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欧州心臓病学会学術集会(ESC 2013) 2013年8月31日~9月4日,オランダ・アムステルダム
GARFIELD registry:新規発症および永続性心房細動患者の比較
2013.10.10
John Camm氏
John Camm氏

新規発症心房細動患者と永続性心房細動患者の血栓・塞栓症や死亡の発症率は同程度-欧州心臓病学会(ESC Congress 2013)にて,John Camm氏(St George's University of London,英国)が9月3日に発表した。

●背景

初発の心房細動は,さまざまなパターンをとる。心房細動は,しばしば短時間の発作から長時間のそれへと進展し,時間経過とともに永続性へと至りうる1)。脳卒中リスクが中~高度で禁忌のない非弁膜症性心房細動(NVAF)患者では,心房細動の病型(発作性,持続性,永続性)にかかわらず,抗凝固療法が推奨されている。しかし,新規に診断された患者,もしくは発作性心房細動患者では,抗凝固療法実施率が低いという報告がある2, 3)

●目的・方法

GARFIELD registry*は,脳卒中リスク因子を有するNVAF患者を登録する,世界規模の前向きコホート研究である。

GARFIELD registry第1コホートには,19ヵ国の540施設より,10,614例が登録された。第1コホートのみ,比較のために新規(6週以内)に診断されたNVAF患者の前向き登録(5,525例)と,登録の6~24ヵ月前までにNVAFの確定診断を受けた患者の後向き登録(5,089例)が行われた。

本解析は,前向き登録患者5,525例のうちの新規発症および永続性心房細動患者について,登録時の患者特性,心房細動診断時に開始された抗血栓療法,1年後の臨床転帰を比較した。 解析はCox比例ハザードモデルを用いた。

●患者背景

対象患者のうち,新規発症患者は2,477例(44.8%),永続性心房細動患者は785例(14.2%)であった。新規発症患者は永続性患者にくらべ,若齢で(中央値71歳および74歳,p<0.001),心拍数が高く(平均値92.9/分および84.9/分,p<0.001),リスク因子保有率が低いという特徴を有していた(うっ血性心不全21.5%および25.7%,p=0.014,高血圧76.3%および80.0%,p=0.033,脳卒中または一過性脳虚血発作既往12.0%および15.2%,p=0.022)。 心房細動患者における塞栓症リスクスコアであるCHADS2スコアは1.9±1.1および2.1±1.2,CHA2DS2-VAScスコアは3.2±1.6および3.6±1.6で,新規発症患者のほうが低かった(いずれもp<0.001)。出血リスクスコアであるHAS-BLEDスコアは,新規発症患者,永続性患者ともに1.4±0.9で,同程度であった。

抗血栓療法は,心房細動の病型により差異がみられた(p<0.001)。新規発症患者は永続性患者にくらべビタミンK拮抗薬投与率が低く(ビタミンK拮抗薬単独41.4%および49.2%,ビタミンK拮抗薬+抗血小板薬10.7%および11.8%),抗血小板薬単独投与率(27.3%および22.4%),新規経口抗凝固薬投与率(6.2%および4.3%,抗血小板薬併用の有無は問わない)が高かった。

●イベント発症率

1年後の全死亡(新規発症患者4.5%および永続性患者5.0%,補正後ハザード比[HR]1.03,95%CI 0.71-1.51,p=0.87),脳卒中/全身性塞栓症(1.3%および0.9%,補正後HR 1.47,95%CI 0.65-3.36,p=0.36),重大な出血(0.7%および0.5%,発現数が少なかったため,解析を行わず)は,すべて同程度であった。

●結論

新規発症心房細動患者は永続性心房細動患者にくらべ若齢で,心血管リスクが低かった。その結果,抗凝固薬投与率は低かったが,新規発症心房細動患者の1年後の死亡または脳卒中/全身性塞栓症発症率は永続性心房細動患者と有意な差はなく,また出血の発現率も同程度であった。血栓・塞栓症リスクは,心房細動の病型にかかわらず同程度であることを念頭に,各患者の保有リスクに応じた抗凝固療法の導入とそのリスク・ベネフィットの見極めの重要性が示唆された。

文献

  • Camm AJ, et al. Guidelines for the management of atrial fibrillation: the Task Force for the Management of Atrial Fibrillation of the European Society of Cardiology (ESC). Eur Heart J 2010; 31: 2369-429.
  • Nieuwlaat R, et al. Atrial fibrillation management: a prospective survey in ESC member countries: the Euro Heart Survey on Atrial Fibrillation. Eur Heart J 2005; 26: 2422-34.
  • Nieuwlaat R, et al. Prognosis, disease progression, and treatment of atrial fibrillation patients during 1 year: follow-up of the Euro Heart Survey on atrial fibrillation. Eur Heart J 2008; 29: 1181-9.

*Global Anticoagulant Registry in the Field(GARFIELD Registry)は,日本を含む約50ヵ国,1,000を超える施設から,心房細動と診断された患者55,000例を登録し,リアルワールドでの治療実態や臨床的転帰を評価する世界規模の前向きコホート研究である。登録は5つの連続コホートに分けて行い,最低2年間の追跡を予定している。第1コホート,第2コホートは登録が終了し,2013年9月現在,第3コホートの患者を登録中である。

Camm AJ, et al. One-year outcomes in new versus permanent atrial fibrillation: insights from the prospective, international GARFIELD registry. Eur Heart J 2013; 34(Abstract Supplement ), 954. [abstract: P5137

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