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米国心臓協会学術集会(AHA 2014)2014年11月15~19日,米国・シカゴ
ROCKET AFサブグループ解析:SBP上昇は脳卒中リスク上昇と関連
2014.11.28
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Srerkanth Vemulapalli氏
Srerkanth Vemulapalli氏

収縮期血圧(SBP)上昇は,脳卒中または全身性塞栓症,ならびに脳梗塞リスクの上昇と関連し,管理不良の高血圧は出血性脳卒中リスクの上昇とも関連-11月16日,米国心臓協会学術集会(AHA 2014)にて,Sreekanth Vemulapalli氏(Duke Clinical Research Institute,米国)が報告した。

●背景・目的

高血圧は,心房細動患者における脳卒中および出血の独立リスク因子である。しかし,抗凝固療法中の心房細動患者について,血圧と脳卒中または出血リスクとの関連性は明確になっておらず,欧米での心房細動に関するガイドライン1, 2)では,高血圧治療の目標値は非心房細動患者と同様の目標値が推奨されている。

本解析は,ROCKET AF3)のサブグループ解析として,同試験における主要評価項目(有効性:脳卒中および全身性塞栓症,安全性:重大な出血事象および重大ではないが臨床的に問題となる出血事象)の発症率を,SBP値ならびに高血圧既往の有無や管理状況との関連から検討した。また,試験薬(リバーロキサバンおよびワルファリン)が血圧と脳卒中および出血リスクの関連におよぼす影響についても,検討を行った。

●方法

ROCKET AF登録患者14,256例について,米国合同委員会第7次報告(JNC 7)1)ならびに欧州心臓病学会(ESC)2)の高血圧の定義より,非高血圧1,354例(全体の9.5%),管理下高血圧(SBP<140mmHg)7,963例(55.8%),管理不良高血圧(SBP≧140mmHg)4,939例(34.6%)に分けた。

SBPを連続型変数およびカテゴリー変数とし,Cox比例ハザードモデルを用いて有効性および安全性の主要評価項目の発症率を比較した。また,高血圧の経時的な累積的影響を検討するため,高血圧既往がイベント発症率におよぼす影響を評価した。さらに,抗凝固療法(リバーロキサバンおよびワルファリン)がイベント発症率におよぼす影響についても評価を行った。

●結果

1.患者背景
非高血圧例に比べ高血圧例では高齢で(非高血圧例69歳,管理下高血圧例73歳,管理不良高血圧例73歳),女性が多く(それぞれ29%,39%,44%),心電図上左室肥大を認める割合が多く(7%,16%,22%),平均CHADS2スコアが高かった(2.8,3.5,3.6)。

2.SBPと主要評価項目の関連
SBP10mmHgの上昇は有効性の主要評価項目(ハザード比[HR]1.07;95%信頼区間[CI]1.02-1.13,p=0.0088),脳梗塞(HR 1.08;1.02-1.15,p=0.012)の発症率上昇と関連していたが,安全性の主要評価項目については関連を認めなかった(HR 1.01;0.98-1.03,p=0.64)。

また,心筋梗塞は非高血圧例で増加していた一方(高血圧既往例:HR 1.01;0.94-1.09,非高血圧例:HR 1.35;1.03-1.77,交互作用p=0.045),重大ではないが臨床的に問題となる出血事象は高血圧既往例で増加していた(高血圧既往例:HR 1.02;1.00-1.05,非高血圧例:HR 0.93;0.85-1.02,交互作用p=0.048)。

3.高血圧の管理状況と主要評価項目の関連
非高血圧例に対し,高血圧管理不良例ほど有効性の主要評価項目の発症リスクが増加する傾向がみられたが(管理下高血圧 vs. 非高血圧:HR 1.22;0.89-1.66,管理不良高血圧 vs. 非高血圧:HR 1.42;1.03-1.95,全群間差p=0.060),安全性の主要評価項目については高血圧の管理状況による有意な関連を認めなかった(管理下高血圧 vs. 非高血圧:HR 0.95;0.83-1.08,管理不良高血圧 vs. 非高血圧:HR 1.01;0.88-1.16,全群間差p=0.30)。

また,有効性の主要評価項目累積発症率をみたところ,管理不良高血圧例では管理下高血圧例ならびに非高血圧例にくらべ,7ヵ月後まではほぼ同様であったが,それ以降はさらなる上昇がみられた。出血性脳卒中については,非高血圧例に比べ,管理下高血圧例および管理不良高血圧例のいずれも発症率の上昇がみられたが,とくにSBP≧160mmHg例では顕著な上昇をみとめた。

4.試験薬と主要評価項目の関連
リバーロキサバンのワルファリンに比較してのベネフィットは,登録時のSBP値にかかわらず一貫していた(交互作用p=NS)。

●結論

試験登録患者の1/3が管理不良の高血圧を有していた。SBP上昇は脳卒中または全身性塞栓症ならびに脳梗塞リスクの上昇と関連していた。管理不良の高血圧は脳卒中または全身性塞栓症リスク上昇や出血性脳卒中のリスク上昇と関連している傾向をみとめた。心房細動患者において,厳格な血圧管理はすべての脳卒中リスクを抑制する重要な因子と考えられる。

文献

  • http://www.nhlbi.nih.gov/health-pro/guidelines/current/hypertension-jnc-7/complete-report
  • Mancia G, et al. 2013 ESH/ESC guidelines for the management of arterial hypertension: the Task Force for the Management of Arterial Hypertension of the European Society of Hypertension (ESH) and of the European Society of Cardiology (ESC). Eur Heart J 2013; 34: 2159-219.
  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

Vemulapalli S, et al. Blood Pressure Control and Stroke or Bleeding Risk in Patients with Atrial Fibrillation: Results from the ROCKET AF Trial.


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