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欧州心臓病学会学術集会学術集会(ESC 2012) 2012年8月25〜29日,ドイツ・ミュンヘン
ROCKET AFサブ解析:死亡の予測因子
2012.9.19

非弁膜症性心房細動患者における死亡率上昇の独立予測因子は腎機能低下例,慢性閉塞性肺疾患(COPD),男性,末梢血管疾患(PVD),年齢である−2012年8月25〜29日に開催された欧州心臓病学会学術集会(ESC Congress) 2012にて,ROCKET AF*登録患者のデータ解析にもとづき,Manesh R Patel氏(Duke Clinical Research Institute, Duke University Medical Center,米国)が26日に発表した。
*ROCKET AFの概要は下記を参照

●背景・目的
心房細動は加齢とともに増加し,その存在は死亡のリスクを上昇させる。米国の後向きコホート研究によれば,心房細動の診断から1年後の死亡率は25%にものぼることが報告されている1)。一方,非弁膜症性心房細動患者における抗血栓療法の有効性を検討したメタ解析では,死亡のリスクに対し,有意な低減効果を示したのは経口抗凝固薬のみであった2)。抗凝固療法中の死亡の予測因子を特定することは,心房細動治療のさらなる一助となる。Patel氏らは,ROCKET AF*登録患者のデータから死亡の予測因子を検討した。

●対象・結果
ROCKET AFに登録された非弁膜症性心房細動患者14,171例(intention-to-treat population)を対象とした。追跡期間中央値1.94年における死亡はリバーロキサバン群582例(4.5%/年),ワルファリン群632例(4.9%/年)で,両群間で有意な差はなかった[HR 0.92,95%信頼区間(CI)0.82-1.03,p=0.15]。
死亡例と生存例の患者背景の比較では,死亡例では,男性が多く(死亡例:66.3%,生存例:59.9%),年齢(中央値:76歳 vs. 72歳,p<0.0001)やCHADS2スコア(平均:3.6 vs. 3.5,p<0.0001)が高い,クレアチニンクリアランス(CLcr)が低い(中央値:59mL/min vs 68mL/min,p<0.0001)などの特徴がみられた。

Cox比例ハザード回帰モデルによる死亡の独立予測因子は以下の項目であった。
CLcr(Cockcroft-Gault式):χ²=46.2,p<0.0001。
 60 mL/分未満例における10 mL/分の上昇:HR 0.801,95%CI 0.742-0.865。
 60mL/分超える例における10 mL/分の上昇:HR 0.964,95%CI 0.933-0.995。
慢性閉塞性肺疾患(COPD):χ²=43.5,HR 1.650,95%CI 1.422-1.915,p<0.0001。
女性:χ²=40.4,HR 0.658,95%CI 0.578-0.749,p<0.0001。
末梢血管疾患(PVD):χ²=39.5,HR 1.493,95%CI 1.318-1.692,p<0.0001。
高齢(70歳超について,10歳上昇ごと):χ²=35.9,HR 1.485,95%CI 1.305-1.690,p<0.0001。
糖尿病:χ²=35.4,HR 1.448,95%CI 1.282-1.636,p<0.0001。
心不全:χ²=30.4,HR 1.461,95%CI 1.277-1.673,p<0.0001。
地域(東欧を参照とする):χ²=16.4,p=0.0025。
 ラテンアメリカ居住:HR 1.375,95%CI 1.152-1.640。など

●結論
死亡率を強く上昇させる独立予測因子はCLcr低値,COPD,男性,PVD,年齢であった。特にCLcr低値は最も強い予測因子であり,抗凝固療法実施時における評価の重要性が示唆された。

Patel MR, et al. Independent predictors of mortality in patients with non-valvular atrial fibrillation: results from ROCKET AF. Eur Heart J 2012; 33(Abstract Supplement), 56. [abstract: p571

文献

  • Piccini JP, et al. Incidence and prevalence of atrial fibrillation and associated mortality among Medicare beneficiaries, 1993-2007. Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2012; 5: 85-93.
  • Hart RG, et al. Meta-analysis: antithrombotic therapy to prevent stroke in patients who have nonvalvular atrial fibrillation. Ann Intern Med 2007; 146: 857-67.


*ROCKET AF試験:非弁膜症性心房細動患者14,264例において,リバーロキサバンの有効性および安全性を用量調節ワルファリン(PT-INR 2.0〜3.0)と比較した無作為割付二重盲検試験。有効性の一次エンドポイント(脳卒中または全身性塞栓症)について,リバーロキサバンの非劣性が認められ,さらに治験薬投与下での優越性も認められた。
[参考]ROCKET AF試験

JCS 2018

AHA 2017

ESC 2017

JCS 2017

STROKE 2017

AHA 2016

JCC 2016

ESC 2016


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