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欧州心臓病学会学術集会(ESC 2013) 2013年8月31日~9月4日,オランダ・アムステルダム
ROCKET AFサブ解析:PAD合併心房細動患者におけるリバーロキサバンの有効性・安全性
2013.9.20
William Jones氏
William Jones氏

末梢動脈疾患(PAD)合併心房細動患者におけるリバーロキサバンの有効性は,ROCKET AF全体の結果と一貫性を認める-欧州心臓病学会(ESC Congress 2013)にて,William Jones氏(Duke University School of Medicine,米国)が9月3日に発表した。

●背景・目的

PADはしばしばみられる心房細動の合併症である。PADをはじめ,心筋梗塞既往,大動脈アテローム性プラークといった血管疾患は,心房細動患者における脳卒中リスクスコアであるCHA2DS2-VAScスコアの構成項目であり,合併すると脳卒中発症リスクが高くなるとされる。しかし,PADが実際に脳卒中リスクをどの程度上昇させるかについては明確でない。

PAD患者に対しては,通常虚血イベント(死亡,心筋梗塞,脳卒中)発症抑制のため,抗血小板薬が処方される。しかし,PAD合併心房細動患者における抗血小板薬および抗凝固薬併用の有効性および安全性のエビデンスは不足しており,適切な抗血栓薬のレジメンは確立されていない。

ROCKET AF 1)では,心房細動患者におけるリバーロキサバンの脳卒中予防効果について,リバーロキサバンのワルファリンに対する非劣性が認められた。今回,同試験の事後解析として,PAD合併の有無による転帰が検討され,その結果が発表された。

●患者背景

ROCKET AF 対象患者のうち,PAD合併患者は839例(5.3%),非合併患者は13,425例(94.7%)。PAD合併患者は,合併していない患者よりも高齢であり(74歳および73歳[中央値],p=0.0002),女性が少なかった(28%および40%,p<0.0001)。心房細動の病型の割合に差はみられなかった(いずれも発作性18%,持続性81%)。

心房細動患者の脳卒中リスクスコアであるCHADS2スコア(3.7および3.5),出血リスクスコアであるHAS-BLEDスコア(2.9および2.8)は,PAD合併患者のほうが高かった(いずれもp<0.0001)。PAD合併患者では,CHADS2スコア構成項目のうち,心不全合併率(71%および62%),糖尿病合併率(48%および39%)が高かったが(p<0.0001),脳卒中/一過性脳虚血発作/全身性塞栓症既往(57%および55%),高血圧(92%および90%)には有意差を認めなかった。

薬物療法歴については,PAD合併患者でビタミンK拮抗薬使用歴のある症例の割合が多かった(71%および62%,p<0.0001)。アスピリンの慢性投与歴のある症例は,PAD合併および非合併群の間に有意差はなかった(39%および36%,p=0.079)。

●結果

PAD合併の有無別にみたところ,有効性主要評価項目である脳卒中/全身性塞栓症発症率は,PAD合併の有無にかかわらず同程度であった(PAD合併2.41/100人・年および非合併2.09/100人・年,ハザード比[HR]1.04,95%CI 0.72-1.50,p=0.84)。

また,安全性主要評価項目(重大な出血事象および重大ではないが臨床的に問題となる出血事象)の発現率についても,PAD合併の有無にかかわらず同程度であった(17.81/100人・年および14.54/100人・年,HR 1.11,95%CI 0.96-1.28,p=0.17)。一方,致死的出血(0.16/100人・年および0.38/100人・年,HR 0.37,95%CI 0.09-1.52),頭蓋内出血(0.39/100人・年および0.63/100人・年,HR 0.63,95%CI 0.25-1.58)の発現率には有意な差はなかったものの,PAD合併群で低値であった。

次に,治療群別にみたところ,リバーロキサバン群のワルファリン群に対する有効性主要評価項目のHRには,PAD合併の有無による差はみられなかった(PAD合併:HR 1.19,95%CI 0.63-2.22,非合併:HR 0.86,95%CI 0.73-1.02,交互作用p=0.34)。 一方,安全性主要評価項目については,PADの有無による交互作用が認められた(PAD合併:HR 1.40,95%CI 1.06-1.86,非合併:HR 1.03,95%CI 0.95-1.11,交互作用p=0.037)。

●結論

有効性および安全性主要評価項目に関し,PAD合併の有無にかかわらず,その発現率は同程度であった。PAD合併の有無にかかわらず,リバーロキサバンの有効性は,ROCKET AF全体の結果と一致していた。一方,安全性主要評価項目に関し,PAD合併例ではリバーロキサバン群で高い傾向があったことから,これらの症例における適切な管理の重要性が示唆された。

文献

  • Patel MR, et al.; the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.

Jones W, et al. Efficacy and safety of rivaroxaban compared with warfarin in patients with peripheral artery disease and non-valvular atrial fibrillation: insights from ROCKET AF. Eur Heart J 2013; 34(Abstract Supplement ), 809-10. [abstract: 4385

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