇とは関連していなかったが,出血リスク上昇と関連していた。なお,治療薬群間で併用薬剤の数による転帰の差異は認めず,P糖蛋白およびCYP3A4阻害剤併用の有無による治療転帰の不均一性もみられなかった。

文献

  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

Piccini JP, et al. Polypharmacy and the Efficacy and Safety of Rivaroxaban versus Warfarin in the Prevention of Stroke: Results From the ROCKET AF Trial


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