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第84回米国心臓協会学術集会(AHA 2011)2011年11月12〜16日,米国・オーランド
ROCKET AFサブ解析
i-TTRの個別,地域別の決定因子
2011.11.30

【11月14日・オーランド】

試験背景/目的 ワルファリン投与中の心房細動患者において,INR至適範囲(2.0~3.0)内時間(TTR)は抗凝固療法の質を測る一般的な方法であるが,個人レベルのTTR(i-TTR)の決定因子については明確になっていない。本解析はi-TTRの個別,地域別の決定因子を検討したもので,Daniel E Singer氏(Massachusetts General Hospital)により報告された。

試験プロトコール ROCKET AF試験は非弁膜症性心房細動患者14,264例における脳卒中および非中枢神経系塞栓症の予防効果について,リバロキサバン群(リバロキサバン20mg/日,クレアチニンクリアランス30~49mL/分の腎障害患者では15mg/日),ワルファリン群(目標INR 2.5,範囲2.0~3.0)を比較した無作為化二重盲検比較試験である。
本解析では,ワルファリン群のうち,ワルファリンを1回以上投与され,1回以上INRの測定が行われた6,983例を対象とした。

結果 追跡期間中央値1.7年(IQR 1.1~2.2)におけるワルファリン群のi-TTRは平均55±21%,中央値58(IQR 43~71)%であった。

心不全合併患者は非合併患者に比しi-TTRが低かった(52.9±21.2% vs. 59.0±20.7%,p<0.0001)。
脳卒中/一過性脳虚血発作既往はi-TTRと関連していなかった(既往あり54.8±21.3% vs. 既往なし55.6±21.2%,p=0.087)。
試験前のワルファリン投与経験はビタミンK拮抗薬未投与患者に比しi-TTR上昇に強く関連していた[ワルファリン投与経験61.1±19.3%,ビタミンK拮抗薬経験/ワルファリン未投与56.9±19.0%,ビタミンK拮抗薬未投与47.4±22.1%,p<0.0001]。
i-TTRは地域により大きく異なっていた(東アジア50.4±21.4%,インド35.9±23.3%,東欧49.7±21.2%,西欧63.2±18.5%,南アフリカ54.8±22.1%,ラテンアメリカ55.2±20.0%,北米64.1±18.2%,p<0.0001)。

重回帰モデルによると,i-TTRにマイナスの影響を及ぼしていたのは心不全(パラメーター推定値−3.17%),女性(−9.32%),慢性閉塞性肺疾患(−2.86%)であった。また,ビタミンK拮抗薬服用経験を参照値とすると,ビタミンK拮抗薬経験/ワルファリン未投与は−2.22%,ビタミンK拮抗薬未投与は−9.14%と低下した。
ワルファリン服用経験を含む他のすべての因子を調整すると,i-TTRに最も大きな影響を及ぼしていたのは地理的因子であった(北米を参照値とすると,西欧+0.68%,ラテンアメリカ−4.69%,南アフリカ−8.35%,東欧−8.60%,東アジア−8.68%,インド−20.56%。F=49.24,p<0.0001,partial R²=0.043)。この地域差は主としてi-TTRが低い地域ではINRが低い(<2.0)割合が大きいためで,INR値の分布も低くシフトしていた。TTRが低い地域はワルファリン投与未経験患者が多かったが,ワルファリン投与経験で層別化しても同様のパターンがみられた。ワルファリンの用量を安定させるために治験薬投与期間の最初の90日を除外した解析でも同様であった。また,i-TTRが低い地域はINR測定の間隔が長かった。

発表者のSinger氏は,「i-TTRのばらつきは複数の臨床的特徴により説明できる一方,最も大きな影響を及ぼしているのは地域的要因であった。これはワルファリン管理のパターンが異なるためと考えられ,地域的INRコントロール不良の大部分は改善可能であると示唆された」と述べた。

ROCKET AF構造化抄録

Daniel E Singer, et al. Individual and Regional Determinants of Time in Therapeutic Range Among Patients Randomized to Warfarin in the ROCKET AF Trial of Rivaroxaban


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