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欧州心臓病学会学術集会(ESC 2012) 2012年8月25〜29日,ドイツ・ミュンヘン
ROCKET AFサブ解析:試験終了時の不適切な抗凝固療法
—新規抗凝固薬からワルファリンへ切り替え時への教訓に—
2012.10.24
Breithardt氏
Günter Breithardt氏

試験終了後のリバーロキサバンからビタミンK拮抗薬(ワルファリン)への切り替えにおいて,血栓塞栓イベントの発生リスクが高率であった原因は,移行期における抗凝固療法の強度が不十分であったことによる−2012年8月25〜29日に開催された欧州心臓病学会(ESC Congress 2012)にて,Günter Breithardt氏(Westfälische Wilhelms-Universität,ドイツ)が29日に発表した。
*ROCKET AFの概要は下記を参照

 

●背景・目的
ROCKET AFは非弁膜症性心房細動患者を対象に,有効性におけるワルファリンに対する非劣性の検証を目的として,二重盲検ダブルダミー法で実施された国際共同試験である。本試験では,試験終了後は治験薬の投与を中止し,オープンラベルでのワルファリンなどによる標準的治療への移行が行われた。その際,盲検性を維持するため,オープンラベルでのワルファリン投与開始後の最低3日間はプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)測定を行わないよう指示された。結果として,試験終了後から30日間における有効性の一次エンドポイント(脳卒中または全身性塞栓症)の発症は,リバーロキサバン群ではワルファリン群に比し,多く認められた。

そこで,試験終了時点まで治験薬の服用を継続していた患者を対象に,試験終了後3〜30日の間に発症した脳卒中または全身性塞栓症について解析を行った。

●結果
ROCKET AFのper-protocol解析対象集団14,143例のうち,試験終了時点まで治験薬の服用を継続していたのは9,248例(リバーロキサバン群4,591例,ワルファリン群4,657例)であった。そのうち92%は,試験終了後から30日までの間にオープンラベルでのビタミンK拮抗薬投与に移行した。試験終了後からオープンラベルのワルファリン投与までの期間(中央値)は1日であった。また,移行においてヘパリンによるブリッジング療法が行われたのは2%未満であった。

試験終了後,ワルファリン投与に移行した患者においてPT-INRが治療域にコントロールされるまでの期間(中央値)は,リバーロキサバン群では13日で,ワルファリン群の3日に比べ時間を要した。試験終了後の30日間におけるPT-INR≧2の割合は,リバーロキサバン群では51.9%で,ワルファリン群の83.1%に比べ低かった。

試験終了後の3〜30日間に発生した有効性の一次エンドポイントはリバーロキサバン群22例(6.42/100例・年)で,ワルファリン 群6例(1.73/100例・年)に比べ多く認められた(HR 3.72,95%CI 1.51-9.16,p=0.004)。そのほとんどが脳梗塞であった(リバーロキサバン群18例 vs. ワルファリン 群4例,HR 4.56,95%CI 1.54-13.5,p=0.006)。全死亡は同程度であった(14例 vs. 8例,HR 1.77,95%CI 0.74-4.22,p=0.197)。

●結論
ROCKET AFは,オープン試験で起こりうるさまざまなバイアスを排除すべく,二重盲検ダブルダミー法という厳格な試験デザインが選択された。そのため,試験終了後の標準的治療への移行期においても,盲検性を維持しながらオープンラベルでのビタミンK拮抗薬に移行するという特殊な状況を余儀なくされた。結果として,リバーロキサバン群ではワルファリン群に比し,一次エンドポイントの発生が多く認められた。イベント発生頻度や発生パターンをみるとリバウンド現象とは考えにくい状況であり,リバーロキサバン群でのイベント発生の増加は,ワルファリンへの移行期における抗凝固療法の強度が不十分であったことによる可能性が高いと考えられた。

このことは重要な知見であり,この教訓を踏まえ,新規抗凝固薬からワルファリンへ切り替える際には,抗凝固作用が不十分にならないよう配慮することが重要である。

Patel MR, et al. Inadequate anticoagulant therapy during end of study transition to open-label vitamin K antagonist therapy: experience in ROCKET AF. Eur Heart J 2012; 33(Abstract Supplement ), 968. [abstract: 5291

*ROCKET AF試験:非弁膜症性心房細動患者14,264例において,リバーロキサバンの有効性および安全性を用量調節ワルファリン(PT-INR 2.0〜3.0)と比較した無作為割付二重盲検試験。有効性の一次エンドポイント(脳卒中または全身性塞栓症)について,リバーロキサバンの非劣性が認められ,さらに治験薬投与下での優越性も認められた。
[参考]ROCKET AF試験

JCS 2018

AHA 2017

ESC 2017

JCS 2017

STROKE 2017

AHA 2016

JCC 2016

ESC 2016


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