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米国心臓協会学術集会(AHA 2013)2013年11月16~20日,米国・ダラス
ROCKET AFサブグループ解析:重大な出血事象の管理
2013.11.27
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Jonathan Piccini氏
Jonathan Piccini氏

ROCKET AFで重大な出血事象が発症したNVAF患者において,リバーロキサバン群で発症した出血のほうが,ワルファリン群にくらべ,血漿製剤や血液凝固因子製剤の使用を必要とする割合が低い-第86回米国心臓協会学術集会(AHA 2013)にて,Jonathan P. Piccini氏(Duke Clinical Research Institute,米国)が11月19日に発表した。

●背景・方法

リバーロキサバンを投与中に重大な出血事象を発症した場合,管理およびその後の転帰についての情報は現在十分ではなく,出血時の対症的アプローチやリバーロキサバンに特化した中和剤の開発などが,今後の課題となっている。

ROCKET AFの主結果では,追跡期間1.9年(中央値)において,重大な出血事象は779例(5.5%,3.52%/年)に認められた。リバーロキサバン群は395例(3.6%/年),ワルファリン群は384例(3.4%/年)で,両群間に有意差は認めなかった。

本発表はROCKET AF1)のpost hoc解析として,これらの重大な出血事象発症例について,患者背景の特徴のほか,出血後の管理および転帰に関して,リバーロキサバン群およびワルファリン群で違いがあるのかについて検討した。解析は安全性解析集団(試験薬を1回以上投与された患者)を対象とし,Cox回帰モデルを用いた。

●結果

1. 患者背景
重大な出血事象発症例と非発症例において,年齢や性別などに差はなかった。塞栓症リスクスコアであるCHADS2スコアや,出血リスクスコアであるHAS-BLEDスコアについても差はなかったが,重大な出血事象発症例では,クレアチニンクリアランスがやや低く,またアスピリンの併用率がやや高かった。

2.ISTH基準にもとづく重大な出血事象発症後の管理
重大な出血事象発症時の入院期間中央値はリバーロキサバン群では5日,ワルファリン群では6日であった。

重大な出血事象発症から5日後までに濃厚赤血球(PRC)輸血を受けた症例は,リバーロキサバン群176例,ワルファリン群143例で,リバーロキサバン群でやや多かった。輸血量は両群とも2単位であった。血小板製剤は4例(中央値3単位)および6例(中央値5単位),cryoprecipitateは両群1例(中央値1単位)であった。

一方,新鮮凍結血漿(FFP)はリバーロキサバン群45例(中央値2単位)で,ワルファリン群81例(中央値2単位)にくらべ少なかった。多変量解析の結果,リバーロキサバンの投与(オッズ比[OR]0.43,95%CI 0.29-0.66,p<0.0001),脳卒中/TIA既往(OR 0.55,95%CI 0.37-0.84,p=0.0056)がFFP投与低減の有意な予測因子であり,逆にアスピリン前投与(OR 1.72,95%CI 1.12-2.64,p=0.0132),ビタミンK拮抗薬前投与(OR 2.05,95%CI 1.25-3.36,p=0.0042)が増加の有意な予測因子であった。

重大な出血事象発症から24時間後までの薬剤による処置は,プロトロンビン複合体製剤(PCC)は4例(0.9%)および9例(2.2%),ビタミンKは32例(7.4%)および54例(13.2%)で,リバーロキサバン群で少なかった。遺伝子組み換え型第VIIa因子製剤は0例および1例,第VIII因子製剤は両群1例,第IX因子製剤は0例および3例と,使用自体はまれであった。

3. 重大な出血事象発症後の転帰
重大な出血事象発症後の転帰に関し,脳卒中または全身性塞栓症はリバーロキサバン群20例(4.7%),ワルファリン群22例(5.4%)に発症したが,有意差は認めなかった(ハザード比[HR]0.888,95%CI 0.420-1.876,p=0.51)。全死亡に関しても有意な差はなかったが(20.4%および26.1%,HR 0.688,95%CI 0.455-1.042,p=0.11),リバーロキサバン群で低い傾向にあった。

なお,本解析におけるlimitationとして,Piccini氏は,大出血発症時にプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)を測定することにより,治験薬の割付内容について担当医にバイアスがかかった可能性を指摘した。

●結論

ROCKET AFにおいて重大な出血事象が発症した非弁膜症性心房細動患者において,リバーロキサバン群で発症した出血事象では,FFPおよびPCCの投与を必要とする割合がワルファリン群にくらべ少なかった。重大な出血事象発症後の転帰については両群で有意差は認めなかった。

文献

  • Patel MR, et al. Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation. N Engl J Med 2011; 365: 883-91.


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